更新日: 2022.04.25 定年・退職
「再雇用」か「再就職」か。50歳から考える定年退職後のネクストキャリア
その一方で「再雇用」と「再就職」のどちらにするか、定まっていない人もいるのではないでしょうか。本記事では「再雇用」と「再就職」の違いを、賃金水準や国の給付金制度の観点から解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
定年退職後の働き方と賃金水準を解説
定年退職をすると一般的に「再雇用」か「再就職」のどちらかを選択します。「再雇用」と「再就職」で賃金水準がどれほど変わるかを解説します。特に定年後の生活を考えるうえで、賃金の実態はしっかり理解しておきましょう。
・再雇用と再就職の定義
再雇用とは勤めていた会社をいったん退職して、同じ会社で65歳まで雇用契約を結び直す制度です。再雇用は定年前に面談を行いながら、担当者と具体的な再雇用の条件をすり合わせます。
再就職は勤めていた会社を退職し、新たな会社で働くことをいいます。ハローワークやシルバー人材センター、人材紹介サービスを使って、自分で働く場所を探していく必要があります。
・再雇用と再就職の賃金をそれぞれ現役時と比較
定年後の賃金は、現役時と比べてどちらも少なくなることを想定しておきましょう。厚生労働省が行った再雇用に関する調査によると、賃金水準は平均で退職前の78.7%であると発表しています。
再就職に関する厚生労働省の調査では、定年前より賃金が減った人が67.6%いることが明らかになりました。
賃金変動状況割合 | 減少 | 1割未満の減少 | 1割以上の減少 |
---|---|---|---|
60歳~64歳 | 67.6% | 6.3% | 61.2% |
参照:厚生労働省 2019 年雇用動向調査結果の概況より筆者が作成
1割以上減少している人の割合が61.2%なので、再就職も大きく収入が減ることを想定しておく必要があります。
再雇用と再就職のメリットとデメリットを解説
再雇用をするか再就職するかで、メリットとデメリットは大きく変わります。再就職と再雇用のメリットとデメリットを比較しながら解説します。
・再雇用のメリットとデメリット
・メリット:厚生年金の加入期間が延長されるので受給額が増える
・デメリット:65歳以降は自分で仕事を探さないといけない
60歳以降も厚生年金に加入するので、厚生年金が増えて受け取れる点がメリットです。反面65歳までしか働けない点はデメリットになります。65歳以降は年金しか収入源がないので、場合によっては退職金や貯金を切り崩す生活をしなければなりません。
早くから貯金や資産を切り崩すと、途中で資産がゼロになって生活を圧迫するリスクもあります。働ける期間が短いため、その後の生活設計は考慮しておきましょう。
・再就職のメリットとデメリット
・メリット:65歳以降も働けるので資産を切り崩すリスクを回避できる
・デメリット:再就職が決まらないと収入が入らない期間が続いてしまう
再就職は65歳以降も働ける可能性があるため、年金以外の収入を確保できます。一方で、再就職が決まらないと収入が入らない点はデメリットです。定年前から働き続けることを見据えて、自分に合う仕事を見つけておくことが大切です。
再雇用と再就職で受けられる国の給付金を解説
再雇用と再就職を考えるなら、国の給付制度は必ず押さえておきましょう。再雇用と再就職で受けられる給付も異なるので、違いも含めて解説します。
・再雇用と再就職で受けられる給付金とは
再雇用の場合に受けられる給付金は「高年齢雇用継続基本給付金」です。一方で、再就職のときに受けられる給付金は「高年齢再就職給付金」と「再就職手当」があります。
給付金名称 | 定義 |
---|---|
高年齢雇用継続基本給付金 | 雇用保険の被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者に対して、賃金額が60歳到達時の75%未満となった方を対象に、最高で賃金額の15%に相当する額を 支給するもの 引用元:日本年金機構 |
高年齢再就職給付金 | 基本手当の支給を受けていた60歳以上の方が再就職し、雇用保険の一般被保険者となった場合は、高年齢再就職給付金の支給対象となることがあります。この給付金は、再就職先の賃金月額が、基本手当の基礎となった賃金日額の30日分の額の75%未満である場合に、再就職先の賃金月額の15%を限度として 給付される制度です。 引用元:厚生労働省 北海道労働局 |
再就職手当 | 再就職手当は、基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いた場合(雇用保険の被保険者となる場合や、事業主となって、雇用保険の被保険者を雇用する場合など)に基本手当の支給残日数(就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数)が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件に 該当する場合に支給されます。 引用元:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス |
※日本年金機構 厚生労働省 北海道労働局 厚生労働省 ハローワークインターネットサービスより筆者作成
高年齢再就職給付金と再就職手当はいずれか一方しか給付されないので、受給にあたっては注意が必要です。再雇用か再就職で受けられる給付金も把握したうえで、定年後の生活を設計しましょう。
退職後のキャリアを明確にしてライフプランを設計しよう
定年後の働き方は2通りですが、どちらを選択するかはライフプランによって変わります。資産の保有状況や生活費のかかり具合でどちらを選択すべきか見えてくるからです。退職後のキャリアに後悔がないように、50代から定年後に働く目的や生活費をはっきりさせておきましょう。
出典
日本生命保険相互会社 ニッセイ インターネットアンケート ~「セカンドライフ」に関する意識調査~
厚生労働省 高年齢者雇用の現状等について
厚生労働省 2019年 雇用動向調査結果の概況
日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
厚生労働省 北海道労働局
厚生労働省 ハローワークインターネットサービス
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部