更新日: 2022.04.18 老後

老後のライフイベント、それぞれどれくらい資金がかかる?

執筆者 : 菊原浩司

老後のライフイベント、それぞれどれくらい資金がかかる?
老後に入ると年金収入が主な収入源となり、労働による収入が減少する傾向があります。そのため、想定外の支出が生じると減少した資金を収入によって回復することが難しくなってしまう恐れがあります。
 
限られた老後資金を上手にやりくりするためには老後特有のライフイベントへの備えが重要です。
 
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

老後のライフイベントは?

老後特有のライフイベントとして考えられるのが老化に伴う「介護費用の発生」と「医療費の発生」となります。
 
老後資金は老後生活が続くに従って少しずつ目減りしていきますが、老後のライフイベントは基本的に時間経過とともに発生する確率が高まっていくほか、健康に関わる支出のため節約や代替手段を採ることも難しく、状況によっては以後の生活に大きな影響を及ぼしてしまうリスクがあります。老後生活を計画通り送るためにはこの2つの支出について把握しておきましょう。
 

介護費用はどれくらいかかる?

介護費用は介護内容によってかかる費用が大きく異なる特徴があります。例えば、介護を行う場所が自宅または公的施設である特養(特別養護老人ホーム)を利用するか、民間施設である介護付き有料老人ホームを利用するかによっても必要な金額が異なります。
 
また、介護費用には一時的なものと継続的なものがあり、介護付き有料老人ホームであれば入居一時金が必要になったり、自宅介護であっても介護用品の購入やマイホームのリフォームが必要になったりするなどして一時的に多額の支出が生じることがあります。
 
公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかった一時的な費用の平均額は74万円となっています。
 
月々発生する介護費用は、自宅介護の場合で利用する在宅サービスの内容にもよりますが、月平均で10万円前後、特養は月額10万円〜20万円、介護付き有料老人ホームはサービス内容や設備にもよりますが月額15~30万円前後となります。
 
上記の調査では平均的な介護期間は約5年となっており、負担の少ない自宅介護でも数百万円の資金負担が生じる恐れがあります。
 

医療費には十分な備えを

年齢を重ねると生活習慣病やがんなどの大きな病気を発症しやすくなるため、若いときよりも多額の医療費が生じる可能性があります。この医療費については公的健康保険の「高額療養費制度」により自己負担の限度額が設けられています。
 
高額療養費制度の自己負担限度額は年齢と所得によって差があり、70歳以上75歳未満の一般所得者の場合で外来の場合は月額1万8000円、年間上限が14万4000円となっており、これを超えた金額は払い戻しを受けることができます。
 
また、入院の場合は月額5万7600円ですが、高額療養費の払い戻しを年間3ヶ月以上受けた場合、4ヶ月目以降は多数該当高額療養費として限度額が4万4400円に引き下げられます。
 
しかし、差額ベッド代などの高額療養費の対象とならない費用やがん治療などで保険適用外の治療を受けるケースもあります。老後の医療費の平均額は70歳以上75歳未満の場合、年間約84万円となっているため、高額療養費の限度額よりも多くの資金を準備しておくとよいでしょう。
 

まとめ

老後の平均的な生活費は夫婦2人で月額約26万円といわれています。老後生活の収入源となる公的年金の老齢給付は、夫が厚生年金+国民年金を受給し、妻が国民年金のみを受給する場合、夫婦2人の年金額は月額約22万円となります。
 
年金収入と生活費の差額として、家計には月4万円の赤字が生じるため、預貯金などの自己資金で補てんする必要があります。65歳から90歳までこの赤字を補てんしようとする場合は生活費だけで約1200万円で、これに介護費用や医療費などが上乗せとなるため、自力では資金準備を十分に進められない恐れがあります。
 
老後資金を全て使い果たしてしまうと、子どもや親族などにも負担が及んでしまうかもしれません。民間の医療・介護保険の活用も視野に入れ、十分なリスク対策を立てるようにしましょう。
 
出典
公益財団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表

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