更新日: 2022.04.27 セカンドライフ

年金だけで大丈夫? 老後資金は何歳から準備を始めるべき?

執筆者 : 柘植輝

年金だけで大丈夫? 老後資金は何歳から準備を始めるべき?
年功序列や終身雇用の崩壊に加え、少子高齢化や消費税などの増税、そしてメディアで取り上げられる老後破産の問題などから、老後の資金について準備をしなければと考えている現役世代の方もいることでしょう。では、老後資金の準備は何歳から始めるべきなのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後資金は何歳から準備を始めるべき?

老後資金を準備するタイミングは、早ければ早い方がいいというのが現実です。例えば40代で始めるより30代、または20代からと、老後資金は時間をかけてじっくり準備する方が負担は少なくなるからです。
 
老後資金の準備の方法は、大別して貯金と資産運用の2パターンがありますが、どちらも早めに始めた方が必要な資金を着実に準備していくことができます。
 
就職直後の20歳前半から無理して始める必要はありませんが、仕事にも慣れ、今後のキャリアや結婚など社会人としての将来像を強く意識しだす20代後半から30歳ごろにかけて始めていくのが理想でしょう。
 
すでに30代、40代、あるいは50代という場合でも、今すぐ始めることで老後資金の準備は可能ですが、やはり早いうちが有利です。
 

準備期間による違いを簡単にシミュレーション

例えば、1000万円を貯金する場合でも、10年間で毎年100万円ずつ貯めるのと、20年かけて毎年50万円ずつ貯めていくのでは、収入がよほど上昇したなど特別な事情がない限り、年間の負担は大きく異なります。
 
貯金だけでなく、最近話題となることが増えた「つみたてNISA」や「iDeCo」といった投資信託で資産運用する場合でも、複利効果(運用益が元本に組み入れられ、さらに運用益が生まれること)によって、同じ金額を投資しても投資期間が長い方が最終的な元本と運用益の総額が大きくなります。
 
例えば、つみたてNISAで元本600万円、平均年利3%を見込んで資産運用をするにしても、毎月5万円を10年間で積み立てると最終的な総額の試算では約698万7000円になります(金融庁「試算運用シミュレーション」による)。一方、毎月10万円を5年間で積み立てた場合、最終的な総額は約646万5000円となってしまいます。
 
上記の理由により、可能であれば今すぐ老後資金の準備をするべきといえるのです。
 

早期に準備を始めることで軌道修正も比較的容易となる

老後資金を早めに準備するべきもう1つの理由として、軌道修正が比較的容易となるという点が挙げられます。
 
例えば家族構成が変わった、大きな病気やケガをした、また自身や家族のライフプランに何らかの変更があり、想定よりも多くの老後資金が必要となったときでも、老後まで時間があれば柔軟に対応をしていくことができるからです。
 
また、資産運用で老後資金を準備している場合、社会情勢などによって短期的には資産価値が減少することがあります。直近では、2020年3月に新型コロナウイルスの影響で起きた株価の大幅な下落が記憶に新しいでしょう。また、2022年4月時点では急激な物価上昇から円資産の実質的な価値が下落しています。
 
そういったことに備え、特に老後資金を資産運用しながら準備するのであれば、出口戦略(資産をどう切り崩して老後資金として消費していくか)も重要になります。
 
その点についても早期に準備を始めていけば、株など価格変動の大きい金融資産を計画的に現金に換えたり、値動きの少ない債券に置き換えていったりなど落ち着いて対応できますし、暴落しても回復を待つといった選択もできるようになります。
 

老後資金の準備はなるべく早めに始めたほうがいい

老後資金の準備はできるだけ早期に開始し、時間を味方につけて無理なく行うことが重要です。同じ金額を用意するにしても、時間をかけてじっくり資産運用した方が安全ですし、負担も小さくなるからです。
 
老後資金の準備を始めるのに早すぎるということはありません。まだ準備ができていないという場合はなるべく早めに、また年齢によっては今すぐにでも無理のない範囲で始めてください。
 

出典

金融庁 試算運用シミュレーション
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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