医療費控除に使えない? 介護サービスなのに医療費控除が適用されないケース
配信日: 2022.04.29
介護サービスが医療費控除に使えないケースは意外と知られていないので、本記事で解説します。上手に節税するためにも、医療費控除が適用されない介護サービスを理解しておきましょう。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
医療費控除が使えない介護サービスとは?
介護サービスには、一定の条件を満たさないと医療費控除に使えないケースと、そもそも対象外の3パターンがあります。3つのパターンを順番に確認していきましょう。
・一定の条件を満たさないと医療費控除に使えないケース
まずは一定の条件を満たさないと医療費控除に使えないケースをみていきましょう。
一定の条件とは、医療系の介護サービスを一緒に受けているかどうかです。
・訪問介護(生活援助中心型を除く)
・訪問入浴介護
・通所介護
・短期入所生活介護
・介護予防訪問介護
・介護予防訪問入浴介護
・介護予防通所介護
・介護予防短期入所生活介護
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護
・夜間対応型訪問介護
・認知症対応型通所介護
・小規模多機能型居宅介護
・複合型サービス(生活援助中心型の訪問看護の部分を除く)
・介護予防小規模多機能型居宅介護
次に、医療費控除に使えない介護サービス費用を紹介します。医療費控除には活用できないので、誤って確定申告などしないように気をつけましょう。
・そもそも医療費控除に使えないケース
次に、医療費控除に使えないケースを確認していきましょう。以下で紹介するケースは医療介護サービスと併用していても、医療費控除には使えません。
・訪問介護(生活援助中心型)
・特定施設入居者生活介護
・福祉用具貸与
・福祉用具購入
・住宅改修
・介護予防特定施設入居者生活介護
・介護予防福祉用具貸与
・介護予防福祉用具購入
・介護予防住宅改修
・複合型サービス(生活援助中心型の訪問介護の部分)
・認知症対応型共同生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・介護予防認知症対応型共同生活介護
医療費控除は、傷病や介護を治療するサービスに適用されます。そのため、日常の生活を補助するだけのサービスでは医療費控除が受けられません。
・高額介護サービス費を利用して医療費控除が使えないケース
高額サービス費とは「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が負担限度額を超えたときは、 超えた分が払い戻される制度 」と厚生労働省が定義しています。
高額サービス費の負担限度額は所得によって変わります。負担上限額は下記の表を参考にしてください。
【図表1】
区分 | 負担の上限金額(月額) |
---|---|
課税所得690万円(年収1160万円)以上 | 世帯で14万100円 |
課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満 | 世帯で9万3000円 |
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 世帯で4万4400円 |
世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円を超える | 世帯で2万4600円 |
世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方等 | 世帯で2万4600円 個人で1万5000円 |
生活保護受給者等 | 個人で1万5000円 |
出典:厚生労働省 高額介護サービス費の負担限度額より筆者が作成
高額サービス費を使用して払い戻しを受けた場合、医療費控除を差し引く必要があります。つまり高額サービス費を使うと、介護サービスが医療費控除に使える項目でも対象にならないので注意しましょう。
親族の介護で医療費控除が使えないケース
国税庁によると、医療費控除の対象となる要件は「納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること」と定義しています。
同居か別居かに関わらず親族の介護をしていても、生計が同一でなければ医療費控除の対象とならないので注意しましょう。
おむつ代は医療費控除として使える?
おむつを使用した費用については、医師が発行する「おむつ証明書」がないと医療費控除の対象となりません。
さらに、国税国税庁はおむつ代が医療費控除として使える定義を「傷病によりおおむね6ヶ月以上寝たきりで医師の治療を受けている場合に、おむつを使う必要があると認められるとき」と定義しています。
おむつ代を医療費控除として活用する場合は、医師の証明と6ヶ月以上寝たきりであることが必要となります。
医療費控除が使えないケースか事前に見分けておきましょう
医療費控除に使えない介護サービスを紹介しました。
一般的に、医療費控除は治療や療養するために使った費用に対して適用されます。そのため、介護サービスも医療系のサービスを受けているかどうかがポイントです。また、事業者が発行する領収書にも、医療費控除が適用できるか記載してくれているケースもあります。
介護サービスを受ける場合は、医療費控除に該当するかどうか、確認しておくといいでしょう。
出典
大阪市役所 介護保険サービス利用にかかる費用の医療費控除について
厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます
国税庁 医療費控除の対象となる医療費
国税庁 医療費を支払ったとき
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー