もしも難病になってしまったらどうする? 利用できる制度や申請方法を解説
配信日: 2022.04.29
もしも難病になってしまった場合、多額の治療費が掛かる可能性があるでしょう。治療費の負担を減らす方法はないのでしょうか。
難病になったときに利用できる制度や申請方法について解説します。
執筆者:荒木和音(あらき かずね)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
難病とは?
2015年1月に施行された難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)によると、難病の定義は次の通りです。
●発病の機構が明らかでない
●治療方法が確立していない
●希少な疾病である
●長期の療養を必要とする
これらの要件にあてはまる疾病について、政府では調査研究や患者支援を推進しています。
また、難病の中でも、特に良質かつ適切な医療を確保する必要がある疾病を「指定難病」と定めています。厚生労働省によると、指定難病の要件は次の通りです。
●日本における患者数が人口のおおむね0.1%程度に達しないこと
●客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が確立していること
難病医療費助成制度の適用を受けると自己負担額に上限が設定される
指定難病にかかっている方の中で、一定程度以上の重症とされた場合や、軽症であるが治療に必要な医療費が一定額に達している場合には、医療費の助成が受けられます。
厚生労働省によると、難病医療費助成制度の対象となっている疾病は、2021年11月時点で338種類です。
医療費の助成を受けた場合は、医療機関窓口での医療費自己負担割合は、通常の3割から2割になります。図表1のように、所得に応じた自己負担の限度額が設定されるのも特徴です。
図表1
階層区分 | 医療費の自己負担限度額 |
---|---|
生活保護 | 0円 |
住民税非課税かつ本人年収が80万円以下 | 2500円 |
住民税非課税かつ本人年収が80万円を超える | 5000円 |
住民税課税額7.1万円未満 | 1万円 |
住民税課税額7.1万円以上25.1万円未満 | 2万円 |
住民税課税額25.1万円以上 | 3万円 |
自己負担の限度額は、受診した複数の医療機関の自己負担をすべて合算した上で適用されます。
また、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上ある場合や、人工呼吸器やその他の生命維持に必要な装置を装着していることにより特別な配慮を必要とする患者については、自己負担額の上限額はさらに低くなります。
難病医療費助成制度は、入院か、外来による通院かを問わず適用可能です。ただし、入院時の食事代については患者の自己負担となります。
難病医療費助成制度の申請方法
難病医療費助成制度の適用を受けるためには、次の手順で手続きをする必要があります。
1.必要書類を準備する
都道府県および指定都市の定める難病指定医を受診し、診断書の交付を受けましょう。そのほかの申請に必要な書類は次の通りです。
●特定医療費の支給認定申請書
●住民票
●世帯の所得を確認できる書類
●保険証の写し
●同意書
●その他必要に応じて提出するもの
(人工呼吸器等装着者であることを証明する書類等)
2.都道府県・指定都市による審査
病状が認定基準に該当する場合、または認定基準に該当しないが高額な医療の継続が必要と認められた場合には、支給認定が行われます。
3.指定難病医療受給者証を受け取る
審査に通った場合は「指定難病医療受給者証」が発行されますが、交付までは通常3ヶ月程度かかります。指定医療機関において掛かった医療費は、払い戻し請求が可能です。
出典
厚生労働省 難病対策の概要
厚生労働省 難病にかかる医療費の助成が受けられます
難病情報センター
難病情報センター 指定難病患者への医療費助成制度のご案内
執筆者:荒木和音
2級ファイナンシャルプランニング技能士