更新日: 2022.04.29 セカンドライフ
年金が消えてる!? 転職回数が多い人や保険料の未納がある人が確認すべきこと
しかし、年金記録の誤りや漏れが判明したり、受給資格期間にカウントできる合算対象期間があれば、老齢年金が受け取れる可能性もあります。
この記事では、自分の年金記録が正しいのか疑問に感じている人や、保険料の未納が多いために年金の受給を諦めている人が確認すべきことについて解説します。
執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士・FP2級
目次
老齢年金の受給資格期間は10年以上
受給資格期間とは、老齢年金を受給するために必要な保険料納付済み期間(免除期間を含む)です。保険料を支払う必要のない第3号被保険者の期間もみます。老齢年金を受給するためには、資格期間が10年以上必要です。
資格期間は、日本年金機構から毎年郵送されるねんきん定期便で確認できます。「受給資格期間」欄の記載が120月(10年)未満の人は、30歳未満で加入時から10年間が過ぎていない人を除き、年金記録に誤りがあるか、年金保険料の未納期間が長いかのどちらかだと考えられます。
転職が多い人は、年金記録に漏れや誤りがないか確認を
転職が多い人の年金記録は、記録漏れや誤りが多く発生する傾向にあります。年金記録に漏れや誤りが発生する理由と、対応方法について説明します。
年金記録に誤りが発生する理由
全ての年金制度に共通の「基礎年金番号」は、1997年に導入されました。それ以前は、年金制度ごとに国民年金番号や厚生年金番号などがそれぞれ加入者に付番されていました。転職すると、前職とは別の、新しい番号が付番されることもありました。
基礎年金番号の導入時に年金記録の統合作業が行われましたが、2007年時点でうまく統合されずに、持ち主不明の年金記録が5000万件以上存在することが判明しました。いわゆる「消えた年金問題」です。
持ち主不明の年金記録の中には、転職が多い人の年金記録も数多く含まれます。転職が多い人の年金記録は、複数の年金番号で管理されていたため、統合もれが発生しやすかったからです。
年金記録は、年金事務所で調べる
自分の年金記録に漏れがあるかもしれないと感じたら、年金事務所で年金記録の確認を依頼しましょう。年金制度に加入していない期間があれば、要注意です。その期間の年金保険料の支払いについて、思い返してみましょう。
年金事務所では、「過去の勤務先の記録がない」「国民年金保険料を支払った期間の記録がない」などの理由があれば、調査を行います。調査は、名前や生年月日から統合されずに漏れている年金記録がないかを確認します。
年金保険料の未払い期間が長い人は、合算対象期間を確認する
年金保険料の未払い期間が長い人は、次で説明する合算対象期間がないかを年金事務所で確認しましょう。そのほかにも、年金の受給要件を満たすための方法をいくつか紹介しますので、参考にしてください。
受給資格期間にカウントできる合算対象期間
合算対象期間とは、保険料を納付していなくても、海外に居住していたなどの条件の下で資格期間に含められる期間で、無年金者を救済するための制度です。年金保険料を支払った期間が8年だけの人に、合算対象期間が2年あれば、資格期間は10年になるので老齢年金の受給権が発生します。
ただし、合算対象期間を含めることで資格期間が10年を超えても、受け取る年金額には反映されません。つまり、実際に支払った期間に応じて受け取る年金額が決まります。
海外に在住したことのある人や、任意加入とされていた時期に大学生や専業主婦であった人などは、合算対象期間を有する可能性があります。年金事務所で確認してみましょう。
老齢年金の受給要件を満たすための方法
合算対象期間を含めて資格期間が10年未満の人が老齢年金を受給するには、保険料の納付が必要です。
●60歳未満の人:60歳まで保険料を納める
●60歳以上の人:会社勤めの場合は厚生年金に加入する、または国民年金に任意加入する
また、収入が不十分で保険料が納められない人は、保険料免除制度が利用できないかを確認しましょう。
老後資金を確保するために10年以上の資格期間を確保しよう
老齢年金の受給には、資格期間が10年以上必要です。老齢年金は老後の生活を支える貴重な収入であるため、受給が危ぶまれる人は年金事務所で相談しましょう。年金記録の誤りや合算対象期間が判明して、年金を受け取れるようになるかもしれません。
ただし、年金制度の加入期間が短い人の年金額は多くはありません。老後の収入確保や老後生活に備える資金準備を検討しましょう。
出典
日本年金機構 必要な資格期間が25年から10年に短縮されました
日本年金機構 年金記録問題とは?
日本年金機構 合算対象期間
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級