更新日: 2022.05.02 セカンドライフ
老後を迎える前に要チェック! セカンドライフにかかる生活費は何がある?
しかし、セカンドライフに必要な支出を把握していない人も多いのではないでしょうか?
本記事では、実際に老後生活で掛かる生活費の項目や金額を紹介します。退職後の生活を送る上で、何にどれだけお金が掛かるのか参考にしてください。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
セカンドライフに掛かる生活費
セカンドライフに掛かる生活費は、夫婦世帯と単身世帯で下記の通りとなります。
●65歳以上の夫婦のみの無職世帯:22万4390円
●65歳以上の単身無職世帯:13万3146円
公益財団法人 生命保険文化センターによる2019年の調査では、夫婦で必要な生活費が平均で22万1000円であることが分かっています。
以上の結果から、老後を最低限過ごすために22万円は掛かると考えておきましょう。
生活費の内訳
それでは、実際にセカンドライフに掛かる生活費を内訳で確認してみましょう。総務省の調査では、図表1にある項目を支出項目と定めています。
図表1
消費支出項目 | 65歳以上の夫婦のみの無職世帯 | 65歳以上の単身無職世帯 | ||
---|---|---|---|---|
月平均額(円) | 構成比(%) | 月平均額(円) | 構成比(%) | |
消費支出 | 22万4390 | 100.0 | 13万3146 | 100.0 |
食料 | 6万5804 | 29.3 | 3万6581 | 27.5 |
住居 | 1万4518 | 6.5 | 1万2392 | 9.3 |
光熱・水道 | 1万9845 | 8.8 | 1万2957 | 9.7 |
家具・家事用品 | 1万258 | 4.6 | 5328 | 4.0 |
被服および履物 | 4699 | 2.1 | 3181 | 2.4 |
保健医療 | 1万6057 | 7.2 | 8246 | 6.2 |
交通・通信 | 2万6795 | 11.9 | 1万2002 | 9.0 |
教育 | 4 | 0.0 | 0 | 0.0 |
教養娯楽 | 1万9658 | 8.8 | 1万2910 | 9.7 |
その他の支出 | 4万6753 | 20.8 | 2万9549 | 22.2 |
諸雑費 | 1万9351 | 8.6 | 1万3180 | 9.9 |
交際費 | 1万9826 | 8.8 | 1万5253 | 11.5 |
仕送り金 | 1384 | 0.6 | 1066 | 0.8 |
非消費支出 | 3万1160 | ー | 1万1541 | ー |
直接税 | 1万2589 | ー | 6430 | ー |
社会保険料 | 1万8551 | ー | 5082 | ー |
出典:総務省 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年) 総世帯及び単身世帯の家計収支より筆者が作成
支出割合の多い項目は、食費や交通・通信費といった生活に必要な費用が中心です。また、教養娯楽や交際費も支出割合としては多い項目となっています。
現役時代と違い、仕事をする時間が短くなったことで、交際費の支出が多くなる傾向が高いです。
家計の管理をする場合は、交際費や娯楽に使っている費用の割合が適正か、しっかりと確認しておきましょう。
セカンドライフの生活費で気を付けるポイント
セカンドライフにおける生活費で気を付けるポイントは「出費の金額が大きいイベント」です。図表2にある退職後の支出の変化から気を付けるポイントを確認しておきましょう。
図表2
退職によって不要となる支出の例 | 退職と関係なく発生し続ける支出の例 | 退職によって発生する支出の例 |
---|---|---|
住宅ローン(完済する場合) 会社員としての交際費・食費 スーツ、ワイシャツ、ネクタイなどビジネス被服代 子どもの教育・扶養費用(成人・独立の場合) 厚生年金保険料 雇用保険料 健康保険料 |
食費や光熱・水道代など生活費 家賃 住居費(固定資産税、フォーム費用など) 生命保険や損害保険の保険料 介護保険料 |
近所づきあいの交際費 趣味や生きがいのための費用 妻の国民年金保険料(妻が60歳になるまで) 国民健康保険料 |
出典:生命保険文化センター 定年退職後の支出の変化より筆者が作成
このうち気を付けておくべき出費の大きいイベントは住宅費です。
一般財団法人住宅リフォーム推進議会の調査結果で、リフォームに掛かった費用は中高年層で平均268万円でした。
月々の生活費以外に、予期せぬタイミングでリフォーム費用を工面しないといけません。あらかじめリフォーム費用などに使うための余裕資金は確保しておくことが望ましいです。
セカンドライフは家計を踏まえた計画が大切
セカンドライフに掛かる生活費を紹介しました。現役時代と支出項目や割合が変化している中で、家計から使えるお金と残しておくお金を、よく検討することが重要になります。
特に予期しない出費が必要な場合に、退職金や年金など限られている資金から捻出するのは難しいです。
しっかりと家計の状況を踏まえた生活設計を行いましょう。
出典
総務省 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)総世帯及び単身世帯の家計収支
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 「住宅リフォームの消費者・事業者に関する実態調査」について
生命保険文化センター 令和元年度 生活保障に関する調査
生命保険文化センター リスクに備えるための生活設計
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー