更新日: 2022.05.30 その他老後

30代非正規雇用ですが、老後が心配です……今からできることはありますか?

執筆者 : 大倉孝一

30代非正規雇用ですが、老後が心配です……今からできることはありますか?
アルバイトや派遣社員で生計を立てている人は、年を取って働けなくなったときのことを考えると不安になるのではないでしょうか。非正規雇用者は年金が少ないので、それだけで生活していくことは難しいのではないかと……。
 
そこでこの記事では、非正規雇用者が老後に生活していくうえでいくら足りないのか、また、若い時からできる対策について解説します。さらに、非正規雇用者にも、要件を満たせば勤務先の厚生年金保険に加入できる道もありますので、あわせて紹介します。
 
加入条件は2022年10月からは一部緩和されるので、非正規雇用だからといってあきらめずに、現在の勤務先で加入できるか調べてみましょう。
大倉孝一

執筆者:大倉孝一()

ファイナンシャルプランナー2級

非正規雇用者の年金受給額は平均でどのくらい? 生活費はどのくらい足りなくなる?

非正規雇用者は、国民年金の第1号被保険者に属し、65歳から満額で月額で約6万5000円(2021年度)の老齢基礎年金を受給できます。しかしそのためには、20~60歳までの40年間できちんと保険料を納めなければなりません。
 
厚生労働省年金局が発表した2020年度厚生年金保険・国民年金事業の概況によりますと、厚生年金保険の平均受給額は14万6145円であるのに対して、国民年金の平均受給額は5万6358円と大きな差があります。
 
国民年金の受給額だけでは、老後の生活を維持していくことは到底できないでしょう。総務省統計局の家計調査によりますと、2021年の単身世帯の1ヶ月の消費支出は15万4937円、2人以上世帯では27万9024円となっています。
 
単純に国民年金の平均受給額と差し引きすると、単身の国民年金受給者の場合で約10万円の資金が足りないことになります。不足分を補うために老後も働くか、ほかの手立てを考える必要があります。ただし、老後に働くつもりでいても、年を重ねるにつれて健康を損ねる可能性もあり、不確実要素が多いといえます。
 
なお、非正規雇用者であっても、一定の条件を満たしていれば厚生年金制度に加入し、年金を受け取ることは可能です。このことについては、後述します。
 

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非正規雇用者が老後に備えるために、今からできること

それでは非正規雇用者は、どのようにして老後に備えたらよいのでしょうか。30代から始めても十分遅くない方法として、4つ挙げて説明します。
 

(1)非正規雇用でも、要件を満たしていれば厚生年金へ加入できる

非正規雇用者でも、要件を満たせば勤務先の厚生年金保険に加入できます。それにより、老後の年金を増やすことが可能になります。
 
要件とは、下記の通りです。また2022年10月からは拡充され、現状よりも厚生年金保険に加入しやすくなります。

【現行(2022年9月末まで)の条件】

・週労働時間が20時間以上
・月額賃金8.8万円以上(年収換算で約106万円以上)
・雇用期間が1年以上見込まれること
・従業員500人超の企業

【2022年10月以降の変更点】

・従業員500人超の事業所⇒従業員100人超の事業所
・雇用期間が1年以上⇒勤務期間が2ヶ月超

 

(2)正社員になる方法を模索し、あきらめずにトライする

正社員と非正規雇用者とでは賃金に大きな格差があります。
 
厚生労働省の発表した2020年賃金構造基本統計調査の概況によりますと、正社員・正職員の賃金は35~39歳の場合で月額約31万6300円なのに対し、正社員・正職員以外の賃金は約21万4300円です。非正規雇用者の賃金は正社員と比べ10万円ほどの差があります。
 
正社員になれば給与が上がることが多いので、計画的に貯蓄する余裕ができますし、厚生年金にも加入することになるので、年金額を上積みできます。このように正社員になるメリットは大きいので、キャリアアップして正規社員になれる道を探しましょう。
 
例えば、都道府県が主体となって設置するジョブカフェなど、非正規雇用の方が正社員になるための支援制度を利用する方法があります。支援を受けながら、あきらめずに正社員を目指してみましょう。また、紹介予定派遣などのように、派遣先企業での直接雇用を前提とした派遣契約を探すことも考えられます。
 

(3)少額からでもできる資産運用を行う

お金に少しでも余裕があれば、少額であったとしても資産運用を行うことも重要なことです。資産形成におすすめの方法としては次のようなものがあります。
 
・iDeCo(個人型確定拠出年金)
「iDeCo」は、老後の資金を作るための年金制度で、5000円から始められます。個人が掛け金を60歳になるまで運用し、60歳以降に金融商品をお金に換えて受け取ります。掛け金が全額所得控除の対象になるので、所得税や住民税を節税しながら老後資金を準備できます。
 
・NISA
「NISA」は少額投資非課税制度のことで、100円から始めることができ、得た利益を非課税にできます。特に「つみたてNISA」は、1年間の非課税枠が40万円までで非課税期間は最長20年間なので、じっくりと老後資金を貯めたい人に向いています。
 

(4)勤務先に財形貯蓄制度があれば加入する

非正規雇用であっても、勤務先に財形貯蓄制度があれば、条件を満たすことにより利用できます。財形貯蓄制度は、給料から天引きになるので確実にお金を貯めることができます。
 
財形貯蓄には、老後の資産形成を目的とした財形年金貯蓄と、マイホームの購入資金を貯めることを目的とした財形住宅貯蓄、一般財形貯蓄の3つがあります。財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄は、利子が非課税になる税制優遇措置があります。
 
金融機関にお金を預けておいても、ほとんど利息が付かない低金利の時代において、財形貯蓄制度を利用するメリットは大きいといえるでしょう。
 

まとめ

非正規雇用者は賃金が少なくて貯蓄がしづらい、厚生年金に加入できない場合もあるなどのデメリットがあります。そのため、老後資金が不足し、年を取ってからも働かざるを得ないということも考えられます。 
 
自分の老後生活は、自分で備えなければなりません。今からでも正社員になれる方法を模索するのと同時に、非正規でも厚生年金に加入したり、少額でも良いので資産運用をしたりするなど、今すぐにできる工夫をして老後に備えましょう。
 
30代から始めるとしても、遅くはありません。
 

出典

厚生労働省年金局 2020年度厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局家計調査(家計収支編)
厚生労働省 令和2年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者:大倉孝一
ファイナンシャルプランナー2級