2500万円の退職金を受け取ったら税金・手取りはいくら?

配信日: 2022.05.31

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2500万円の退職金を受け取ったら税金・手取りはいくら?
「老後2000万円問題」など老後の生活資金が不安視される現在、退職金の存在は非常に心強い存在です。
 
そんな退職金ですが、税金がかかることや税金の計算方法について、知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、退職金の概要や税金の計算方法について解説していきます。
嘉陽宗一郎

執筆者:嘉陽宗一郎(かよう しゅういちろう)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

退職金と税金の概要

退職金は「退職所得」と呼ばれ、所得税及び復興特別所得税、住民税の課税対象になっています。
 
税金の計算方法に関しては「分離課税」という課税方式(税金の計算方法)になっています。分離課税というのは、該当する所得単体で納税額を計算する仕組みになっています。
 
相対する課税方式には、該当する複数の所得を合算して納税額を計算する「総合課税」というものがあり、会社からもらう給料の「給与所得」も総合課税に含まれます。
 
会社からもらうお金という点では「退職所得」と「給与所得」は同じですが、課税方式は異なっています。
 

・退職金にかかる税金の計算方法

退職金にかかる税金は以下の手順で計算していきます。

・退職所得控除の算出
・退職所得の算出
・所得税の計算
・復興特別所得税の計算
・住民税の計算
・税金の総額を算出

 
・退職所得控除の算出

図表1

 
少し分かりにくい計算式になっているので簡単に言い換えると、勤続年数が20年目までは1年ごとに40万円、21年目からは1年ごとに70万の控除額が増えていく仕組みになっています。また、勤続年数は繰り上げ方式となっています。
 
例えば、勤続年数が10年と1日の場合、退職所得控除の計算は11年で行います。そのため「退職日を1週間だけ延ばすと、勤続年数が1年増える」というような状況であれば、会社に退職日を調整してもらえないか、相談することをお勧めします。
 
・退職所得の算出
先ほど算出した退職所得控除を退職金から差し引き、1/2を乗じます。
 
※この金額が税額を計算する元になる「退職所得」となります。
 
・所得税の算出
退職所得に応じた税率を乗じ、控除額を差し引きます。
 
図表2

 
・復興特別所得税の算出
退職所得に復興特別所得税の税率である2.1%を乗じます。
 
・住民税の算出
退職所得に各自治体が定める税率を乗じます。

【例:東京都品川区】

特別区民税6%+都民税4%

※税率に関しては各自治体のホームページなどで確認することができます。
 
・税金の総額を算出
これまでに算出した「所得税」「復興特別所得税」「住民税」を合算して、税金の総額を算出します。
 

2500万円の退職金を受け取った時の税金

先ほど紹介した「退職金にかかる税金の計算方法」を使って、30年間勤務した会社で2500万円の退職金を受け取った場合の税金はいくらになるのか、また手取り額はいくらになるのかを実際に計算していきます。
 

・条件

退職金 勤続年数 住所
2500万円 30年 東京都品川区

 

・計算式

(1)退職所得控除
800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円
 
(2)退職所得の算出
2500万円-1500万円×1/2=500万円
 
(3)所得税の算出
500万円×20%-42万7500円=57万2500円
 
(4)復興特別所得税の算出
500万円×2.1%=10万5000円
 
(5)住民税の算出
・特別区民税の算出 500万円×6%=30万円
・都民税の算出 500万円×4%=20万円
 
(6)税金の総額を算出
57万2500円+10万5000円+30万円+20万円=117万7500円
 
(7)退職金の手取り額を算出
2500万円-117万7500円=2382万2500円
 

まとめ

以上、退職金の概要と税金の計算方法についての解説でした。
 
退職金を老後資金として当てにしている人は多いですが、退職金にどのくらい税金がかかるか把握しておかないと、「手取り額が減って予定が狂ってしまった」なんてことになってしまいます。
 
そうならないためにも老後のライフプランニングを行なう際は、今回解説した内容を活用していただけたらと思います。
 

出典

国税庁 退職金と税
品川区 退職所得に対する住民税
 
執筆者:嘉陽宗一郎
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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