更新日: 2022.06.16 定年・退職

定年退職をした後で行う公的な手続きはどのようなものがある?

定年退職をした後で行う公的な手続きはどのようなものがある?
会社員として働き続けていると、「自分で公的手続きなどほとんどしたことない」という方も珍しくありません。しかし、定年退職すると、今まで会社が行ってくれていた公的手続きを自分で行う必要が出てきます。
 
定年退職前後はやるべきことも多いため、公的手続きはつい後回しにしてしまいがちです。しかし、公的手続きには期限が定められているものも多く、手続きし忘れると面倒なことになるケースもあります。
 
本記事では、定年退職後に自分で行う必要がある公的手続きの種類や手続きの方法を紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年退職後に行う公的手続きは4つ

定年退職にともない、手続きが必要なのは「年金」「雇用保険(失業給付)」「健康保険」「税金」の4つです。これらの手続きは、定年以外の理由で退職した場合も必要になるため、転職したことがある方は経験したこともあるでしょう。
 
定年退職特有の手続きには、退職金に関する手続きがあります。退職金がある会社に勤めていた場合、定年退職前に退職金の受け取り方を決めてください。多くの場合「一時金」と「年金」の2種類から選択でき、それにより税金の納め方が変わります。退職後に行う手続きにも関わってくるので、税務署や税理士などに相談して最適な方法を選びましょう。
 

4つの手続きの具体例

ここでは、実際に退職後に行う、公的な手続きのやり方を具体的に紹介します。一見するとややこしく思えるかもしれませんが、税務署・ハローワーク・市役所などで、丁寧な説明を受けられます。
 
上記4つのいずれも、「どのような手続きを」「いつまでに行えばいいのか」だけ覚えておくことが大切です。退職した後、時間に余裕ができたときに一覧表にしておいてもよいでしょう。
 

年金に関する手続き

まず、定年退職する際に年金手帳を会社に預けている場合は、必ず返却してもらいましょう。
 
公的年金の受給開始年齢は原則65歳からです。65歳までに退職した場合は、毎年誕生日の月に送られてくる「ねんきん定期便」で加入年月などを確認しておきます。
 
そして、老齢年金の受給権を得たら、受給開始年齢に到達する3ヶ月前に「年金請求書」が日本年金機構より送られてきます。そこで間違いがないかを確認し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金請求書と添付書類を年金事務所へ提出します。
 
65歳になる年に定年退職する場合、退職前後に年金請求書が届くこともあります。そこで手続きをしないと年金を受け取れないので、忘れずに手続きしてください。なお、退職金を年金として受け取ることを選択した場合、受取額が増額しますが、その分所得税がアップしますので、注意してください。
 

雇用保険に関する手続き

定年退職後、再雇用もしくは転職を考えている場合は、失業保険を受給することができます。そこで失業手当の算出をするために、退職前6ヶ月間の給与明細を保管しておきましょう。
 
また、定年退職する際に会社から「雇用保険被保険者証」と「離職票」を受け取り、記載内容を確認してください。退職後に住所を管轄するハローワークにこの2つを提出し、求職の申し込みをします。
 
その後、受給者説明会に出席して「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取ってください。この手続きをしていれば、失業手当を受け取ることができます。
 

健康保険に関する手続き

定年退職をしたら、今まで使っていた健康保険を以下の4つのどれかに切り替える必要があります。

1.国民健康保険
2.今まで入っていた健康保険を任意継続
3.特例退職被保険者制度を利用
4.家族の健康保険の被保険者になる

3については、厚生年金を受けている方が75歳まで加入できる制度です。国民健康保険と同程度の負担額で、加入していた健康保険と同程度の保険給付や保険事業を受けられます。ただし、住んでいる市町村によっては、国民健康保険の負担額のほうが安いことがあるので、よく確認したうえで加入してください。
 
また、4については、配偶者や子どもが健康保険に加入している会社に勤めている方のみ行えます。
 
なお手続きで、1の場合は、退職するときに会社から「健康保険資格喪失証明書」を受け取り、退職から14日以内に住んでいる自治体の市役所で行います。
 
2の場合は、退職日の翌日から20日以内に会社経由で行ってください。
 

税金に関する手続き

退職する際に会社から「退職所得の源泉徴収票」や「給与所得の源泉徴収票」をもらいます。退職金を一時金で受給する場合は、会社へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているかによって確定申告が必要かどうか変わります。
 
「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、源泉徴収で所得や復興特別所得税の課税関係の手続きが完了するので、確定申告は必要ありません。
 
一方、提出していない場合は、退職金から一律20.42%の所得税に加えて復興特別所得税が源泉徴収されるので、それを精算するために確定申告が必要となります。
 
また、退職金を年金として受給することを選択した場合、年金の手取りは増えますが、所得税などが増える可能性もあります。
 
なお、定年退職後、公的年金等の収入の合計額が400万円以下、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要です。しかし、年金を受け取りながら仕事をするなどして年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以上になったり、住宅ローン控除や医療費控除を受けたりしたい場合は、確定申告が必要になります。
 

定年退職が迫ったら必要な手続きを確認しておくことが大切

退職後に公的手続きを行う際、会社から受け取った書類が必要になります。退職する前に、自分が必要な手続きの種類と書類を確かめておき、会社にどのような書類を受け取ればよいのか、確認しておきましょう。そうすれば、手続きをスムーズに行えます。
 

出典

知るぽると 退職前後の4大手続き(スケジュール)
日本年金機構 老齢年金請求の手続き
国税庁 退職金と税
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
民法けんぽ 特例退職被保険者制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部