平均余命は延びている! 老後資金として考えておくべき費用とは?

配信日: 2022.06.22

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平均余命は延びている! 老後資金として考えておくべき費用とは?
平均余命は延びています。仮に定年を60歳とすると、定年後には長いセカンドライフが待っているのですが、快適に暮らすためには当然資金が必要です。
 
「老後資金」といわれても、どのような費用を想定しておけばよいのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。FPが解説します。
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

日本人の平均余命

日本人の平均余命は、年々少しずつ延びていて、男性は、1960年に65.32歳だったのが、2000年には、78.64歳、そして、2020年には、81.64歳になりました。また女性は、1960年には、70.19歳、2000年には、84.60歳、そして2020年には、87.74歳になりました(※1)。
 
このため、仮に定年退職を60歳とすると、男性は22年間、女性は28年間の長い老後期間を過ごすことになります。
 

年金の老後2000万円不足問題とは

一時期、物議を醸した「老後2000万円問題」ですが、この「老後2000万円問題」とは、いったいどういったものだったのでしょうか。
 
これは、2019年の金融審議会 市場ワーキング・グループの「高齢社会における資産形成・管理」の報告書に端を発しています。
 
この報告書によると、高齢夫婦無職世帯(夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の平均的な家庭でみると、毎月の収支の赤字額は約5.5万円で、20年後には約1320万円、30年後で約1980万円が不足するというものです。この数値は、あくまでもモデルケースでの老後資金の不足額であり、実際には、人により異なってきます。
 
では、老後の生活費としてどのような費用を考えておいたほうがよいのでしょうか? 大きく3つに分けると
 

●日々の生活にかかる消費支出
●特別なときにかかるイベント費
●医療費・介護

 
があります。
 

老後の生活費

生命保険文化センターが令和元年に行った意識調査によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられる最低日常生活費は、月額で平均22.1万円となっています。分布をみると「20~25万円未満」が29.4%と最も多くなっています(※2)。
 
また、ゆとりのある老後生活費を送るための費用として、最低日常生活費以外に必要と考える金額は、平均14.0万円となっており、最低日常生活費と合わせると、平均で36.1万円です。
 
老後のゆとりのための上乗せの使途としては、旅行・レジャー(60.7%)が、最も多く、趣味や教養(51.1%)、日常生活の充実(49.6%)、身内とのつきあい(48.8%)が続きます。
 
それでは、実際の生活費はどのくらいかかっているのでしょうか?
 
夫婦ともに65歳以上の無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)についてみると、実収入は約23.7万円で、そのうち非消費支出(税・社会保険等)を差し引いた可処分所得(自分で自由に使えるお金)は約20.6万円です。それに対して消費支出は約22.4万円です。平均消費性向(消費支出÷可処分所得)は、109.0%です。
 
また、65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)についてみると、実収入は約13.5万円、可処分所得は約12.3万円となり、消費支出は約13.2万円です。平均消費性向は107.6%となります(※3)。
 
消費支出には、食料品をはじめとして、住居費、交通・通信費、交際費等が含まれます。
 
消費支出に加えて、老後にかかる費用として考えられるのは、子どもの結婚費用に対する援助、住み替え、自宅のリフォーム、車の買い替え、旅行、学び直しの費用などのイベント費です。
 

医療費・介護費

何らかの医療を受けている人の割合は、年齢とともに上がってきます。人口1人あたりの年間医療費をみると、65歳未満は約19万円なのに対して、65歳以上は約75万円となっています(※4)。
 
ただし、この全額を本人が負担するわけではありません。健康保険に加入していれば、医療機関の窓口で支払うお金は3割です。また、75歳以上になると「後期高齢者医療保険制度」に移行し、(住民課税所得が145万円以上ある人を除いて)本人負担は1割です。
 
また、介護費用も老後の資金として考えておかなければいけません。
 
要支援(1、2)、要介護(1~5)と認定がされた場合は、それぞれの介護状態区分に応じて支給限度額が決められおり、限度額の範囲内であれば、自己負担は1割(一定以上の所得がある人は、2~3割)で、限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分は自己負担になります。
 

まとめ

人によって生活レベルは違います。例えばイベント費にしても、子どもがいない人は子どもに援助する必要がありませんし、都心に住んでいれば、車を所持していなくても不便を感じないかもしれません。医療費も65歳を超えると、健康な人と病気がちな人とで、年々大きく分かれてきます。
 
まずは、比較的大きな出費の伴うイベント費について、自分がどのようなイベントにいくらくらいお金をかけようか(かけられるか)、というところから考えて具体化していきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況
(※2)生活保険文化センター 令和元年「生活保障に関する調査」(令和元年12月発行)
(※3)総務省統計局 家計調査報告(家計収支編) 2021年(令和3年)平均結果の概要
(※4)厚生労働省 令和元(2019)年度 国民医療費の概況
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、第一種証券外務員、内部管理責任者

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