更新日: 2022.07.13 介護

家族に介護が必要になったら? 介護保険の利用手続きを解説!

家族に介護が必要になったら? 介護保険の利用手続きを解説!
40歳になったら徴収が開始される介護保険料。
 
この介護保険のおかげで、私たちは40歳から64歳までの間は、老化に起因する特定疾病により要支援・要介護状態になったとき、そして65歳からは原因を問わず要介護および要支援状態になった際に、公的な介護サービスが利用できます。
 
では、実際に家族に介護が必要になった場合、介護保険に基づく介護サービスを受けるためには、どのような手続きが必要なのでしょうか?
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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介護保険制度

介護保険制度とは、加入者(被保険者)が要介護認定を受けた場合に、原則1割(一定以上の所得がある人は、その所得に応じて2割もしくは3割)負担で、サービス事業者による介護の在宅サービスや地域密着型サービス、施設サービスを利用できるというものです。
 
保険者は市町村となっており、財源の半分は税金、そして半分は保険料から成り立っています。
 
(出典:厚生労働省 介護保険制度の概要 ※1)
 

介護保険を利用するには?

介護サービスを利用するには、以下の手順を踏む必要があります。


1.要介護認定の申請
2.認定調査・主治医意見書
3.審査の判定
4.認定
5.介護(介護予防)サービス計画書の作成
6.介護サービス利用開始

これらの手順について、以下に詳しく解説します。
 

■1.要介護認定の申請

介護サービスを利用するために、市区町村の担当窓口に認定申請を行います。その際、第1号被保険者(65歳以上)の人は「介護保険被保険者証」、第2号被保険者(40歳~64歳)の人は、加入している医療保険の被保険者証が必要です。
 

■2.認定調査・主治医意見書

要介護認定の申請を受けた場合、市区町村の認定調査員が自宅や施設を訪問し、要介護状態に該当するかどうかの調査を行います。調査は主に、心身の状態について、本人および家族への聞き取りによって行われます。
 
あわせて主治医の意見書も必要となりますが、その依頼は市区町村が主治医に対して行います。この意見書作成についての、申請者の費用負担はありません。
 

■3.審査の判定

調査員が行った調査結果と主治医意見書の項目の一部をコンピューターに入力し、全国一律の判定方法で要介護度の判定が行われます。この段階ではまだ一次判定です。
 
そして、一次判定の結果と主治医意書を元にして、介護認定審査会が要介護度の判定を行います。これが二次判定です。
 

■4.認定

二次判定の結果に基づき、市区町村が要介護認定を行います。認定内容は、要支援1および2、要介護1から5、もしくは非該当に分かれており、認定結果は申請者に対して通知されます。申請後、認定の通知は、原則として30日以内に行われることになっています。
 
また、この認定内容についても有効期間が設けられています。新規や変更の申請であれば原則として6ヶ月、更新申請の場合は原則として12ヶ月です。有効期間を過ぎると、介護サービスの利用ができなくなる点に注意が必要です。
 
認定を受けた後に心身の状況に変化があった場合は、有効期間中であっても変更の申請が行えます。
 

■5.介護サービス計画書の作成

介護サービスの利用に当たっては、ケアプランと呼ばれる介護サービス計画書の作成が必要です。ただし、認定時に要支援1および2に認定された場合は、介護予防サービス計画書を作成することになります。
 
介護予防サービス計画書の作成は地域包括支援センターに、介護サービス計画書はケアプラン作成事業者に依頼し、ケアマネジャーに作成してもらいます。
 
計画書の作成依頼を受けたケアマネジャーは、どのような介護サービスをどのように利用するかについて、心身の状態、および本人そして家族の希望を考慮したうえで、介護サービス計画書を作成します。この介護サービス計画書の作成についても、費用負担は発生しません。
 

■6.介護サービスの利用開始

介護サービス計画書が作成されたら、介護サービスを提供してくれる事業者と契約を交わし、サービスを利用できます。
 
(出典:厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索 介護サービス情報 公表システム サービス利用までの流れ ※2)
 

介護サービスは現物給付

介護保険による介護サービスは現物給付です。そのため、「在宅サービス(自宅で利用)」や「通所サービス(自宅から通う)」、「入所サービス(宿泊および入居)」、「地域密着型サービス」などが用意されており、介護サービス計画書に基づいてこれらのサービスを利用します。
 
認定結果(介護度合い)によっては利用できないサービスもありますので、注意が必要です。
 

まとめ

家族が介護状態になり、介護サービスを利用しようと思った場合、まず市区町村の窓口に認定申請を行う必要があります。
 
認定通知を受けるまでおよそ30日かかり、その後、介護サービス計画書の作成に移るため、申請してからサービスの利用開始までは1ヶ月半から2ヶ月程度かかると想定しておきましょう。
 
介護が必要になったら、介護する側にも負担がかかります。手続きをスムーズに行うためにも、一連の流れを理解しておき、必要なときにはすぐに手続きを行えるようにしておきましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 介護保険制度の概要
(※2)厚生労働省 介護事業所・生活関連情報検索より サービス利用までの流れ
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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