更新日: 2022.07.21 定年・退職

65歳前後の退職時期はタイミングが重要? 雇用保険の給付額が変わる

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

65歳前後の退職時期はタイミングが重要? 雇用保険の給付額が変わる
雇用保険制度は退職し再就職を検討している人が一定の条件を満たしていると失業手当を受け取れる制度です。これは働き盛りの世代だけではなく、定年後にまた働きたいと考えている人でも利用できます。
 
ただし、65歳前後の人は退職するタイミングによって給付額が変わるため注意が必要です。そこで、この記事では退職するタイミングで変わる雇用保険について分かりやすく解説しますので、退職後に再就職を考えている人などは参考にしてください。
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そもそも雇用保険とは

雇用保険は「基本手当」ともいい、失業者が安定した生活を送りながら少しでも早く再就職できるように給付されている手当です。基本手当の支給対象となる人は原則、離職日以前の2年間に雇用保険への加入期間が12ヶ月以上ある人とされています。
 
ただし、離職の理由が倒産や解雇といった会社都合の場合には、雇用保険への加入期間が離職する日以前の1年間のうち通算6ヶ月以上あれば支給の対象になります。
 
また、基本手当の1日あたりの額は、離職した日の直前6ヶ月間に支給されていた賃金の日額によって決まります。具体的には、59歳以下は離職日直前6ヶ月の賃金の総額を180で割った金額の50~80%、60~64歳は45~80%です。
 
ちなみに、賃金の総額には賞与などは含まず、受け取れる金額には上限があります。そして、給付日数は雇用保険の加入期間や離職理由などによって変わり、自己都合が理由の一般離職者の場合、雇用保険への加入期間が10年未満だと90日、10年以上20年未満だと120日、20年以上だと150日です。
 
対して、倒産や解雇などが理由の離職の場合には年齢や雇用保険への加入期間によって90~330日分の支給があります。
 

65歳以上になると受け取る給付金が変わる!

雇用保険は失業し再就職を検討している人のためにある制度と解説しましたが、基本手当の支給対象となるのは、あくまでも65歳に達していない人だけです。65歳以上で退職し再就職を検討している人は「高年齢求職者給付金」の対象となります。高年齢求職者給付金とはその名のとおり、高年齢で失業した求職者が受けられる手当です。
 
高年齢求職者給付金は、受給対象となる年齢以外に、加入期間に関する受給条件や支給日数なども基本手当と異なります。まず、高年齢求職者給付金の受給対象となるのは原則、離職日以前の1年間の加入期間が6ヶ月以上ある人です。
 
また、支給額は基本手当と同じく離職日直前となる6ヶ月間に支給されていた賃金の日額をもとに算出されますが、支給日数が異なります。雇用保険への加入期間が1年未満には30日分、1年以上だと50日分の支給です。つまり、同じ年数勤務しても、65歳に達してから退職すると、65歳に到達する前に退職するよりも給付額が少なくなります。
 
例えば、基本手当の1日あたりの受給額が6000円で雇用保険に30年間加入し勤務した後、自己都合により退職した人の場合、退職したタイミングが65歳未満だと、支給額は6000円×150日=90万円です。65歳未満を対象とする基本手当では雇用保険への加入期間が20年以上だと150日分の支給があるからです。
 
一方、同じ条件の人が65歳以降に退職すると支給額は6000円×50日=30万円となります。65歳以降を対象とする高年齢求職者給付金では雇用保険への加入期間が1年以上の場合50日分の支給となるからです。この例でみると、同じ働き方をした人でも退職するタイミングが65歳に到達する前か到達した後によって60万円も差が生じます。
 
なお、高年齢求職者給付金は年金と一緒に受け取ることができ、条件を満たせば何度でももらうことができます。
 

少しでも多く手当を受けたいなら65歳になる前に退職を!

65歳前後で退職し、その後に再度就職することを考えているのであれば、退職するタイミングには十分に気を付けなければなりません。退職するタイミングが65歳未満の場合と65歳以降の場合では受け取れる手当の額が大きく変わります。
 
少しでも多く手当を受け取りたいなら、退職する少しのタイミングで損をしないためにも、早めに管轄のハローワークへ手続きに行き、賢く基本手当を受給しましょう。
 

出典

厚生労働省 雇用保険制度
厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~
ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)
厚生労働省 ハローワーク 離職されたみなさまへ <高年齢求職者給付金のご案内>
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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