では、「定年後は貯蓄部分がゼロになる」というのは、どのようなことなのでしょうか。
この記事では、現役時代と定年後における支出の状況や変化についてまとめました。定年後の生活を豊かにするためにも、現役時代から年収や生活費の変化について考えておきましょう。
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定年後は貯蓄よりも財産の取り崩し?
現役時代は、年収から税金や社会保険料、生活費などを差し引いた部分の一部を「貯蓄」などに回すことができます。
しかし、定年後の主な収入源は年金であるケースが多いため、貯蓄に回す部分は大幅に減ってしまうと予想されます。当然、収支の状況によっては財産の取り崩しを行うケースもあるでしょう。
また、現役時代と定年後では支出の状況も変わるため、あらかじめ支出の変化について考えておく必要があります。
定年後に変わる支出とは
現役時代と定年後では、支出はどのように変化するのでしょうか。現役時代と定年後の支出例を図表1にまとめました。
【図表1】
現役世代の支出例 | 定年後の支出例 |
---|---|
・住宅ローン ・教育費 ・社会保険料(厚生年金保険、雇用保険など) ・会社員としての交際費や食費 ・スーツ、ワイシャツなどの被服購入費 ・交通・通信費(自動車等関係費含む) |
・国民健康保険料(退職して社会保険から移行した場合) ・国民年金保険料(妻・夫が60歳未満の場合) ・医療費 ・住居費(リフォーム代など) ・交際費(近所づきあい、子どもや孫への金品贈与など) |
【共通】 ・水道光熱費 ・食費 ・住居費(固定資産税・家賃など) ・各種保険料(生命保険、損害保険など) ・介護保険料 ・教養娯楽費 |
現役時代は、家庭によって住宅ローンや教育費などがかかりますが、定年後にはこれらの費用が不要になっていきます。また、会社員としての交際費や食費、スーツなどの購入費も不要になるでしょう。
一方、定年後は状況に応じて国民年金保険料や国民健康保険料などがかかるほか、趣味や娯楽に充てる費用が増えるかもしれません。このように不要になる支出もありますが、定年後新たに発生する支出があることを頭に入れておきましょう。
資産運用について考えることも大切
ゆとりある老後生活を送るためには、定年後の収入や支出について理解し、現役世代から備えておくことが大切です。
定年後における経済的な不安を解消するためには、貯蓄だけではなく「資産運用」についても考えておく必要があるでしょう。資産運用といっても対象となる金融商品は数多くあるため、商品の性格やリスクを理解し、自身の目的に合った運用を行わなければなりません。
なるべくリスクを抑え、定年後に備えることが主な目的であれば「つみたてNISA」や「iDeCo」などの制度を活用し、長期間の分散投資を基本に考えるとよいでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部