更新日: 2020.04.07 セカンドライフ
今の生活に不安がないが将来に不安 増加する「おひとりさま」のライフプラン
しっかりと計画を立てて安心したはずだったのに、大きくライフプランが変わることがあります。かじ取りを誤ると大きな誤算になります。
執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士
大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。
老後の資金はいくら必要か試算してみる
“おひとりさま”の相談内容で多いのは「マンションの購入を検討している」「資産運用を始めたいので投資について教えてほしい」「老後の準備資金はどれくらい必要か」です。
老後の資金はいくら必要なのか? は、自身がどのような生活をしているのかによって金額が大きく変動します。仮に今の生活費を毎月20万円、老後はその7割で生活するとします。
20×0.7=14万円です。受給する厚生年金の月額をこれも仮に10万円とします。毎月4万円不足しますので、65歳から90歳までの25年間で試算すると4万円×12カ月×25年=1200万円の準備が必要と計算できます。
今40歳なら、65歳までの25年間で1200万円 1200÷25=48 48÷12=4 毎月4万円の積立が必要です。年金の受給額は、誕生月に送られてくる年金定期便で確認することが出できます。準備に必要な積立金額がわかれば、将来の不安も軽減されると思います。
とはいっても、この計算式は年金を受給する65歳まで、しっかり働くことが前提になっています。なるべく長く仕事を続けることがポイントです。仕事をしていると嫌なこともたくさんあります。「仕事、辞めたいな」と思うこともしばしばです。
もし会社を辞めたなら
では、もし途中で会社を辞めた場合を考えてみます。会社によっては55歳や60歳で雇用形態などが変わり、給料が下がることがあります。
「仕事内容は同じなのに、給料が下がった」という嘆きの声を聞きます。やはりモチベーションが下がってしまいます。「いままで頑張ってきたけど、疲れちゃった。予定より少し早いけど、退職しちゃおうかな」こういう考えがよぎります。
辞めてしまうと収入はゼロになりますので、生活費は貯金から取り崩すことになります。基本的には、年金を受給できるのは65歳からです。65歳までは先の例で考えると、不足分の4万円ではなく14万円ずつを毎月取り崩すことになります。
14万円×12カ月=168万円 退職時期を1年早めると、この金額が取り崩されることになります。また会社を辞めることで厚生年金も外れるので、受給できる年金額が予定より減ってしまうことにも注意したいです。
親の介護が心配
多くの人が心配しているのは、親の介護が必要になったときのことです。ひとりっ子や親と同居している場合は勿論ですが、兄弟がいても“単身だと動きやすい”などという理由で負担が増えるケースがあります。介護と仕事の両立が難しいので、介護離職する人も多いのが現状です。
ですが会社を辞めることで、今だけでなく将来のライフプランも大きく変わってしまいます。勤務しながら介護ができるように、時短勤務や介護休暇・介護休業といった制度も整ってきました。
専門家は、「介護休暇や休業は“介護”に充てるのではなく、先ずは介護保険の手続きやケアマネージャーなどとの打ち合わせに使ってほしい。介護は長く続くので、体制を整えることが重要」といいます。
プロに相談して手を借りることで、離職をしない方法を探ることが重要だと思います。
Text:宮﨑 真紀子(みやざき まきこ)
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士