更新日: 2022.08.24 定年・退職

未婚の人が増加。定年後の“おひとりさま”に必要な資金をFPが解説!

未婚の人が増加。定年後の“おひとりさま”に必要な資金をFPが解説!
近年、未婚の人が増加傾向にあります。それに伴い、結婚をせずに単身で老後を過ごす人も増加することでしょう。
 
現在はバリバリ働いて稼いでいる“おひとりさま”もいずれは定年退職を迎え、セカンドライフを過ごすことになります。
 
老後資金についてどのように考え、どのように用意(貯蓄)していけばよいのでしょうか?
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

未婚の割合

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2022年)」によると、2020年の50歳時の未婚率は、男性が28.25%、女性が、17.81%になっています。
 
50歳時の未婚率とは、「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したもので、5年に一度行われる国税調査の結果に基づいて算出をしています。
 
過去の数値をみると、1980年の50歳時の未婚率は、男性2.60%、女性4.45%でしたが、2000年になると、男性12.57%、女性5.82%、2010年になると男性20.14%、女性10.61%となり、未婚率が年を追うごとに増加しています。
 
未婚率の増加の原因としては、非正規社員の男性の増加、女性の社会進出、家庭内での役割分担についての男女の価値観の違いが挙げられます。また、未婚の男女に対する世間の目が、寛容になったことも一因です。
 

老後にかかる費用

高齢者(65歳以上)単身無職世帯の消費支出の月平均は、トータルで13万3146円です。
 
食料品の負担がもっとも重く3万6581円で、そのほかに住居費(1万2392円)、光熱・水道費(1万2957円)などがかかります。
 
非消費支出(税金・社会保険料など)は1万1541円です。実収入は89%が社会保険給付です。実収入(13万6964円)から、消費支出と非消費支出を引くと、不足分7723円になります(※1)。
 
これら日々の生活費に加えて、大きな支出として、自宅のリフォーム費用や車の買い替え費用などがあります。
 
リフォームを実施する世帯主の半数以上が60歳以上で、動機としては、「住宅が傷んだり汚れたりしていた」や「家を長持ちさせるため」のほか、「家族や自分の老後に備えるため」も挙げられています。1回のリフォーム費用は平均201万円です(※2)。 
 
車の買い替えには50万~200万円かかります。都心で暮らす人は、車を主に仕事やレジャー用として保有しているので、老後は、車がなくても日々の生活には困らないかもしれませんが、地方では交通機関が不便なので、高齢になってもなかなか車を手放せないという現状があります。 
 

老後資金の貯め方

老後資金が生きているうちに底をつかないために次のことを考えましょう。
 

1.支出を減らす

日々どのようなことに出費をしているか、まずは、洗い出してみましょう。その上で無駄遣いをしていないか検討をしてみましょう。
 
外食を減らす、光熱費を節約する、交際費や教養娯楽費を見直すなどを意識してみましょう。
 

2. 元気でいるうちはなるべく長く働く

65歳以降は、年金を受け取りつつ、無理のない範囲で働きましょう。月数万円でも収入が増えれば、そのお金で趣味や旅行に使うことができます。
 

3. 長期運用で資産を増やす

老後資産を作る際は、長期・分散・積み立てを利用した運用で、効率的に資産を増やしていくことが重要です。
 
退職後も、すぐに使う予定のないお金の一部を運用にまわすなどして、資産を増やしていくことが大切です。
 
税優遇のあるNISA、つみたてNISA、iDeCo(65歳まで積立可能)制度を活用することも、念頭におきましょう。
 

4. 公的年金の繰下げ受給で年金額を増やす

公的年金の受給開始は65歳からですが、60歳~75歳の間は、1ヶ月単位で受給開始を早めることも遅くすることもできます。
 
1ヶ月遅くするごとに、年金額が0.7%増えます。70歳で受け取れば42%、75歳で受け取れば84%増額します。
 
増額した率の年金は生きている限り続くので、すぐに年金を受け取らなくて生活がしていけるのであれば、繰り下げ受給をして将来の年金額を増やすことを検討してみましょう。
 

まとめ

高齢になると、賃貸物件が借りにくくなります。特に高齢者のひとり暮らしは、同居人がいる場合と比べて、孤独死のリスクを避けたいと思う家主から断られる割合が高くなります。
 
一生、独身で過ごすと決めた場合は、マイホームの購入を検討することも一案です。その場合は、繰り上げ返済をするなどして、定年までにローンを返済するようにしましょう。
 
また、おひとりさまの場合、会社を辞めた後は孤独になりがちです。
 
無理して気が合わない人と付き合ったり、やりたくないことをする必要はありませんが、気の合う人と会って楽しく話をしたり、趣味の教室に行ったりすることで、心身の健康が保たれます。
 
そのためには、交際費や趣味に使える、ある程度のお金を確保しておきましょう。
 

出典

(※1)総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)よりII 総世帯及び単身世帯の家計収支
(※2)国土交通省住宅局 令和3年度 住宅市場動向調査 報告書
国立社会保障・人口問題研究所 ホームページ
国立社会保障・人口問題研究所 人口統計資料集(2022年版)
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者

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