2022年に還暦を迎えます。老後に備えて貯蓄額はどのくらいあれば足りますか?

配信日: 2022.08.26

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2022年に還暦を迎えます。老後に備えて貯蓄額はどのくらいあれば足りますか?
長寿の日本人にとって老後への備えは大きな課題となりますが、還暦を迎える60歳の時点では、どれくらいの貯蓄があれば安心できるのでしょうか。
 
今回は、老後が差し迫った還暦の方の貯蓄について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

老後の平均的な生活費はどのくらい?

老後の生活で必要となるお金は、ライフスタイルやライフプランなど個別の事情によっても異なります。そのため、どれくらいの老後資金があれば安心できるのかというのは一概には言えませんが、老後の平均的な生活費については統計から考えていくことができます。
 
総務省の家計調査年報(令和3年)によれば、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における1ヶ月当たりの消費支出は約22万4000円、65歳以上の単身無職世帯では約13万2000円となっています。
 
これは老後の生活費を考える上での1つの目安になりますが、あくまでも平均であり、病気やケガ、自宅のリフォームなど、その時々で必要となる支出によって増えることもあるでしょう。
 
また、令和4年度の老齢年金の支給額は、国民年金のみの場合で月額6万4816円、厚生年金(平均的な収入の夫と専業主婦の妻の場合で、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な給付水準)は月額21万9593円です。
 
老後の平均的な消費支出と年金の支給額から、多くの場合、年金収入だけでは生活費が不足する可能性が高いことが考えられます。もちろん就労して収入を増やすことも可能ですが、年齢や健康状態を踏まえると、いつまで働けるかは分からないので、やはり老後はある程度の貯蓄など切り崩せる資産が必要となります。
 

還暦時点での貯蓄額の平均は?

プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社が実施した「2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」の結果では、令和4年に60歳となり、還暦を迎える方の貯蓄(配偶者がいる場合は夫婦2人分)の平均額は3122万円となっています。
 

図表1

 
出典:プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査
※PGF生命調べ
 
ただし、上記はあくまでも貯蓄額の平均であり、60歳時点でこれだけの貯蓄が必要というわけではありません。
 
例として、公的年金と個人年金で老後の生活費を賄える状態であれば、万が一の際の医療費など突発的な支出や、あらかじめ予想できる大きな金額の支出にのみ、貯蓄で対応できるようにしておくだけでも大丈夫といえます。
 
具体的な支出については次のように考えるだけでも、ある程度は試算することができます。
 
例えば夫婦で90歳まで生きると仮定し、日々の生活費は年金で賄えるとしても、「夫婦2人分で毎月10万円の医療費の支出が5年続いても大丈夫なようにしておきたい」「住宅のリフォーム費用で300万円はかかる」などです。
 
さらに万が一の支出への備えとして、1年分の生活費である270万円程度(前述の夫婦のみ無職世帯の消費支出を基に計算)は用意しておきたいと考えた場合、合計で1170万円くらいは必要だろうと貯蓄額を想定していきます。
 

還暦時点で必要な貯蓄ができていない場合はどうする?

前述の調査の結果では、還暦時点での平均貯蓄額は3000万円を超えている一方で、最も回答が多かった貯蓄額は100万円未満となっていました。
 
では、老後の生活を目前に控えて十分な貯蓄ができていない場合、どう対応すればいいのでしょうか。
 
現実的には生活費を節約して貯蓄に回したり、60歳以降も可能な間は就労して生活費を稼ぎ、年金を繰り下げ受給して受給額を増やすといった方法をとることになります。それでも老後の生活に行き詰まってしまうような場合は、生活保護の受給など公的制度を頼ることにもなるでしょう。
 
いずれにせよ、還暦時点で十分な貯蓄、または必要最低限の貯蓄ができていないからといって、老後の生活がまったくできないと焦らずに、今からでも対策できることや、今後どう対応していくかを前向きに考えることが大切です。
 

老後の備えに対する不安はFPへ相談を

令和4年に還暦を迎える方の貯蓄の平均額は約3100万円という調査結果がありますが、必ずしも3000万円を超える貯蓄がなければ老後の生活ができないわけではありません。
 
老後に備えた貯蓄などで不安がある方は、一度、ファイナンシャルプランナーに相談をしてみてください。個別の事情に応じて必要な貯蓄額や今後の方針など、適切なアドバイスが受けられるはずです。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
プルデンシャル ジブラルタ ファイナンシャル生命保険株式会社 2022年の還暦人(かんれきびと)に関する調査
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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