更新日: 2022.08.26 定年・退職

中小企業の退職金事情はどうなっている? 制度がある会社はどのくらい?

中小企業の退職金事情はどうなっている? 制度がある会社はどのくらい?
日本の会社では、退職時に金銭が給付される退職金制度が一般的に採用されています。
 
ただ、退職金は法律に定められた制度ではなく、会社が福利厚生の一種で独自に設けているサービスの一種です。そのため、会社によっては退職金がもらえないこともあります。特に中小企業では、大企業より退職金制度を設けている会社が少ないとされます。
 
そこでこの記事では、中小企業の退職金事情について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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中小企業は大企業より退職金制度がない企業の割合が多い

東京都産業労働局が公表している「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によれば、10~299人の従業員を抱える都内中小企業において、退職金制度を実施していると回答した企業は全体の65.9%です。一方、退職金制度を実施していないと回答した企業は20.9%、無記入が13.2%という結果になっています。
 
厚生労働省が実施した「就労条件総合調査(平成30年版)」でも、退職金制度の有無を調査した結果が公表されており、それによれば従業員数が1000人を超える企業の場合、退職金制度を実施している企業割合は実に92.3%に上ります。
 
両方の結果を比較すると、やはり大企業より中小企業は退職金制度を実施している企業の割合が少ないようです。
 

退職金制度を実施する中小企業は減少傾向

中小企業の退職金事情は、過去と比較した場合ではどのように変化しているのでしょうか。
 
同じ東京都産業労働局が公表している「中小企業の賃金・退職金事情」の平成24年版を見ると、退職金制度を実施している中小企業の割合は全体の77.7%でした。退職金制度がない企業割合は21.1%で令和2年と大差ありませんが、退職金制度があると回答した企業は平成24年から令和2年までの8年で減少傾向にあることが分かります。
 
退職金制度は法律上の義務ではなく、企業が独自に定める制度です。退職金の保険制度もありますが、退職金の財源を確保するのは企業ですから、景気が後退すれば財源の確保も難しくなります。特に中小企業は景気の影響を受けやすいため、不景気になれば退職金制度を維持できない中小企業も増えることになるのです。
 
実際、退職一時金の支払い準備形態において、社内で退職金の原資を積み立てる社内準備の割合は、平成24年から令和2年で減少しています。こうした影響が中小企業の退職金事情に反映しているという見方もできるでしょう。
 

中小企業の従業員は退職金をいくらもらえる?

中小企業の退職金事情では、退職金があるかどうかだけではなく、いくらもらえるのかという点も気になるところです。
 
東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情」の調査では、モデル退職金というデータが公表されています。東京都産業労働局の説明によると、モデル退職金とは「卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準」のことです。
 
これによれば、令和2年度版で中小企業の従業員が定年時に受け取れる退職金額は、高校卒で約1031万円、高専・短大卒が約1026万円、大卒が約1118万円となっています。
 

半数以上の中小企業が退職金制度を実施しているが、将来性は不透明

中小企業の退職金事情は、大企業ほど充実しているわけではありませんが、それでも半数以上の企業で制度が実施されています。ただ、一昔前に比べて、退職金がある中小企業の割合は減少傾向にあることも事実です。
 
老後の生活を考えれば、退職金はなるべく受け取りたいところですが、今後も減少傾向が続けばそうはいかないかもしれません。そのため、老後の設計は退職金に頼らないビジョンを描いておく必要があるでしょう。
 

出典

東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版) 第7表 退職金制度
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版) 第8表 モデル退職金
厚生労働省 就労条件総合調査3_退職給付(一時金・年金)制度
東京都産業労働局 中小企業の賃金・退職金事情(平成24年版)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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