更新日: 2022.08.30 セカンドライフ

定年後の再就職は難しい? メリット・デメリットは?

定年後の再就職は難しい? メリット・デメリットは?
人生100年時代。定年になったからといって、かつてのように隠居生活に入るよりも、働くことを選択する人が多い時代になってきました。定年後も働く理由としては、生活資金のためや、社会との接点を持ち続けたい、趣味や娯楽を楽しむ資金を得るためなど、さまざまなものがあります。
 
定年後の就労の選択肢としては、今勤めている会社で再雇用をしてもらう、他の会社に再就職をする、起業をするといったものがあります。
 
今回は、定年後の就労の現状を理解し、再就職のメリット・デメリットについて確認してみます。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

定年した人の就労状況

令和4年度6月24日付の厚生労働省の調査によれば、60歳定年企業において、継続雇用をした人は86.8%(うち子会社・関連会社等での継続雇用者は3.1%)、継続雇用を希望しない定年退職者は13.0%、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は0.2%であると公表されています。
 
この数字を見ると、定年退職後の就労先として同じ会社を選択しているケースがほとんどであることがわかります。継続雇用を希望しない人は、再就職したり、起業したり、あるいは病気療養などをしていると思われます。慣れ親しんだ職場で、今まで一緒に働いてきた同僚たちと仕事をすることを選択している人が多く、再就職をする人は再雇用に比べて大幅に少ないことがわかります。
 
次に、定年後に再就職する際のメリット・デメリットを考えてみましょう。
 

再就職のメリット・デメリット

<メリット>

(1) 自分のやりたい仕事を選べる
昔からやりたいと思っていた仕事、趣味を生かせる仕事、社会貢献につながる仕事など、自分の夢や希望に沿った仕事が選べるかもしれません。
 
(2) 新たな気持ちで仕事に取り組める
定年近くになると役職定年となって責任ある仕事から外されたり、給与が下がったり、部下が上司になったりなど、ストレスフルな勤務状況になることがあります。そういった不満や閉塞(へいそく)感のある状況を一新することができ、心機一転、新たな気持ちで仕事に取り込めるようになります。
 
(3) しがらみのある人間関係を解消できる
いままで勤めていた会社の上司や部下、同僚などの人間関係を解消し、新たな職場で、新しい人間関係を構築できます。また、人間関係がさらに広がる可能性があります。
 

<デメリット>

(1) 仕事を自分で探さなければならない
再雇用であれば、会社が手続きをやってくれて、今までの職場で、今までの仕事を続ければいいのですが、再就職となるとそうはいきません。再就職するには知人の紹介などで就職先を見つけられる方以外には、自分で就職先を探す必要があります。その方法としては、転職サイトへの登録や再就職支援サービス、シルバー人材センターやハローワーク(公共職業安定所)に登録して職業を紹介してもらう必要があります。
 
また、60歳以降の求人は、若い人と違って数が限られており、なかなか就職先が決まらず、精神的にもきつい場面を経験する可能性があることも覚悟しておく必要があるかもしれません。
 
(2) 希望した仕事が見つかりにくい
定年後なると、専門的なスキルがあれば別ですが、例えばビルの清掃や警備、トラックやタクシーの運転手、マンション管理人などは、比較的就職しやすいかもしれませんが、ご自身の希望と実際の再就職先での仕事の内容にギャップを感じるかもしれません。また、前職よりも雇用条件が悪くなったり、賃金水準が折り合わなかったり、仕事の内容に興味が持てなかったりしてなかなか仕事を決められず、再就職活動が結果として長引いてしまうこともあるでしょう。
 

まとめ

定年後は、多くの人が再雇用の道を選ぶ傾向にあります。定年後に再就職する人は、自分のやりたかったことに挑戦できたり、過去の人間関係を清算し、新たな気持ちで仕事に取り組めるなどのメリットがある反面、再就職の求人が少なく再就職先が決まるまでに時間がかかったり、処遇が希望を下回り、希望の仕事につけないこともあります。
 
再就職にあたっては、こういったメリット・デメリットを十分に認識するとともに、できれば再就職に有利になるような専門的な知識や技能を身に付けておくのが良いでしょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します (令和4年6月24日付)
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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