老後の不動産活用。いろいろあるみたいだけどどれがよい?

配信日: 2022.09.06

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老後の不動産活用。いろいろあるみたいだけどどれがよい?
老後資金を調達する手段として、自宅など自分が保有している不動産を活用する方法があります。主に「リースバック」「リバースモーゲージ」「不動産担保ローン」といわれるものですが、それぞれの方法にはメリット・デメリットがあり、検討する際には特徴および注意点を理解したうえで、自分にあった方法を選択する必要があります。
 
今回は、老後の不動産活用方法における、それぞれの仕組みと活用方法、メリットや注意点について解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
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リースバック

リースバックとは、自宅を売却し、売却代金を一括で受け取り、老後資金として活用する方法です。そして、売却したあとは、リースバック業者と賃貸契約を結ぶことで、賃料を支払いながら、その家に住み続けることができる仕組みです。
 

■リースバックのメリット

リースバックには、以下のメリットがあります。
 

●自宅を売却した後も、同じ家に住み続けることができる
●リースバック業者に買い取ってもらう仕組みのため、現金化が早い
●自宅を売却するため、固定資産税の負担がなくなる
●不動産価格の下落や災害による家屋損壊といった、不動産所有のリスクがなくなる
●将来買い戻したいと思った際に買い戻せる「買い戻し特約」を付帯できるケースがある

 

■リースバックを利用する際の注意点

上記のメリットと合わせ、以下の注意点もしっかりと理解しておきましょう。
 

●通常の売却と比べ、売却価格が低くなるケースが多い
●売却後は賃貸住まいとなるため、自宅の使用に一定の制限が生じる
●賃貸契約は「定期借家契約」が一般的なため、一生住み続けられるわけではない
●売却後、新たに家賃負担が発生するため、家計管理の見直しが必要である

 
リースバック業者によって異なりますが、賃貸契約は定期借家契約が一般的です。長く住み続けたいなら、普通借家契約を取り入れているリースバック業者を探すようにしましょう。
 
リースバックは、自宅を遺産として遺(のこ)すつもりがなく、早急に資金調達を希望している場合に好まれる方法です。
 

リバースモーゲージ

リバースモーゲージとは、自宅を担保にして老後資金を借り入れる方法で、生きている間は借入資金に対する利息分だけを返済し、死後に自宅を売却して借入元金を返済する仕組みです。
 

■リバースモーゲージのメリット

リバースモーゲージの利用には、以下のメリットがあります。
 

●借入元金の返済は死後に行うため、その分返済の負担が軽減される
●自宅に住み続けながら、融資限度額の範囲内で老後資金が借りられる
●借入元金の返済方法については、自宅の売却、現金による返済を選ぶことができ、生前に繰り上げて返済する方法もある
●借り入れた本人の死後も配偶者に債務(担保物件である自宅)を引き継げる場合があり、配偶者の住まいを確保することができる

 
このように、自宅に住み続けながら借り入れによって老後資金を調達でき、かつ、自宅の所有権は失われない点がリバースモーゲージの特徴です。
 

■リバースモーゲージを利用する際の注意点

●長生きをすることにより、融資限度額いっぱいまで使ってしまい、老後資金が足りなくなるリスクがある
●融資限度額は定期的に見直されることから、不動産価格の下落時には借入残高が限度額を上回る可能性もあり、その場合は差額を直ちに返済しなければならなくなる
●資金使途が老後資金に限定されている
●借入可能額が通常の不動産担保ローンと比べ低い傾向にある
●契約の際に推定相続人全員の合意が必要となる場合が多く、手続きに一定の時間がかかる
●対象となる物件に制限がある

 
リバースモーゲージでは、推定相続人全員の合意が必要となるため、契約の際にネックになる可能性もあります。資金調達まで時間的な余裕があり、自宅を相続人の誰かが引き継ぐ可能性がある際に選択肢となり得るといえるでしょう。
 

不動産担保ローン

不動産担保ローンとは、自宅を担保にして老後資金を借り入れる方法で、リバースモーゲージと似ていますが、借り入れ直後から元金と利息の返済が始まる点が異なります。自宅は担保となりますが、もちろんそのまま住み続けることができます。
 

■不動産担保ローンのメリット

不動産担保ローンのメリットは以下のとおりです。
 

●生前に借入元金と利息の返済を行うことで、原則として自宅を遺産として遺せる
●借入可能額が担保評価額の7~8割程度と、リバースモーゲージよりもやや高い
●資金使途の自由度が高い。

 
不動産担保ローンは資金使途の自由度が高く、事業資金などに利用することもできます。借入金を完済することで抵当権は抹消されるため、相続人がいる場合は遺産として遺すことも可能です。
 

■不動産担保ローンを利用する際の注意点

●生前に借入元金と利息の返済が発生するため、一定額の返済負担が続く
●万が一返済不能の状態に陥った場合は、自宅を失う可能性がある

 
不動産担保ローンは、年金以外にも一定の収入がある人など、返済能力の高い人や、事業資金などの目的で資金調達を行いたい人に向いているといえます。
 

まとめ

リースバック、リバースモーゲージ、そして不動産担保ローンそれぞれに、活用方法の違いがあり、最終返済方法においても不動産の売却なのかそれとも資金の借り入れなのか、また、返済は生前に行うのか死後に行うのかなどの違いがあり、メリットや注意点についても異なります。資金調達の目的や必要な時期、不動産を遺産として遺す希望があるのかなど、状況に応じた調達手段を選ぶようにしましょう。
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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