更新日: 2022.09.06 定年・退職

【定年後に不意打ちの納付書】が送られてきた!一体何の税金がかかるの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【定年後に不意打ちの納付書】が送られてきた!一体何の税金がかかるの?
定年退職をようやく迎え安心したのもつかの間、ほとんどの人には住民税の納付書が届きます。
 
現役最後の年の年収で計算されることから10万円単位の税額になることが多く、年金生活に入る人にとって大きな負担になるでしょう。退職後の納税を想定しているか否かで、納付書が届いた時の「衝撃」は全く違うはずです。
 
今回は、定年退職後の税金について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

最も注意が必要なのは住民税

定年退職後の税金で最も注意が必要なのは住民税です。
 
住民税は前年分の所得に対して課税されます。これを「前年所得課税」といいます。そして会社員の住民税は6月から翌年5月の給与で天引きされ、会社が本人に代わって市区町村へ納めます。これを「特別徴収」といいます。
 
定年退職した場合には、現役だった前年分の住民税をまだ納めておらず、さらに会社を退職しているため、給与から天引きしてもらうこともできないということになります。
 
また、退職日が5月以外の場合には、天引きしきれていない住民税が残っているということです。どう扱われるかは会社との相談次第になりますが、最後の給与から全額天引きされる、退職金から天引きされるなどが考えられます。
 

自宅に住民税納付書が届く

会社員は特別徴収になるため、住民税納税通知書も会社に届いていましたが、退職後は自宅に納付書と共に送付されてきます。税額は、毎月の給与から天引きされていた金額の12ヶ月分に近い金額になるでしょう。
 

自身での納付は一括または年4回

特別徴収の場合には給与から毎月天引きされる12回払いでしたが、普通徴収という自身での納付の場合には、一括もしくは年4回払いになります。
 
納付期日は市区町村によって多少前後しますが、6月、8月、10月、1月というような間隔となっています。期限を1日でも過ぎてしまうと、督促手数料や延滞日数に応じた延滞金がかかるため、忘れないように注意しましょう。
 

その他退職後にかかる税金


 
定年退職する前年分の住民税の他、退職後にかかる税金は次のようなものがあります。
 

年金にかかる所得税

年金は給与と同様に収入になるため、所得税と住民税の課税対象になります。会社員時代のように年末調整がないため、自身で確定申告して納税しなければならない点に注意しましょう。
 
ただし、公的年金等の収入合計が400万円以下で、かつ、公的年金等にかかる雑所得以外の所得が20万円以下の場合には、確定申告をしなくても良いことになっています。
 
しかし、確定申告しないからといって、所得税と住民税がかからないというわけではありません。公的年金等の振込金額は、既に所得税が差し引かれた金額となっているからです。これを源泉所得税額といいます。
 
なお、公的年金等の所得を計算する際には、公的年金等の収入額から「公的年金等控除」を差し引くことができます。公的年金控除は次の通り、65歳を境に金額が異なっています。

・65歳未満:60万円
・65歳以上:110万円

このほか、誰にでも共通して設けられている基礎控除48万円を合わせると、65歳未満では108万円以下、65歳以上であれば158万円以下の公的年金収入までは所得税がかからないということになります。
 

年金にかかる住民税

公的年金等にかかる住民税は、公的年金等の支払い元から市区町村へ提出される「年金支払報告書」によって計算され、通知書と納付書が自宅に送付されます。納付方法は、「自身での納付は一括または年4回」と同様です。
 

固定資産税

マイホームなどの不動産を所有している場合には、固定資産税が毎年かかります。不動産を所有し続ける限り発生する税金であり、定年退職は関係ありません。これまでと同様にかかります。
 

退職金は既に課税済み

退職金には退職後の生活を守る大切な役目があることから、大きな「退職所得控除」が設けられており、税金の負担が最小限で済むように配慮がなされています。そして、会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出することで、適切な課税が行われた後の金額が振り込まれるため、確定申告をする必要はありません。
 
ただし、あくまでも「確定申告しなくても良い」という意味です。確定申告しても問題ありません。では、どういう場合に退職金の確定申告を行うのでしょうか。
 

退職金の源泉所得税は還付の可能性あり

基本的に確定申告は不要となっている退職金で確定申告をする場合とは、「源泉所得税の還付」を受けられる場合です。
 
退職金から差し引かれた源泉所得税は、勤続年数など退職金に関する要件でのみ計算されており、人的控除や社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除などの所得控除は考慮されていません。よって、退職金を受け取った年の所得控除が多い場合などには、確定申告することで源泉所得税が還付される可能性があるのです。
 
なお、住民税については、退職金からの天引きで完結するため還付はありません。
 

まとめ

定年退職して給与収入がなくなったからといって、税金から解放されるわけではありません。まずは、定年退職後1年以内に届く住民税の存在を知っておきましょう。
 
年金受給者になった後は、年金収入にかかる所得税と住民税にも注意が必要です。確定申告不要の要件に合うからと放置するのではなく、還付の有無まで確認しておきましょう。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和4年度版)退職金と税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集