更新日: 2022.09.07 定年・退職

定年退職前後にやっておきたい手続きとは? 退職金の受け取り方についても解説

執筆者 : 新井智美

定年退職前後にやっておきたい手続きとは? 退職金の受け取り方についても解説
定年退職を迎えるにあたって、いろいろと必要な手続きが発生します。
 
事前にどのような手続きがあるのか、また「必ずやらなければならない手続き」と「やっておくとよい手続き」を把握しておくことで、効率よく手続きを進めることができます。
 
本記事では、定年退職前後にやっておきたい手続きの内容を紹介するとともに、退職金の受け取り方についても解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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定年退職前後にやるべきこと

定年退職前後は、「雇用保険の給付」や「健康保険の選択」「公的年金の受け取り方」など、考えなければならないことがたくさんあります。項目によっては該当しない人もいるかもしれませんが、手続き内容を把握し、確認しておきましょう。
 

■雇用保険について

まず、定年退職後に働くかどうか、働くならどこで働くのかを決める必要があります。併せて、失業等給付を試算するため、給与明細を確認しましょう。さらに雇用保険被保険者証の有無も確認しておくとよいでしょう。
 
そして、退職時には会社から離職票を受け取るのを忘れないようにしてください。その上で、失業等給付を受ける場合は、ハローワークにて求職申し込みを行う必要があります。
 

■公的年金について

公的年金の受け取りが近づいてきたら、ねんきん定期便やねんきんネットで加入記録などを確認します。その際には合わせて配偶者の加入記録も確認しておくとよいでしょう。そして、会社が年金手帳を保管している場合は、退職時に受け取ります。
 
年金受け取りの手続きは年金請求書が届いてから年金事務所などで行います。繰り下げ受給を考えているなら、その間の生活費などの必要資金が備わっているかどうかを確認しておきましょう。
 

■健康保険について

定年退職後は、どの医療保険制度に加入するか検討する必要があります。国民健康保険に加入するのか、退職前の会社の健康保険組合の任意継続被保険者となるのか、もしくは家族の保険の被保険者になるのか、人によっては最大3つの選択肢がありますので、それぞれのメリットやデメリット、加入要件などを事前に確認しておきましょう。
 
また、念のため健康保険被保険者証のコピーを取っておくとよいでしょう。そして、退職時には本人および被扶養者分の健康保険被保険者証を会社に返却します。
 
国民健康保険に加入する場合は、健康保険資格喪失証明書を会社から受領し、資格喪失後14日以内にお住まいの市区町村の窓口にて加入手続きを行います。また、任意継続被保険者を選択する場合は、退職後20日以内にお住まいの住所地を管轄する協会けんぽ支部で手続きを行う必要があります。
 

定年退職前後に考えておきたいこと

上記で紹介した雇用保険や公的年金、健康保険の手続きは必ず発生しますが、以下の内容についても併せて考えておきましょう。
 

■生命保険

会社の団体保険に加入している場合、保険の継続が可能なのか、もしくは解約する際の退職後の保障内容について考える必要があります。退職後の必要保障額を試算し、無駄のない保障内容に切り替えてもよいでしょう。
 

■住宅ローン

住宅ローンの返済がまだ残っているなら、退職時の残高を確認しておきましょう。そして、退職後の返済計画に無理がないかを事前に確認しておくことが大切です。
 

■税金

退職金の受け取り方を選べる場合は、どのように受け取るかを検討しましょう。さらに、退職金の受け取り方によってかかる税金が異なることを把握しておくことも大切です。退職所得控除を利用するための「退職所得の受給に関する申告書」を提出し、さらに、退職後、年末までに再就職しない場合は確定申告を行う必要があります。
 
また、退職した翌年は住民税の負担が大きくなりますので、その支払いのための資金を確保しておきましょう。
 

退職金の受け取り方

退職金の受け取り方については、一時金、年金、双方の組み合わせなど、会社によって異なります。そのため、事前に就業規則を確認しておくと安心です。
 
一時金で受け取る場合は退職所得に該当し、退職所得控除の対象になります。退職所得は退職金から退職所得控除額を差し引き、さらに2分の1を乗じた額です。退職所得は他の所得と合算せずに単独で税金を計算する分離課税です。一括で受け取れば、まとまった金額となることが考えられますので、それらを原資に自分で管理や運用ができる点がメリットです。
 
なお、退職所得について「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は、会社で所得税や復興特別所得税および住民税を計算し、源泉徴収を行うため、原則として確定申告は不要です。
 
申告書を提出しなかった場合は、退職金額の20.42%の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されますが、確定申告することにより精算できます。住民税は、申告書の提出の有無に関係なく、退職所得の10%が特別徴収されます。
 
年金で受け取る場合は、雑所得として公的年金等控除の対象となります。安定的に一定金額が受け取れますが、毎年他の所得と合算されるため、税金や社会保険料に影響する可能性があるため、注意が必要です。
 

まとめ

会社を退職して、その年の12月31日までの間に再就職していない場合や、再就職しても12月31日までに辞めた場合は、年末調整が受けられないため、期限内に自分で確定申告をし、納税する必要があります。なかには還付が受けられるケースもあります。
 
退職の際には、さまざまな手続きが必要で、なかには手続きの期限が決まっているものもあります。自分で優先順位をつけて、段取りよく進めていきましょう。また、これからの働き方や保障の見直しなども考えなければなりません。
 
退職前の段階から取り組めるものがほとんどですので、早い段階から検討し、必要な手続きを進めておくようにしましょう。
 
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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