更新日: 2022.09.10 定年・退職

定年後の生活費はどう変わる?

定年後の生活費はどう変わる?
働き世代のみなさま、定年後の生活費のプランは考えていますか? 「老後資金2000万円問題」という言葉は周知されましたが、マイホームや子どもをもつ世帯は「それどころではない」という人も多いことでしょう。
 
ただ、会社員や公務員として働く限り、やがて定年が訪れます。自身で事業を行っている人に定年はありませんが、それでも生涯現役を貫ける方はそう多くはないでしょう。リタイア後の生活に困らないよう、今からできる限りの対策をするためには、まず「老後の生活費」を知ることからスタートします。
 
今回は、定年後の生活は現役時代とどう変化するのかについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年後にかかる生活費は平均22.4万円


 
総務省統計局の調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における平均生活費(月額)は、22.4万円という結果になっています。生活費の内訳は次の通りです。
図表1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の生活費(消費支出)
 

費目 金額(1000円未満切り捨て)
食費 6.5万円
住居費 1.4万円
水道光熱費 1.9万円
日用品費 1万円
被服費 0.4万円
医療費 1.6万円
交通・通信費 2.6万円
教養娯楽費 2.1万円
その他(交際費など) 4.6万円
合計 22.4万円

 
「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)2 総世帯及び単身世帯の家計収支」(総務省統計局)より筆者作成
 

現役時代と定年後の生活費を比較

上の生活費を現役世代の人が見ると、少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。現役時代と定年後では生活が大きく変わります。生活の中心は仕事から自宅に移り、人間関係も変化します。一般的な定年に伴う生活費の変化を見てみましょう。
 
図表2 定年後の生活費の変化
 

現役時代の生活費 なくなる生活費 増える生活費
・食費
・住居費
・水道光熱費
・日用品費
・被服費
・医療費
・交通・通信費
・教養娯楽費
・交際費
・子育て費用
・仕事に関する費用(スーツなど)
など
・住宅ローン(定年時期に
完済予定の場合)
・仕事上の交際費
・子育て費用(独立している場合)
・仕事に関する費用
など
・マイホームの修繕費
・介護費用
・医療費の増大
・退職後の交際費
・余暇を楽しむための費用
・国民健康保険料
・後期高齢者医療保険料
(75歳以降)
など

 
筆者作成
 
定年後は仕事を続けないのであれば仕事に関する費用はなくなり、それに代わって、定年後に増える余暇を楽しむ費用が増えるでしょう。
 
また、マイホームを所有している人で定年時期に住宅ローンの返済が終了する人は、それまで生活費の中の大部分を占めていたであろう住宅ローンの返済がなくなります。しかしマイホームも一緒に年を重ねているため、修繕や設備の買い替えが発生しやすくなる点に注意が必要です。
 
その他、現役時代には給与天引きされていた社会保険料(厚生年金料、健康保険料、介護保険料、雇用保険料)は、定年後は自身で支払う国民健康保険料になります。明確に支払いを把握できることから負担に感じる人もいるでしょう。
 

定年後の生活費は現状の7~8割が目安

「老後資金2000万円問題」でも指摘された通り、老後の生活費はそれぞれの環境や価値観によって異なるため、一概にはいえません。「うちはもっと生活費がかかる」という人もいれば、反対に「うちはもっと節約している」という人もいるでしょう。
 
ざっくりした目安にはなりますが、定年後の生活費は「現役時代の生活費の7~8割程度」と考えてください。月50万円で生活している人であれば35~40万円、月30万円であれば21~24万円が定年後の生活費の目安になります。
 

ゆとりある生活をするためにはプラス10~15万円必要

定年後はこれまでになかった時間が一気に増え、これまでできなかったことを存分に楽しめるようになります。定年後にゆとりある生活をするためには、上で解説した22.4万円または現状生活費の7~8割に、プラス10~15万円で考えておくと良いでしょう。
 

定年後の生活費の注意点

最後に、定年後の生活費を考える際に念頭に置くべきことを解説します。
 

年金や退職金の金額を確認しておく

定年後に必要な資金は、「全額を自身で貯蓄」しておかなければならないわけではありません。公的年金や退職金である程度は賄うことができます。
 
現役時代の給与によって公的年金の受給額は変動するため、自身の受取額を事前に年金事務所で確認しておくと良いでしょう。退職金について、会社に確認しにくい場合は、既に退職した人に聞いてみると確実な情報が得られるでしょう。
 

物価上昇リスクも考慮

2022年8月現在、物価上昇が著しい時代となっています。この勢いがいつまで続くのか見通しが立ちません。だからこそ、定年後に必要な生活費の計算には、物価上昇率も考慮しておきましょう。
 

まとめ

定年後の生活費は、現役時代と比較すると少なくなるのが一般的です。現状の生活費の7~8割程度を目安にしてください。
 
まだまだ先のことと思わずに、早くから定年後の生活設計をイメージすることが重要です。「なんとかなるだろう精神」と、「定年後の生活設計はできているけれど貯蓄が進んでいない」という状況では、同じように見えても「雲泥の差」となっていくでしょう。
 

出典

統計局ホームページ 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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