更新日: 2022.09.15 定年・退職
充実した定年後の生活を送るために、今から準備しておくべきお金のこととは?
定年後(老後)と聞くと、なんとなく不安になる方も多いことでしょう。そうなってしまうのは、定年後の生活が分からないからだと思われます。
本記事では、充実した定年後の生活を送るために、今から準備しておくべきお金のことについて解説します。本記事をお読みいただければ、定年後に対する不安も和らぐはずです。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
定年後の家計状況を予測する
定年後への不安は、「将来のことが分からない」ということに起因します。分からないので考えることをやめてしまっている可能性もあります。まずは、予測することから始めてみましょう。
支出を予測する
予測といっても、正解する必要はありません。あなたが思う「充実した生活」とそれに掛かる費用を書き出してみることが大切です。例えば、現在と同程度の生活水準を維持したいのであれば、現在の生活費などが参考になります。
定年後に予想される、一時的な出費についても書き出してみましょう。持ち家であれば建物のメンテナンス費用、自動車をお持ちであれば買い替えの費用などです。お子さまに結婚祝いや出産祝いを贈りたいのであれば、それも書き出しておくと良いでしょう。
収入を予測する
定年後の主な収入源は、公的年金です。国民年金、厚生年金がそれに該当します。毎年、誕生日の前後に「ねんきん定期便」がお手元に届くはずです。ねんきん定期便には、49歳までの方にはそれまでの加入実績に応じた年金額が、50歳以降の方には老齢年金の見込額が記載してあります。
私的年金についても確認しておきましょう。私的年金には、企業年金や個人年金などがあります。企業年金については、お勤め先に確認しておくと良いでしょう。個人年金については、代表的なものに個人型確定拠出年金(iDeCo)や個人年金保険があります。
その他、資産から収入を得られる場合は、それらも書き出しておきましょう。
対策を考える
ファイナンシャルプランナーが将来の家計を予測するときは、キャッシュフロー表というものを作成します。これは、1年ごとにまとめた家計の収支を、20年から30年にわたって書き出したものです。将来の家計について傾向と対策を考えるために役立ちます。
支出を減らす
家計の見直しで最初に考えるのは、支出を減らすことでしょう。一般に定年後は現在よりも収入が少なくなります。まずは、生活水準を抑えられないか考えてみましょう。固定費や一時的な出費についても見直してみましょう。
貯蓄や資産を増やす
生活水準を極端に低くすることは難しいため、定年後は収入よりも支出が多くなり、通常、貯金を取り崩しながら生活をしていくことになります。このため、定年を迎えたときの貯蓄高や資産状況は、とても重要な要素です。
貯蓄や資産を増やすためには、今から備える必要があります。現在の家計を見直し、貯蓄や資産運用に回せないか検討してみましょう。
働き方を再考する
定年退職をするタイミングをずらすというのも選択肢の1つです。現時点では、多くの会社が60歳を定年としています。しかし、「再雇用制度」を採用している会社であれば、60歳以降も継続して働くことができます。
公的年金を受け取ることができるのは原則として65歳以降のため、60歳で定年退職をした場合、5年間は無収入となってしまいます。公的年金を繰上げ受給(65歳より前に年金を受け取ること)する、再雇用制度を利用する、もしくはそのどちらも利用することなどを検討してみると良いかもしれません。
まとめ
定年後も充実した生活を送ることは、誰もが望むことです。しかし、それを叶えるためには、きちんと準備をしておかなければなりません。
資金計画を立てるためには、ライフプラン(人生設計)が必要です。まずはライフプランを考えてみると、それだけでも定年後の不安は少なくなるはずです。欲をいえば、資金計画も立てていただけるとさらに安心です。
資金計画を立てれば課題もきっとみえてきます。対策については、本記事を参考にしていただいたり、ファイナンシャルプランナーに相談してみたりすることをおすすめします。
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー