更新日: 2022.09.20 定年・退職

定年退職したら健康保険はどうする?任意継続を活用するメリットを解説

執筆者 : 東本隼之

定年退職したら健康保険はどうする?任意継続を活用するメリットを解説
定年退職後には「健康保険の切り替え」が必要となります。加入方法には3つの選択肢があり、選び方によっては健康保険料が高くなったり、それまでと保障範囲が変わったりといった事態が生じるケースがあります。
 
本記事では、健康保険の加入先を選ぶ際のポイントを紹介します。健康保険の切り替えに不安を感じている場合は、ぜひ参考にしてください。
東本隼之

執筆者:東本隼之(ひがしもと としゆき)

AFP認定者、2級ファイナンシャルプランニング技能士

金融系ライター・編集者 | SEO記事を中心に200記事以上の執筆・編集を担当 | 得意分野:税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続 など | 難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えるのを得意としている。

●難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意
●専門用語をなるべく使わずに説明します
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定年退職後の3つの選択肢

定年退職後に加入する健康保険には、以下の選択肢があります。


・任意保険制度を活用する
・国民健康保険に加入する
・家族の扶養に入る

健康保険は加入方法によって保険料や保障内容が異なります。それぞれの特徴を押さえた上で加入を検討しましょう。
 

任意継続制度を活用する

「任意継続制度」とは、定年退職した会社の健康保険に引き続き加入する制度です。任意継続できる期間は「2年以内」と定められており、加入するには2ヶ月以上の被保険者期間が必要です。
 
なお、退職日から20日以内に自宅所在地を管轄する社会保険事務所への申請が必要です。任意継続制度では、会社員時代と同等の保障やサービスが受けられます。
 
しかし、会社が支払ってくれていた社会保険料を負担しなければならないため、納付保険料が2倍程度に増加します。任意継続制度を活用する際は、納付する保険料を試算した上で検討するとよいでしょう。
 

国民健康保険に加入する

国民健康保険とは、市区町村や都道府県などの自治体が運営する公的医療保険制度です。
 
主に自営業やフリーランス、無職など会社員以外の人が加入します。健康保険で受け取ることができた出産手当金や傷病手当金などの給付が、国民健康保険では受けられなくなるので、保障内容を確認した上で選びましょう。
 
なお、国民健康保険の加入手続きは、退職日の翌日から14日以内に居住地の役場で行わなければなりません。手続きが遅れると保険給付が差し止められたり、延滞金が発生したりする可能性があるため、忘れずに手続きしましょう。
 

家族の扶養に入る

収入制限などの扶養要件を満たせば、家族の扶養に入ることが可能です。扶養に入ると保険料を負担する必要がなくなるだけでなく、会社員の健康保険と同等の保障とサービスが受けられます。
 
なお、75歳以上の人は「後期高齢者医療制度」に移行するため、健康保険の扶養に入ることができません。扶養に入っていた人が75歳に到達した場合は、脱退手続きが必要となるので注意しましょう。
 

任意継続制度と国民健康保険を選ぶ際のポイント

収入制限などの理由で家族の扶養に入れない場合は、任意継続制度と国民健康保険から自身で選択する必要があります。ここでは、加入する保険を選ぶ際に知っておきたいポイントを紹介します。
 

加入時の保険料

任意継続制度と国民健康保険では、納付する保険料が異なります。任意継続制度の保険料は会社員時代の納付額の約2倍となり、国民健康保険では前年度の収入から市区町村が計算します。
 
国民健康保険の納付金額を求める際の保険料率は、居住している自治体によって異なるため、前年度の収入を踏まえて試算してみましょう。
 

家族を扶養にできるか

任意継続制度を利用した場合、家族が扶養に入れない可能性があります。扶養に入れなかった家族は、国民健康保険に加入することとなり、保険料の支払いが別途必要になります。
 
任意継続制度の活用によって自身の健康保険料が安くなることもありますが、世帯全体で損をしてしまうという可能性があります。家族を扶養に入れたい場合は、退職前に健康保険組合に確認しておきましょう。
 

定年退職後の健康保険は保険料と保障内容で選びましょう

定年退職後に加入する健康保険によって、納付保険料や保障内容は異なります。いずれの選択肢も手続き期限があるため、退職前にしっかり検討しておくことが大切です。老後の負担を少しでも減らせるように、自分にとっての最適な選択肢をあらかじめ確認しておきましょう。
 

出典

厚生労働省 任意継続被保険者制度について
総務省 健康保険任意継続被保険者の保険料の 納付期限について
人事院 定年後の社会保険制度
総務省 後期高齢者医療制度における周知方法の改善
 
執筆者:東本隼之
2級FP技能士

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