更新日: 2022.09.20 定年・退職
役職定年制とは何か? それぞれのメリットとデメリットを解説
本記事では、役職定年制についてや、メリットとデメリットを解説します。
執筆者:古田靖昭(ふるた やすあき)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
役職定年制とは
役職定年制は、定年前の一定の年齢になれば役職を退くことが定められた制度です。役職定年後は、同格や格下のスタッフ職などで、後輩上司を補佐するような役割などを担うこともあります。
人事院の「民間企業の勤務条件制度等調査」によると役職定年は規模が大きい企業の場合、全体の約16%に対して約30%の企業で導入されており、100人未満の企業になると約10%と少なくなります。55歳から60歳の間を役職定年としている企業が多く、61歳以上を定年年齢としている場合、60歳の役職定年が多いです。
バブル時期は新卒採用人数が多く、中高年になって多くの役職者が企業に留まっているため、組織の新陳代謝が進まなくなる問題が生じています。さらに高齢者雇用安定法が改正されたことで、65歳までの雇用確保措置を講じる必要が出たことも拍車をかけます。組織活性化の一環として、大企業を中心に役職定年制が導入されることになりました。
役職定年制のメリットとデメリット
役職定年制にはメリットとデメリットがあります。
メリット
役職定年制を導入したことによるメリットは、組織の新陳代謝であり、中高年で多くの役職を占めていた場合、優秀な若手従業員に役職就任の機会が開かれます。若手社員としても仕事のモチベーションが高まり、新しい発想や企画などが生まれる可能性もあります。
デメリット
役職定年制のデメリットは、役職に就いていた中高年の従業員が定年を迎えるまでの間のモチベーションが下がることが多いです。役職定年後は、職務内容が変化し、今まで部下だった人が上司になることや賃金の低下がモチベーションが下がる大きな理由です。
役職定年を迎えた従業員に向けて
役職定年後も同じ職場で働く場合、今までの経験を活かして上司になった元部下とその上司についた部下との潤滑油的な役割を行って、元部下が上司として成長できるように手助けするなどを目標としているとモチベーションも高まるのではないでしょうか。
また、グループ企業や関連企業への転籍や出向する場合、今までの職場とは異なる環境となるため、キャリアアップに向けて新たな仕事ができるようにもなります。
役職定年を迎えても企業は必要としているはずなので、定年退職までモチベーションを高めて仕事をすると良いでしょう。
出典
人事院 平成29年民間企業の勤務条件制度等調査
執筆者:古田靖昭
二級ファイナンシャルプランニング技能士