更新日: 2022.10.21 セカンドライフ
所得が200万円以下の高齢者世帯は約4割。若いうちに取り組むべき貧困対策とは?
そこで、今回は内閣府による高齢者の暮らしに関する最新データを基に、今からでも老後の貧困対策として有効な方法について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高齢者の暮らしに関する最新データ
内閣府「令和4年度高齢社会白書」のうち「高齢者の暮らしの動向」では、高齢者が暮らしの中で直面している最新の概要について知ることができます。おおむね7割ほどの高齢者(65歳以上)が、生活をするうえで経済的な不安はさほどないと答えています。
一方、数年前より生活保護受給者が増加しており、現在も横ばいで推移していることが分かります。なお、65歳以上の生活保護受給者は全体の3%ほどで、105万人あまりということです。
高齢者の年間所得は150~200万円が最も多い
高齢社会白書では、高齢者世帯の所得についてもまとめられています。所得層として最も多いのは150万円から200万円で、次いで100万円から150万円です。
また、年金などを受給している高齢者世帯のうち、約半数が年金受給だけが家計収入の主体であることも分かりました。このことから、年金収入と並行して、退職金や預貯金などを切り崩しながら生活していると推測できます。
日本の年金制度は終身年金ですので、一度受給すればその後生存している限り、継続して受給できます。たとえ年金収入が少なくても、退職金や預貯金などまとまった資金が手元にあるうちは安心です。
しかし、年金収入以外の資金が尽きてしまったらどうなるのでしょうか? 冒頭でも触れましたが、長生きのリスクに備えるためには、早い段階で老後資金形成への着手が必要といえます。
老後の貧困対策として今からできること
老後の貧困対策として今からできることについて解説します。
まずは、ねんきんネットで将来の年金受給額を確認し、現状を把握することから始めましょう。次に、そこで見えてきた課題について対策を講じるという流れです。
ねんきんネットで将来の年金受給額を確認
まず、自分の年金がどうなっているかを確認しましょう。日本年金機構「ねんきんネット」では、いつでも年金の加入状況や将来の受取額について確認できます。
転職や結婚などで過去の年金データに変更があった人は、これまでの年金加入状況に誤りがないかについても確認しましょう。加入状況について不明点がある場合には、管轄の年金事務所へ相談しましょう。
ねんきんネットで将来の年金受給額についても確認し、老後は年金収入だけで生活ができそうか検討してみましょう。その際、住居費の有無はポイントになります。
住宅ローン完済時期がいつであるか、賃貸の場合は老後に住みかえるのかどうかについて、事前に把握しておきたい点です。
年金収入のみで生活すると仮定した場合、住居費などの固定費は大きな出費です。将来の年金受給額を事前に把握し、いかに支出を減らすかについても考えておきましょう。
iDeCoや国民年金基金などの年金を補う金融商品で老後資金を確実に貯める
iDeCoや国民年金基金など、老齢年金に連動して補う金融商品の活用もおすすめです。
iDeCoは、会社員も個人事業主も加入できる制度です。老後の年金と同時に受け取りができ、分割年金として5年、10年、20年の受給期間を指定できます。毎月の掛け金は5000円から可能で、運用期間中の掛け金は全額所得控除の対象であるため、節税効果もあります。
国民年金基金や付加年金は、個人事業主などが対象です。会社員など給与所得者は国民年金と同時に厚生年金にも加入しているため、いわゆる二階建て年金の仕組みになっています。一方個人事業主等では、国民年金部分のみです。そのため、自助努力として国民年金基金や付加年金を利用し、少しでも老後の年金を多くもらえるように備えておくと安心です。
なお、令和4年の老齢基礎年金の満額は77万7800円です。月額にすると約6万4816円です。もしも未納などがある場合には、これよりも少ない額を受給することになり、必ずしも老後資金として十分とはいえない場合もあるでしょう。
老後資金のための預貯金を開始したり、金融商品を有効活用したり、早い段階で老後資金対策をとると安心です。
まとめ
現役世代では、副業や転職をすることで収入を増やすなど、改善できる場合があります。しかし、老後生活に差し掛かり、貴重な収入源である年金受給額に不満があっても、その時点から増やすことはできません。
そのため、あらかじめ将来の年金受給額を確認し、足りないと感じたら早めに老後資金対策を始めましょう。現金による預貯金と並行し、年金を補完する金融商品の活用もおすすめです。ぜひ参考にしてみてください。
出典
内閣府 令和4年版高齢社会白書より 第2節 高齢期の暮らしの動向
日本年金機構 ねんきんネット
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部