更新日: 2022.10.26 定年・退職

退職金を手にしたら、老後のプランニング開始!

退職金を手にしたら、老後のプランニング開始!
終活に興味を持つ人が増加していると感じています。相続に関心が集まり、さらには人生100年時代に「老後資金は足りるの?」と、シニアの周りには課題が山積みです。
 
2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるともいわれています。しておくべきことはたくさんありそうだけど、“いつから始めるのか”について考えます。
宮﨑真紀子

執筆者:宮﨑真紀子(みやざき まきこ)

ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

大阪府出身。同志社大学経済学部卒業後、5年間繊維メーカーに勤務。
その後、派遣社員として数社の金融機関を経てFPとして独立。
大きな心配事はもちろん、ちょっとした不安でも「お金」に関することは相談しづらい・・・。
そんな時気軽に相談できる存在でありたい~というポリシーのもと、
個別相談・セミナー講師・執筆活動を展開中。
新聞・テレビ等のメディアにもフィールドを広げている。
ライフプランに応じた家計のスリム化・健全化を通じて、夢を形にするお手伝いを目指しています。

老後生活の準備から終活まで

老後の生活を考える時、「やることはたくさんありそうだけど、何から手を付けたら良いのか分からない」というのが本音ではないでしょうか。分からないことは後回しにしがちなので、なかなか着手できないかもしれません。そこで「退職金を受け取る」を1つのきっかけに考えてみてはいかがでしょう。
 
退職金を受け取っても、実際の退職ではなく数年間は継続して仕事をする人もいらっしゃいます。ですが、大きな金額が入ることで、ライフプランのイメージはしやすくなります。筆者自身も外堀を埋められた気持ちで、「いよいよ本気で老後の生活設計に取り組む時が来た」と実感した経験があります。
 
では、いくつかのStepに分けて、“することリスト”を考えてみました。
 

<Step1>退職金を受け取ったら、使い道を考える

・住宅ローンについて、完済時期を見積もる

すでに教育資金のめどがたっている場合が多いと考えられます。その場合、住宅ローンの返済から資金計画を考えると、プランが立てやすいです。
 
住宅ローンの残額がいくらなのか、完済時期はいつなのかを確認します。 退職金で一括完済するのも一案ですが、手元に資金を残したい場合は、繰り上げ返済で毎月の返済金額や返済期間を変更する選択肢もあります。こちらでバランスを考えます。
 

・自分たちの老後の生活にいくらかかるかを見積もる

公的年金の受給額と毎月の生活費の概算を把握します。老後資金としての資産と照合して、今後のライフプランを考えます。いつまで働くのか、どのように過ごすのかなど、具体的な内容を家族と話し合うことが大切です。自分と家族の希望が大きくズレていることもあります。お互いの思いを知っておくことは必要です。
 

・子どもの住宅資金の援助・孫の教育資金の援助

人によっては、自分の子どもたちが住宅ローンと教育資金がのしかかる時期になります。退職金が入ったので少し援助したいと思うのが親心かもしれません。
 
しかし安易に援助すると、兄弟で平等でないことを理由に後々相続の時にもめる原因になることがあります。また、やり過ぎて自身の老後資金が不足する事態もありますので、慎重に行うことが肝要です。
 

・資産運用

退職金が入ると、金融機関から資産運用の提案をされることがあります。退職金限定の金利優遇が設定されていることもあり、提案されるままに運用してしまいがちです。金融機関に相談する際は、使う予定のない金額と数年後に使う予定の金額、さらに使う目的も伝えて提案してもらうのがお勧めです。
 
計画時に、より具体的な数字で見積もることは大切です。ライフプラン全般にいえることですが、予定どおりに行かなくなったら当初の数字に執着せずに、その都度見直して計画を修正します。長期計画をうまく進めるこつは、神経質になり過ぎないことです。
 

<Step2>相続財産について考える

・自分の資産の棚卸しをする

親世代の相続を経験すると、その大変さを実感するはずです。自分の相続をスムーズに運ぶ準備の第一歩は資産の棚卸しです。日頃使っていない銀行口座や一時払いの生命保険など、自分でも忘れていることがあります。逆にすでに解約しているのに書類だけが残っていると、複雑になりますのでスッキリ片づけましょう。書類が整理されると、全容が把握しやすくなります。
 

・不動産をどうするのかを家族で話し合う

不動産は分割しにくいので、相続人が複数いる場合に問題になりがちです。「自宅不動産が相続財産に占める割合が多い」という例は少なくありません。遺言書を残すことで将来どう承継したいのか、遺言書を書く前に自分の希望を家族に伝え、話し合っておくことが争族の回避につながります。
 

<Step3>介護、特に認知症対策

・家族信託などの制度を利用する

介護保険に加入することも認知症対策の手段ですが、他にも準備しておくべきことの1つに資産凍結の対策があります。事業や賃貸マンション経営などを行っている場合は、認知症で判断能力がなくなると以降の契約に問題が生じます。成年後見人制度や家族信託などの制度を利用するのが対策の代表例です。
 

・金融機関の制度を利用する

「現役時代は会社員で、今は年金生活をしているので、そのような対策はしなくても大丈夫」と思っている人もいらっしゃいますが、最低限の準備は必要です。銀行口座など、お金の管理に不安を感じるようになったら、家族に協力してもらえる体制を整えてはいかがでしょう。
 
金融機関によっては、代理人が必要に応じて本人に代わって口座から出金でき、その内容は他の家族にも情報共有されるというサービスもあります。
 
今回は3つのStepに分けて「老後に向けてすることリスト」を考えました。ご自身の取り掛かりやすい順番で、老後のお金整理の参考にしてください。
 

出典

厚生労働省 今後の高齢化の進展 〜2025年の超高齢社会像〜
 
執筆者:宮﨑真紀子
ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者、相続診断士

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集