更新日: 2022.11.04 定年・退職
「65歳定年制」はいつから始まるの? 高齢者の雇用機会について解説
ここでは、「65歳定年制」と、高齢者の働き方について公務員を例に挙げて解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
定年の延長って?
2013年、高年齢者雇用安定法が改正され、定年延長の移行期間が2025年に設定されました。
高年齢者雇用安定法とは少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。
この法律の改正により、働きたいと望む高年齢者はこれまでよりも長く働く機会が得られるようになります。
高齢者雇用確保措置でどうなるの?
高齢者雇用確保措置により定年が70歳に引き上げられ、高年齢者がより長く社会で活躍できるようになります。
図表1
現行 | 改正 | |
---|---|---|
定年 | 60歳未満の定年禁止 | ― |
年齢 | 65歳までの雇用機会を確保 | 70歳までの就業機会の確保 |
義務 | 義務 | 努力義務 |
措置内容 | ・65歳までの定年引上げ ・定年制の廃止 ・65歳までの継続雇用制度 (適用者は希望者全員) |
・70歳までの定年引上げ ・定年制の廃止 ・70歳までの継続雇用制度継続雇用制度 ・70歳までの継続的な業務委託契約の 締結制度 ・70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度 1.事業主が自ら実施する社会貢献事業 2.事業主が委託、出資等する団体が行う社会貢献事業 |
厚生労働省・ハローワーク「高年齢者雇用安定法改正の概要 ~70歳までの就業機会の確保のために事業主が講ずべき措置(努力義務)等について~」を基に筆者作成
ここで注目したいところが、改正後は「就業確保措置」が努力義務になるという点です。現在では70歳定年制は強制力がありませんが、今後さらなる法改正で義務化されることも考えられるでしょう。
国家公務員の定年はどうなるの?
それでは一例として、国家公務員の定年の流れをみていきましょう。現在は60歳が定年の国家公務員ですが、2023年度より段階的に定年の引き上げが行われます(図表2)。
図表2
現在 | 2023年度 ~2024年度 |
2025年度 ~2026年度 |
2027年度 ~2028年度 |
2029年度 ~2030年度 |
2031年度~ | |
---|---|---|---|---|---|---|
定年 | 60歳 | 61歳 | 62歳 | 63歳 | 64歳 | 65歳 |
人事院HP 「定年・再任用」を基に筆者作成
このように2年ごとに1歳ずつ定年が引き上げられていき、2031年には国家公務員の定年は65歳に完全移行します。またこの定年の引き上げに合わせて、いままで再任用という形で雇用されていた退職者の制度は廃止となります。
さらに地方公務員についても、国家公務員と同様に2年ごとに1歳ずつ定年が引き上げられ、2031年に65歳定年制に完全移行予定です。
定年は段階的に引き上げされる
定年は一気に65歳に引き上げられるのではなく、2023年から2031年にかけて段階的に引き上げられていきます。少子高齢化の中で、これからはますます高齢者の社会活躍、社会貢献が求められていきます。希望する高齢者にその門戸は開かれていくでしょう。定年の延長やその後の社会での活動について今から考えておくといいですね。
出典
厚生労働省 高年齢者の雇用
人事院 定年・再任用 Ⅱ 定年の段階的引上げ(令和5年4月1日~)
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級