更新日: 2022.12.01 セカンドライフ

「60歳で貯蓄2000万円」あれば、定年退職して年金を60歳から繰上げ受給して暮らしていけますか?

「60歳で貯蓄2000万円」あれば、定年退職して年金を60歳から繰上げ受給して暮らしていけますか?
2019年に金融庁のワーキンググループが作成した資料には「老後資金は2000万円ほど必要になる」と記載されており、大きなニュースとなりました。そのため、60歳で2000万円を目安に日々の貯蓄に励んでいる人もいるのではないでしょうか。
 
今回は60歳で2000万円の貯蓄がある人が定年退職後に年金を60歳から受け取った場合に、平均的な老後生活を送っていけるかどうかについて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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まずは老後に必要なお金を把握しよう

60歳で貯蓄2000万円が十分かどうかを判断するには、まず老後にかかる毎月の支出の目安を知ることが重要です。総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)」の2021年版によると、65歳以上の単身無職世帯における毎月の消費支出は13万2476円であることが分かります。
 
つまり、年間にかかる生活費の目安は、158万9712円(13万2476円×12ヶ月)です。また、厚生労働省の「平均寿命と健康寿命の推移」という資料では、日本の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳となっています。
 
仮に60歳に定年退職した場合、男性は約21年間、女性は約27年間老後の期間がある計算です。その結果、老後に必要なお金の目安は男性が3338万3952円(158万9712円×21年)、女性が4292万2224円(158万9712円×27年)となります。この数字だけを見ると、とても2000万円の貯蓄だけでは足らないことが分かるでしょう。
 
ただし、老後であっても収入を得る手段があれば、赤字を埋めることができます。老後の貴重な収入源となる年金は、どれぐらい受け取れるのでしょうか。
 

老後の貴重な収入源! 60歳で年金を受給するとどれぐらいもらえる?

年金受給額の平均月額を知るための資料としては、厚生労働省の「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」が挙げられます。同資料によると、年金受給額の平均月額は国民年金5万6358円、厚生年金14万6145円でした。
 
ただし、年金は65歳から受け取ることを基本として考えられており、60歳から受け取る繰り上げ受給を選択すると、毎月もらえる年金額は減額される点には留意してください。減額される金額は受給スタートを1ヶ月早めるごとに0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの人は0.5%)です。つまり、60歳0ヶ月で年金を受給する場合、24%(0.4%×60ヶ月)も減額されてしまいます。
 
仮に65歳から平均的な年金額を受給できる見込みの人が60歳0ヶ月からの繰り上げ受給を選択すると、国民年金は4万2832円(5万6358円×(100%-24%))、厚生年金は11万1070円(14万6145円×(100%-24%))です。
 
男性で21年間、女性で27年間にわたって年金を受給し続けた場合、国民年金は男性1079万3664円(4万2832円×12ヶ月×21年間)、女性1387万7568円(4万2832円×12ヶ月×27年間)ほどもらえます。一方、厚生年金の受給額目安は男性2798万9640円(11万1070円×12ヶ月×21年間)、女性3598万6680円(11万1070円×12ヶ月×27年間)です。
 
貯蓄の2000万円と合わせると、国民年金加入の男性は3079万3664円、女性は3387万7568円、厚生年金加入の男性は4798万9640円、女性は5598万6680円になります。老後に必要なお金の目安は男性で3338万3952円、女性で4292万2224円でした。
 
そこから考えると、厚生年金に加入していて平均的な受給額を期待できる場合は、60歳で定年退職して年金の繰り上げ受給を選択しても貯蓄2000万円で足りる可能性が高いといえるでしょう。
 

しっかりライフプランを練ってから繰り上げ受給するかどうか検討しよう

今回のシミュレーションでは、2000万円の貯蓄がある平均的な厚生年金受給者なら60歳で繰り上げ受給を選択しても暮らしていける結果になりました。しかし、今回紹介したのはあくまでも平均値です。
 
趣味や旅行でお金を使いたい人は毎月の支出はもっと多くなり、厚生年金の受給額は現役時代に得ていた報酬に比例するので人それぞれ異なります。大切なことは、まず自分に合ったライフスタイルをよく考え、それに見合った資金計画を立てることです。老後資金が足りなくなりそうな場合は60歳以降も働くことを想定するなど、事前にしっかりシミュレーションしておきましょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年) 家計の概要 総世帯及び単身世帯の家計収支
厚生労働省 図表1-2-6 平均寿命と健康寿命の推移
厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 年金の繰り上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部