更新日: 2022.12.08 定年・退職

定年後のお金に関する疑問。毎月必要な生活費や年金の繰り上げする時期は?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年後のお金に関する疑問。毎月必要な生活費や年金の繰り上げする時期は?
定年を迎えて給与などの定期的な収入が途絶えることを考えると、毎月の生活費としてどのくらいの金額を備えればよいのか不安になる人もいるでしょう。そこで、年金の繰上げ受給が必要だと考えている人もいるのではないでしょうか。
 
定年後の生活費は、どのような生活を送りたいかによって増減するものです。本記事では、老後の平均的な生活費とゆとりのある生活に必要な金額について紹介するとともに、年金の繰上げ受給を開始する時期の考え方についても解説します。
 
ぜひ参考にして、定年後の生活費や年金のもらい方をシミュレーションしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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定年後の生活費は毎月いくらくらい必要?

 
総務省「2021年 家計調査」では、高齢者世帯で1ヶ月あたりの生活費の平均は、およそ23万9000円という結果が出ています。生活費の主な内訳は、図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

食料 6万8000円
住居 1万7000円
水道・光熱 2万円
家具・家事用品 1万1000円
被服・履物 6000円
保健医療 1万6000円
交通・通信 3万円
教養娯楽 2万円
交際費 2万1000円
その他 3万円

 
※百円単位は四捨五入
総務省「家計調査 家計収支編 表番号3-12 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別 2021年」より筆者作成
 
また、公益財団法人生命保険文化センターが実施した「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」の結果によると、夫婦2人でゆとりのある老後生活を送るのに必要と考えられている最低生活費以外の金額は、平均で月額14万8000円です。ゆとりのための金額をどのようなことに使いたいかについては、図表2のような結果となっています。
 
【図表2】
 

旅行・レジャー 60.0%
日常生活費の充実 48.6%
趣味・教養 48.3%
身内の付き合い 46.2%
耐久消費財の買い替え 31.7%
子や孫への資金援助 19.4%
隣人・友人との付き合い 12.5%
貯蓄 3.9%

 
公益財団法人生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」より筆者作成
 
旅行や趣味を楽しむなど生活にゆとりを持ちたいと考えるなら、平均的な生活費にゆとりのために必要と考えられている金額を上乗せした30万円弱が、老後の1ヶ月の理想的な生活費だといえるでしょう。
 

年金は繰上げれば60歳から受給可能

 
定年後の生活費が足りないなどという場合は、年金の繰上げ受給を選択すると、本来は65歳から受け取るはずの老齢年金を、最大で60歳0ヶ月まで繰上げて受け取れます。ただし、繰上げ受給をした場合、繰上げた月数に応じた割合が、本来もらえる年金の月額から減額されるため注意が必要です。
 
繰上げ受給で減額される割合は、昭和37年4月2日以前生まれの人は0.5~30%、昭和37年4月2日以降生まれの人は0.4~24%です。60歳0ヶ月まで受給を繰上げて24%減額されると、80歳11ヶ月以降は65歳に受給開始した場合のほうが受け取る年金の累計額が大きくなります。
 
つまり、もしも80歳までに亡くなった場合は繰上げ受給をするほうが得になりますが、81歳以降も長生きすれば、繰上げ受給をしないほうが得をするということです。
 
また、定年後も働こうと考えている人は、在職老齢年金の制度にも注意が必要です。
 
在職老齢年金とは、老齢厚生年金の受給者が就職をするなどして厚生年金保険の被保険者である場合に、老齢厚生年金の基本月額と給与などの合計額が47万円を超えると、老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となる制度です。
 
繰上げ受給中に在職老齢年金制度に該当した場合、繰上げ受給の年金額がさらにカットされたり、全くもらえなくなったりする可能性があります。
 
老齢年金の繰上げ受給を検討するときは、経済状況や健康状態、定年後の働き方などを考慮して、そのタイミングで繰上げ受給をすることにメリットがあるかどうか、十分に検討することが大切です。
 

生活費を具体的にイメージして定年後の資金計画を立てよう

 
定年後に毎月必要な生活費は、希望する生活水準などによって異なります。自分の場合は1ヶ月にどのくらいの生活費が必要か、現在の家計や理想とする老後の過ごし方などをもとに具体的に試算してみるとよいでしょう。
 
また、定年後の家計の足しとして老齢年金を繰上げ受給するのもひとつの方法ですが、支給額が減額されることから、結果的に損をしてしまうこともあります。自身の健康状態や就労状況などに応じて、繰上げ受給を始める時期はよく見極めましょう。
 

出典

総務省 家計調査 家計収支編 表番号3-12 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別 2021年

公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査 速報版
日本年金機構 年金の繰上げ受給

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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