更新日: 2022.12.27 定年・退職
会社員が退職!「年金の手続き」はどうなるの?「離職期間」のあり・なしで解説
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての方は、国民年金に加入する必要があり、退職した場合には、国民年金の第1号被保険者になる、もしくは新しい会社で厚生年金保険(国民年金の第2号被保険者)に加入することになります。
本記事では、会社を退職した場合の年金の手続きについて、パターン別に解説します。
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
退職後、離職期間がある場合
会社を退職後、離職期間中は国民年金の第1号被保険者となります。退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所または町村役場で、国民年金第1号資格取得の手続きをする必要があります。
厚生年金保険の被保険者(国民年金の第2号被保険者)は、会社を通して年金保険料を納付しますが、国民年金の第1号被保険者は、自分で年金保険料を納付します。退職、再就職のタイミングによって、自分で納める必要性があるのかどうかが変わってきます。
自営業または無職
会社を退社し、自営業者となる場合、またはしばらく働かない(厚生年金保険に加入しない)場合は、国民年金の第1号被保険者となります。毎月、国民年金の保険料を自分で納める必要があります。
例えば会社を3月31日(月末)に退職した場合、4月1日に厚生年金保険の資格喪失かつ国民年金の第1号被保険者資格取得となり、4月分の保険料から自分で納めることになります。4月15日(月の途中)で退職した場合でも、4月16日に厚生年金保険の資格喪失かつ国民年金の第1号被保険者資格取得となり、4月分から自分で保険料を納めます。
月の途中で退職し翌月1日に入社
会社を月の途中で退職し、次の月の1日から新しい会社に再就職した場合には、退職した日の翌日から国民年金の第1号被保険者となります。したがって退職した月は自分で国民年金の保険料を納める必要があります。翌月からは、再就職した会社で厚生年金保険の被保険者となります。
例えば、3月15日に退職し4月1日から再就職した場合には、3月16日から3月31日までは国民年金の第1号被保険者となり、3月分の国民年金の保険料を自分で納めることになります。4月1日からは、厚生年金保険の被保険者となり、再就職をした会社を通して年金保険料を納めます。
月末に退職し、翌月の途中で入社
会社を月末に退職し、次の月の途中で再就職した場合には、離職していた期間は国民年金の第1号被保険者となりますが、再就職した会社で厚生年金保険に再度加入することになります。この場合は、国民年金の保険料を自分で納付する必要はありません。
例えば、3月31日(月末)に退職し、4月16日から別の会社に再就職した場合には、4月1日から4月15日の間は、国民年金の第1号被保険者、4月16日からは厚生年金保険の被保険者となります。このとき、4月分の年金保険料は再就職した会社を通して納めることになり、国民年金の保険料を自分で納める必要はありません。
ただ、保険料を自分で納める必要がない場合でも、4月1日からの「国民年金第1号資格取得の手続き」は必要ですので、ご注意ください。
配偶者等の扶養に入る場合
配偶者の扶養に入る場合には、2つのパターンがあります。
まず、配偶者が国民年金の第1号被保険者(自営業等)の場合には、退職により自身も国民年金の第1号被保険者となり、年金保険料を毎月自分で納めることになります。
次に、配偶者が厚生年金保険に加入している(会社員や公務員)場合には、国民年金の第3号被保険者となり、年金保険料を自分で納める必要はありません。この場合には、配偶者の会社を通して手続きを行います。
退職日の翌日に次の会社に入社する場合
退職した翌日に新しい会社に入社する場合には、国民年金の第1号被保険者となる期間は1日もないため、自分で手続きをする必要はありません。もちろん年金保険料を自分で納める必要もありません。
まとめ
会社を退職した場合は、厚生年金保険に加入しない期間(国民年金の第3号被保険者となる場合を除く)が1日でもある場合、その期間は国民年金の第1号被保険者となります。
年金保険料は、月末に属している年金の保険料を、国民年金の第1号被保険者の場合は自分で、厚生年金(国民年金の第2号被保険者)の場合は会社を通して納付します。
会社を退職した場合には、年金手続きを忘れないよう気をつけましょう。
出典
日本年金機構 会社を退職した時の国民年金の手続き
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP