更新日: 2022.12.31 セカンドライフ
持ち家なら「年金だけ」で生活は可能でしょうか? 老後の生活費の「平均支出額」を教えてください
本記事では定年後の平均支出額や年金の平均受給額を基にしながら、家を持っている場合、年金だけで生活ができるのかどうかを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年後の平均支出額と年金の平均受給額について知ろう
定年を迎えた後どのくらいの生活費がかかるのかについては、総務省統計局が発表している「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要」を参考にするとよいでしょう。この調査結果によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均消費支出金額は1ヶ月当たり22万4390円です。この消費支出の中には食費や光熱費、水道代にかかる費用が含まれています。
また、これらの生活費に加えて税金や社会保険料などの非消費支出金額は平均で3万1160円ほどかかるでしょう。これらのことから、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では1ヶ月の支出に約26万円必要になることが分かります。65歳以上の単身無職世帯の場合は平均消費支出金額が1ヶ月当たり13万3146円、非消費支出金額が1万1541円ほどかかるため、15万円ほど必要になるでしょう。
一方、65歳以上の夫婦のみの無職世帯における実収入は25万6660円で、このうち年金の平均受給金額は21万9976円、収入から非消費支出金額を引いた可処分所得は22万5501円です。65歳以上の単身無職世帯における実収入は13万6964円で、このうち年金の平均受給金額は12万1942円、収入から非消費支出金額を引いた可処分所得は12万5423円となっています。
特に65歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合については、持ち家率が93.1%という状況での調査結果となっているため、賃貸物件に住む場合はその分の費用が必要になる点に注意が必要です。また、支出金額については平均額に含まれない出費が出ることも考えられるため、持ち家であったとしても年金だけでの暮らしは厳しいものになる可能性に留意しましょう。
持ち家にかかる費用
持ち家の場合、賃貸物件のように毎月の家賃はかかりませんが、「固定資産税」や修理などの「メンテナンス費用」が必要です。
固定資産税は住んでいる地域の自治体から「納税通知書」が届きます。具体的にかかる金額については土地の公的価格や家屋の時価額などによって異なるため一概にはいえませんが、事前に金額を知りたい場合は各自治体に問い合わせるとよいでしょう。また、自治体によっては固定資産税のほかに「都市計画税」の支払いが必要な場合もあります。
メンテナンス費については、持ち家の場合、家を修繕するときにはその費用をすべて負担しなくてはなりません。長く住んでいるとさまざまな部分に傷みが生じてしまいます。外装や屋根の張り替えをはじめ、お風呂やトイレの修理など、修繕するところが増えれば増えるほどかかる費用も高額になるため、あらかじめ修繕費を貯金しておくとよいでしょう。
持ち家があっても年金だけでは生活が厳しい
本記事で解説したように、持ち家があったとしても年金だけでは余裕のある生活を送るのは難しいでしょう。けがや病気、冠婚葬祭などで急な出費が必要になる場合があるだけでなく、固定資産税の支払いやメンテナンス費用など、持ち家だからこそかかる出費もあります。
ゆとりのある老後を過ごすためには、家を持っているからといって年金だけに頼るのではなく、現役時代から少しずつ老後のための貯蓄を心がけることが大切です。
出典
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部