更新日: 2023.01.04 定年・退職

定年後考えないといけないのは「終活」より「就活」? 再雇用と再就職の違いって?

定年後考えないといけないのは「終活」より「就活」?  再雇用と再就職の違いって?
近年、終活という言葉がメディアに取り上げられるようになってきた反面、定年後の将来を考えるなら終活よりも就活なのでは? と疑問に感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで、定年後に考えるべきなのは終活と就活、どちらなのかを検討していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

終活と就活の違い

終活と就活、どちらを定年後に行うべきなのか考える前に、まずは両者の言葉の意味について確認しておきましょう。終活とは、人生の終わりに向けて行う活動の総称です。
 
お墓の準備や身の回りの物の整理、相続争いが起きないよう準備をしておくといった、死後遺族が困らないための備えとイメージしていただくとよいでしょう。就活はその言葉のとおり、働くために就職活動をすることをいいます。
 

定年後考えるべきなのは終活か就活か


 
さて、定年後考えるべきなのは終活と就活、どちらになるのでしょうか。状況にもよりますが、定年後就労せずとも生活していくことができるのであれば、終活を先に考えるべきです。
 
定年後就労せずとも暮らしていくことができる場合、ある程度の財産や不労所得を有することが想定されます。準備をしないまま亡くなってしまうと、相続によって生じる遺族の負担が重くなる可能性があります。終活によって身辺の整理を少しずつ進めていくことで、死後遺族に負担がかからないようにすることができるでしょう。
 
逆に定年後の生活が、年金収入や今ある資産だけでは不安という場合は、就活を優先して良いでしょう。今後の生活が不安定な状況であれば、まず考えるべきなのは死後のことではなく、今や将来の生活のことになります。終活で死後の対策ができていても、今の生活がままならない状況となってしまっては本末転倒です。
 
このように、基本的には定年後の生活が安定していれば終活を、定年後の生活に不安があれば就活を優先して行うべきだといえます。
 

理想は終活も就活も考えること

終活と就活、可能であればどちらも定年後の早い段階から考えていきたいところです。
 
まず、誰にでも訪れる死というものに対して備えるため、終活は必要です。終活は単に遺族の負担を減らすためだけにあるのではありません。自分の人生を振り返り、これから先どう生きていくのかということを考えるきっかけにもなるのです。
 
一方、就活して働くことは安定した収入を得られるだけではなく、社会とのつながりを得ることや、外に出るきっかけとなるなど生活にメリハリをつけ、健康寿命を延ばすことにもつながります。こういった点を考えると、できる限り終活と就活、どちらも並行して考え、実行していくことが理想だといえそうです。
 

再雇用と再就職の違い

定年後就活をするに当たり、知っておくべきことの1つに再雇用と再就職があります。再雇用とは、一般的に定年を迎えた会社で引き続き働くことをいいます。それに対して再就職は、別会社で働くことをいいます。結果的に働くことに変わりはないのですが、両者の法的な効果は大きく異なります。
 
例えば、再雇用であれば多少空白期間があったり、今までとは異なる契約として雇用されたりしたとしても、雇用自体は継続しているとみなされるため、有給について定年前の残っていた部分を引き継ぐことができます。しかし、再就職であれば完全に別の会社で働くこととなるため、有給の持ち越しはされません。
 

定年後の生活については終活と就活という両方の観点から考えるべき

定年後の生活については終活や就活どちらか一方を考えるのではなく、両方の観点から考えていくことで、老後の生活を豊かにし、かつ、遺族への負担を減らすことが可能です。
 
定年後に困ってしまったり、自身の死後に遺族へ負担がかかったりしてしまわないよう、これを機に無理のない範囲で、定年後の終活と就活について考えてみましょう。
 

出典

東京労働局 Q5.定年退職後、再雇用した場合、勤続年数を通算して年休を与えなければならないでしょうか。

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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