老後リスクはどんなものがある? 今から備えておくべきこととは?
配信日: 2023.01.05
人生100年時代ともいわれていますが、長生きすることによって、老後のために備えた資金が枯渇し、生活が困窮することもまたリスクといわれています。長生きすればするほど、当然ですが、生活していく上でますますお金が必要となる傾向にあります。
今回は、老後リスクを減らすべく、今からお金をどう備えるかについて解説します。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
お金を貯める基本を理解する
老後リスクに備えるためには、少しでも老後資金を増やす必要があります。そのためには、お金を貯める基本を理解し、実践することが重要ですので、今一度確認をしましょう。
(1) 発想を変える
毎月残ったお金を貯金するという発想と習慣はやめましょう。自分の目標貯蓄額を決め、毎月いくら貯金をしたら良いかを決めます。そして、給与天引きで貯金をして、残ったお金で生活をしましょう。
つまり、収入-支出=貯金という考えから、収入-貯金=支出という発想に変え、「先取り貯金」をするのが、お金を貯める基本です。
(2) 収入を増やし、支出を減らし、運用する
お金を貯める基本ができたら、できるだけお金を増やすことに取り組みましょう。そのためには、収入を増やし、支出を極力減らし、運用で貯金を殖やすのが原理原則です。
収入を増やすには、本業で昇進・昇給して給与を増やすのが王道ですが、副業や配偶者に働いてもらって世帯収入を増やすことも検討してみましょう。
支出を減らすのは、日々の生活費の節約をすることを考えがちですが、まずは、節約効果の高い固定費を減らすことができるか、見直すようにしましょう。具体的には、スマホやインターネットなどの通信費、スポーツジムや習字などの習い事、生命保険、スマホアプリなどのサブスクリプション費など、できることからはじめましょう。
運用に関しては、社内貯蓄制度(財形や持ち株会など)や、税制面で有利なNISAやiDeCoを使うことからはじめましょう。FXや株式投資は、投資経験を積み、余裕資金ができてから取り組むほうが効率がよいでしょう。
今から備えていくべきこと(年代別)
以上のお金を貯める基本を実践することが老後のリスクを減らすための基本ですが、年代によって備え方が異なりますので、その違いについて解説します。
(1) 20代・30代
この年代は、自分のキャリアアップを目指し、収入を増やすことが最も重要です。40代以降の収入アップも見据えて頑張る年代です。
また、この年代は老後資金を考えるよりも、結婚資金や住宅購入資金を準備することのほうが優先される年代です。先取り貯蓄として、財形制度(住宅財形・一般財形・財形年金)や持ち株会などの社内貯蓄制度や税制面で優遇のあるNISAなどの活用を検討してみましましょう。
老後資金の準備としては、個人型の確定拠出年金であるiDeCoを無理のない範囲で、開始するとよいでしょう。
(2) 40代
この年代は、一般的に、人生の3大費用のうち「住宅資金」や「教育費用」がかかる年代です。今まで貯蓄したお金をうまく活用し、なんとか乗り切りたいものです。また、老後資金の準備としては、「お金を貯める基本」をベースに、20代・30代同様社内貯蓄制度やNISA、iDeCo制度を活用しましょう。
(3) 50代
この年代になってくると、一般的に給与がピークを迎え、60歳定年へ向けて下降線をたどる傾向にあります。しかし、50代は、老後資金を蓄える最後のタイミングともいえますので、老後リスクを少しでも排除できるよう「お金を貯める基本」に戻って、貯金をすることを継続しておきましょう。
特に、子どもが独立した人は、それまで子どもにかかっていた教育費などが必要なくなりますので、確実に貯蓄や投資に回す額を増やすことができるかもしれません。
(4) 60代
60歳でいったん退職金をもらって、再雇用を選択するという方もいらっしゃるでしょう。なかには、早期退職制度を活用したり、起業したり、隠居生活に入る人もいるかもしれません。いずれにしても、現役時代と比べると収入は激減し、お金は生活費に充当され、老後資金を貯めることが難しくなるケースが増えるでしょう。
老後リスクを減らす確実な方法は、健康なうちは働くことです。また、若い世代の場合はできるだけ早く資金づくりに着手することも重要です。そして、年金を受給する年齢になったら、年金の繰下げ受給ができる人は将来受け取る年金を増やして、老後リスクに備えるのも選択肢の1つかもしれません。
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー