「人生100年時代」は「労働100年時代」!? 定年後に働いている人の割合って実際どのくらいなの?

配信日: 2023.01.26

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「人生100年時代」は「労働100年時代」!? 定年後に働いている人の割合って実際どのくらいなの?
「人生100年時代」という言葉をよく見聞きするようになりました。寿命はさらに延び続けると予測されているため、100歳以上まで生きる人たちがさらに増えるだろうという意味で使われます。一方で、それほど長生きしたら「労働100年時代」になるのではないかと、お金の心配が尽きない人も多いでしょう。
 
本記事では、実際に定年後に働く人の割合や、その傾向について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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定年制を導入している企業の割合と定年年齢

平成25年に改正された「高年齢者雇用安定法」により、定年年齢を65歳まで引き上げることが可能となりました。さらに令和3年4月からは、事業主は70歳までの定年の引上げや定年制の廃止などの措置を講ずるよう努めることと改正されています。そうしたなか、現状の一律定年制を導入している企業の割合と、その年齢をまずはみてみましょう。
 

・定年年齢を定める企業は9割以上

厚生労働省のまとめた「令和4年就労条件総合調査」によると、定年制を設けている企業の割合は全体の94.4%となっています。平成29年の同調査では95.5%であったため、若干ではあるものの定年制を設ける企業は減少しています。また、定年制を設けている企業のうち、定年年齢を一律としている企業の割合は96.9%で、これも平成29年の調査と比較すると1ポイントほどの減少という結果でした。
 

・定年年齢は60歳の企業が最多

一律定年制を設けている企業の中で、60歳で定年としている企業は、同調査によると72.3%で最多です。続いて、65歳が21.1%、66歳以上が3.5%となっています。依然として一般的な企業に勤める従業員は60歳になると定年退職となるといえるでしょう。一方で、平成17年以降では、65歳以上を定年年齢としている企業の割合が24.5%と過去最高となっています。
 

65歳以上の労働者の割合と傾向

続いて、いわゆる定年年齢に達して以降も働いているとみられる人の割合がどの程度なのかについて解説します。
 

・労働力人口に占める高齢者の割合

内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の労働力人口に占める65歳以上の人の割合は13.4%となっています。人数でみると、65~69歳が410万人、70歳以上が516万人です。労働力人口に占める65歳以上の割合は平成26年に10%を突破し、令和元年に13%を突破。昭和の時代から増え続けています。定年年齢が60~65歳であるとすれば、定年後に働く人も相当な数がいることがわかります。
 

・65歳以上の労働者は増え続けている

問題は、労働力人口全体と比べた際の65歳以上の労働者の割合です。労働力人口全体はほぼ横ばいであり、むしろ令和元年の6912万人と比べると令和3年は6907万人と減っています。
 
また、60~64歳の労働人口の割合も令和元年が544万人、令和2年と3年が545万人と、ほとんど変化がみられません。増加傾向のある年代もあるものの、65歳以上の、特に70歳以上の労働人口の全体に占める割合が顕著に増え続けていることが、内閣府のまとめた資料からうかがえます。
 

定年後も働く人が増えている理由は?

65歳以上になって働く人が増えている理由には個人差があるでしょう。仕事が好きだという人もいないわけではありません。しかし、やはりお金に関する心配がある人も多いとみられます。内閣府の「令和4年版高齢社会白書」では、高齢者世帯の平均年間所得(312万6000円)は、それ以外の世帯の平均年間所得(664万5000円)の半分程度と報告されています。
 
ちなみに、ここでの高齢者世帯とは、65歳以上のみで構成されるか、もしくはここに18歳未満の未婚の人が同居する世帯です。それ以外の世帯とは、全世帯から高齢者世帯と母子世帯を除いた世帯を指します。この所得の差を埋めるために定年後にも働く人が増えていることは否定できないでしょう。
 

より長い目でみながらの人生設計が重要

各調査や報告によると、確かに定年してからも働く人の割合が増え続けていることがわかります。「人生100年時代」は「労働100年時代」への入口となっているといえそうです。そこには、やはりお金の問題が尽きないことも理由としてあるでしょう。人生を、より長い目で見ながらの職業の選択や老後の生活プランの構築が重要です。働く理由についても、今一度、見つめ直す必要がありそうです。
 

出典

厚生労働省 令和4年就労条件総合調査の概況
内閣府 令和4年版高齢社会白書 第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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