更新日: 2023.01.30 セカンドライフ

老後は国民年金だけでは「約7万円」不足!? 老後に備えるために今からできる「4つのこと」

老後は国民年金だけでは「約7万円」不足!?  老後に備えるために今からできる「4つのこと」
年齢を重ねるにつれて、老後の生活費が十分にあるかどうか不安になる方が多いでしょう。特に自営業者などで国民年金にしか加入していない場合、会社員など厚生年金加入者に比べると将来受け取る年金額は低くなりがちなため、不安を感じやすいものです。
 
本記事では、将来の受給額と老後に必要な支出額を紹介し、どのくらい老後資金を増やす必要があるのか、方法もあわせて解説します。
新川優香

執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士

老後に受け取る国民年金の受給額はいくら?

日本年金機構が公表している令和4年4月分からの年金額によると、国民年金だけに20歳から60歳までの40年間加入した場合の年金受給額は、満額でひと月当たり約6万5000円です。一方、同じく40年間夫婦2人分の厚生年金保険料を平均的な収入で納付した場合の年金受給額は、ひと月当たり約22万円です。
 
厚生年金の受給額を単純に割って、1人分の年金受給額を計算すると、約11万円受け取れることになります。国民年金のみの場合と比較すると、その差は約2倍です。また、公務員や会社員などの厚生年金加入者は、退職金が出る場合が多いため、国民年金のみの加入者との老後資金の差はより大きくなります。
 

国民年金受給者の老後の不足額はいくら?

ここからは、老後に必要な支出額を説明します。どのくらい必要になるかを把握して、国民年金のみを受給する際の老後資金の不足額をおさえましょう。
 
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の月平均消費支出額は、13万2476円です。65歳以上夫婦のみの無職世帯は、22万4436円です。
 
また、「家計調査報告2022年(令和4年)11月分」によると、2人以上の無職世帯の消費支出(住居等を除く)は、21万3466円でした。主な内訳は図表1のとおりです。
 
図表1

食料 7万6676円
光熱・水道 2万1726円
家具・家事用品 1万1374円
衣類・履物 7542円
保険医療 1万7212円
交通・通信 3万2939円
教育 663円
教育娯楽 2万3136円

※総務省「家計調査報告2022年(令和4年)11月分」をもとに筆者作成
 
総務省のデータを確認すると、1人あたりの月平均支出額は約13万円です。国民年金のみを受け取る場合の受給額は、約6万5000円なので残り約6万5000円が不足していることになります。
 
また、一概に図表1のようになるとは限りません。病気になったり、家や車などのローン返済が残っていたりする可能性もあります。あくまでも目安として参考にしながら、老後の資金対策を行いましょう。
 

老後資金の4つの増やし方

ここからは、老後の資金を増やす4つの方法を紹介します。
 

(1)支出を抑える

まずは基本的なことですが、支出を抑えましょう。家計調査報告2022年(令和4年)11月分をもとに作成した図表1と自身の生活費を比較して、使いすぎている項目は見直すと良いです。老後の暮らしが苦しくなる原因の1つに、病気やけがの治療費が挙げられます。普段から食事や睡眠、運動に気を配りましょう。
 

(2)未納期間をなくす

国民年金保険料を支払っていない期間があると、満額受け取れなくなります。未納の場合は2年以内にさかのぼって納付、免除を受けている場合は10年以内に追納できます。
 

(3)税制優遇制度を活用する

国の税制優遇措置を活用する方法として、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)やつみたてNISA、などが挙げられます。
 
まずiDeCoとは、公的年金とは別に受給できる私的年金制度の1つで、自身でお金を積み立て運用することで老後資金を形成するものです。運営益は非課税になり、掛け金も所得控除の対象になるなどの優遇措置があります。
 
つみたてNISAは、年間40万円までを上限として、投資信託の購入が可能です。積み立て投資で得た利益は、最長20年にわたって非課税にできます。投資で得た利益には、本来約20%の税金がかかるので、非課税にできるつみたてNISAは活用したい制度です。
 

(4)受給開始時期を遅らせる

年金を65歳から受け取らずに、66歳以降75歳までの間で受給開始時期を繰り下げることができます。この制度を繰下げ受給といいます。繰り下げて受給する場合、1ヶ月ごとに0.7%ずつ受給額が増加します。65歳から繰下げ受給の開始時期までは貯蓄で生活し、受給開始後に増額された年金を受け取るのが賢い方法です。
 

まとめ

ここまで国民年金のみ加入している場合の受給額や、老後の支出額を紹介しました。50歳からでも老後の資金形成は可能です。保険や投資は早めに取りかかるほど、得られる効果は大きくなります。
 
本記事で紹介した内容を参考に、自身にあった老後の資金形成を検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)
総務省統計局 家計調査報告2022年(令和4年)11月分
厚生労働省 iDeCoの概要
金融庁 つみたてNISAの概要
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
※2023/1/30 記事を一部修正させていただきました。
 
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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