定年後の雇用先を「3年未満で退職」したとしても、「退職金」をもらうことはできる?
配信日: 2023.01.29 更新日: 2023.01.30
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
退職金の支給の有無は会社の規定による
前提として、退職金については支給の有無も含めて勤務先の規定に従うことになります。そのため、何年勤続しても退職金が支給されない会社もあれば、数年の勤務で退職金を支払う会社もあります。
退職金の支給の有無や計算方法は、就業規則や賃金規定のほか、会社との雇用契約書などで確認することができます。
例えば、定年後の雇用先に1年以上の勤続で退職金を支給するという規定があれば、3年未満で退職したとしても、1年以上継続して勤務した期間があれば退職金を受け取ることができます。
退職金の支給対象となるか具体例で確認
では、定年後の雇用先を3年未満で退職した場合に退職金の支給対象となるのか、例を挙げて解説していきます。
退職金が支給されるケース
例えば以下のようなケースでは、3年未満で退職しても退職金が支給されることがあります。
●就業規則に退職金を支給する規定があり、定められている在籍期間の条件を満たしている
●雇用契約書に退職金支給の規定があり、定められている在籍期間の条件を満たしている
●勤務延長制度によって継続して雇用されており、定年時と延長期間終了までの勤続年数を合計して退職金の支給要件を満たしている
退職金が支給されないケース
以下のようなケースでは、定年後に再就職して3年未満の退職では退職金を受け取れません。
●退職金を支給する規定がない
●退職金の支給要件が、継続して3年以上の在籍となっている
●定年後も再雇用制度によって継続雇用されており、定年後の勤務年数では退職金の支給要件を満たしていない
雇用形態を理由に退職金を支給しないという規定は有効?
定年後は正社員ではなく、契約社員やパート・アルバイトとして働く方もいますが、勤務先に退職金の制度があっても正社員以外は支給対象ではないと就業規則などで定められている場合、その規定は有効なのでしょうか。
この点については、雇用形態によって業務内容や責任の程度が異なり、その差に応じて退職金を不支給としている場合では規定は有効となります。一方で、ただ単に正社員ではないという理由のみで退職金の支給対象にならないというのは、同一労働同一賃金に反し、有効ではないとされる可能性が高いです。
また、勤務先が定める退職金の支給条件を満たしているにもかかわらず、過去に定年を迎えているという理由だけで退職金が支払われない場合、規定が有効とならない可能性が高いでしょう。
まとめ
定年後も就労を続けたケースで、雇用先を3年未満など早期に退職したとしても、会社の規定によっては退職金を受け取ることができます。しかし、すべての会社で退職金制度が導入されているわけではなく、退職金の支払いについて定められている場合でも、3年未満の勤務で支給される規定となっている会社はそう多くはありません。
定年後の再就職では退職金の受け取りが難しいことを知った上で、それでも退職金を重視するのであれば、雇用先の就業規定や契約内容などについてしっかりと確認することも必要でしょう。
執筆者:柘植輝
行政書士