更新日: 2023.02.08 セカンドライフ

「年金だけ」だと老後は住むところがない!?「平均受給額」と「家賃」を検証

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「年金だけ」だと老後は住むところがない!?「平均受給額」と「家賃」を検証
賃貸住宅で生活をするには、家賃を支払い続ける必要があります。将来の年金暮らしをイメージすると、それだけの余裕があるのか心配になるかもしれません。この場合、しっかり実情を把握した上で、あらかじめ対策を考えておくことが大事です。
 
そこで本記事では、年金の平均受給額と家賃について検証し、具体的な対策のアイデアも紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

年金の平均受給額をチェック


まず年金の平均受給額を確認しておきましょう。厚生労働省が発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」に、そのデータが掲載されています。令和5年2月1日時点では令和3年度版が最新であり、それによると国民年金の平均受給額は1ヶ月当たり約5万6000円です。
 
厚生年金の平均受給月額は約14万6000円で、これには老齢基礎年金の併給分も含まれています。このように2種類の年金には大きな差があるので注意しましょう。基本的に、保険料を自分で納付している自営業者は国民年金を受け取り、給与から天引きされている被雇用者は厚生年金を受け取ります。
 
なお、年度が変わっても、どちらの年金も平均受給額に大きな変動は見られません。少なくとも平成30年度から令和3年度までは、国民年金は約5万6000円で厚生年金は約14万6000円のままです。よって、老後までの年数が少ないなら、そのときの平均受給額もこれらに近いと予想できます。
 

家賃との差はどれくらい?

家賃に関しては、総務省による「住宅・土地統計調査」の結果が参考になります。令和5年2月1日時点で公表されている最新版は平成30年のものです。それによると、家賃の平均は1ヶ月当たり約5万6000円となっています。
 
この数値は国民年金の平均受給額と同じなので、平均同士で計算すると、家賃を支払った場合の収支はゼロです。厚生年金を受給する人は余裕があると思うかもしれませんが、家賃は地域ごとに差が大きいので楽観的に考えてはいけません。
 
例えば、東京都は約8万1000円で神奈川県は約6万8000円というように、人口が多い首都圏のほうが家賃の平均は高い傾向にあります。そのような地域での暮らしを想定し、生活費や医療費の支払いも視野に入れると、厚生年金でも不足するリスクが大きいことが分かるでしょう。
 

老後も賃貸に住むための対策

家賃を支払った後も年金を手元に残したいなら、家賃の平均が安い地方に住むという手があります。例えば、鹿児島県の平均は約3万8000円なので、平均同士の計算では、国民年金を受給する場合でも収支は約1万8000円のプラスです。
 
また、小さな物件や古い物件を選ぶことで家賃を抑えやすくなります。とはいえ、生活費などの支払いを考慮すると、やはり年金の受給だけで住み続けるのは厳しいといえます。そこでポイントになるのは、他の手段でも家賃用の資金を用意することです。
 
健康状態が良好ならシルバー人材として働いても良いですし、老後を迎える前から投資しておくことも有効な対策になります。投資の種類は多岐にわたりますが、家賃の支払いに備えたいなら、リスクが高いものは避けなければなりません。
 
そういう意味では、国民年金基金連合会が実施しているiDeCoは安心感があります。税制上の優遇措置がありますし、長期的な家賃の支払いを見据えて、年金として分割で受け取っていくことも可能です。
 

実情を把握して将来の賃貸暮らしに備えよう

年金受給と家賃の平均額を比較すると、賃貸物件で年金だけで暮らすのは難しいことが分かります。ただし、悲観的になる必要はなく、工夫次第で賃貸暮らしを続けることも可能です。そのためには、どれくらい資金が不足するのか考え、住む場所や投資なども検討しなければなりません。今回の検証結果を踏まえ、なるべく早い段階で将来の見通しを立てましょう。
 

出典

厚生労働省 令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省 平成30年住宅・土地統計調査
国民年金基金連合会 iDeCoってなに?
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

ライターさん募集