65歳以降に平均で月2万円超!? 生活費の10%前後を占める費用とは?
配信日: 2023.02.12
本記事では、生活費の10%前後を占めるといわれている医療・介護費用に注目していきます。年齢や世帯保有金融資産額によって、医療・介護費用にはどれくらいの差が出るのでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高齢者の医療・介護費用の平均月額
(公財)生命保険文化センターの「ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査」によると、2020年10~11月に60歳以上の男女2083人に行ったアンケート調査で、60歳以上の医療・介護費用の平均月額は2万3300円です。年齢別にみると、90歳以上の3万8000円が最も高く、最も低い60~64 歳は1万8600円となっています。
世帯保有金融資産額別には、5000万~1億円未満層で3万5300円、1億円以上層で4万円となっており、保有金融資産額が上がれば上がるほど医療・介護にかける費用も高額になる傾向が分かりました。また、客観的健康状態別にみると、「大いに差し支えあり」と回答した層が平均月額2万9000円と最も高額です。
総務省の「2021年家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の高齢単身無職世帯の実収入は13万5345円、可処分所得は12万3074円です。仮に約13万円の実収入から毎月約2万円の医療・介護費用を捻出することを考えると、厳しいといわざるを得ないでしょう。
高齢者の生活費に占める医療・介護費用の割合
続いては、高齢者の生活費に占める医療・介護費用の割合をみていきましょう。
前述の生命保険文化センターの資料によると、高齢者全年齢の生活費に占める医療・介護費用の割合は10.7%です。年齢別にみると、最も低い60~64 歳は8.3%にとどまっているものの、90歳代以上は軒並み13.3%となっています。
また、世帯保有金融資産額別では、100万円未満が12.2%と生活費に占める医療・介護費用の割合が最も高く、世帯保有金融資産額が上がるにつれて割合が低くなっていく傾向にあります。しかし、5000万円以上層で再び割合が上がり、12.1%に上昇します。
客観的健康状態別にみると、健康に支障がある層ほど生活費に占める医療・介護費用の割合は高くなることが分かりました。
高齢者は医療・介護への不安意識が高い
同じく生命保険文化センターの資料によると、高齢者の生活保障に関する不安で最も多かったのは「自分の介護への経済的不安」の66.9%です。次いで、「病気やケガへの経済的不安」(61.9%)となり、「退職後の生活資金不安」(58.5%)を上回る結果となりました。高齢者は生活資金不安よりも、医療・介護が必要になった際の経済的不安を強く感じる傾向にあります。
厚生労働省によると、60~69歳層の就業率は年々増加傾向にあります。高齢者の就業率が上がっている背景には2006年4月に施行された改正高齢法が影響していると考えられますが、医療・介護を含めた経済的不安から、働けるうちは働きたいと考える高齢者が増加しているのかもしれません。
老後に備えて早めに対策を行おう
60歳以上の医療・介護費用の平均月額は2万3300円で、生活費のうちの10.7%を占めています。年齢や健康状態、世帯保有金融資産額によって金額の差はありますが、生活費の約1割が毎月かかるのは家計にとって大きな負担です。
将来的に医療・介護が必要になったときのために、できるだけ早い時期から資産形成に取り組み、同時に医療保障準備をすることをおすすめします。
出典
公益財団法人生命保険文化センター ライフマネジメントに関する高齢者の意識調査
総務省 家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要
厚生労働省 令和4年版厚生労働白書 図表1-2-1-12 年齢階級別就業率の推移|
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部