更新日: 2023.03.08 介護

介護費用ってどれくらいかかるの? 公的介護保険でまかなえる?

執筆者 : 岩永真理

介護費用ってどれくらいかかるの? 公的介護保険でまかなえる?
人生100年時代といわれ、平均寿命も医学の進歩とともに年々延びています。
 
しかし、他人のサポートなしに自分で生活を続けられるとされる健康寿命は、一般に75歳前後といわれています。自分や親が要介護になる日に備えて、介護費用はどの程度必要なのか、公的な介護保険でまかなえるのか、を解説します。
岩永真理

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

介護費用の負担はどのくらい?

介護費用は大きく分けると、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用と介護にかかる月額費用の2つがあります。介護費用は介護を受ける人の要介護度合によって異なり、一概にはいうことは難しいのですが、平均金額は図表1のとおりです。
 
【図表1】


 
また、介護を受ける場所も在宅と介護施設では金額が異なり、在宅のほうが月額平均で約7万4000円安くなります。
 
上記金額はいずれも「公的介護保険サービスの自己負担費用を含む」とされていますので、公的介護保険の給付を受けた後の金額と考えられます。では、実際に介護はどのくらいの期間続くのでしょうか。
 

介護期間の平均は約5年

介護期間も介護を受ける人の状態により異なりますが、生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(以降「同調査」)によると、介護を始めてからの経過期間の平均は5年1ヶ月(61.1ヶ月)になります。
 
一方で、4年を超えて介護した人の割合も約5割になっていることから、状況によっては長期になる可能性もあるということを念頭に置いておく必要があります。
 

介護費用のトータルは平均580万円

介護費用と介護期間の平均値を総合すると、介護費用はトータルで平均580万円(一時介護費用74万円+月額8.3万円×61ヶ月)です。月額介護費用の介護を受ける場所別に計算すると、在宅介護では平均367万円、施設介護では平均818万円となります。
 
【図表2】


 

公的介護保険でまかなえるのか?

上記介護費用のトータル金額は、公的な介護保険を適用した後の平均額です。
 
そのため、住民税が非課税になる世帯など、ほかの公的援助がある場合などを除き、介護保険を適用しても一般的には平均580万円の費用が必要になると考えておいたほうがよいでしょう。
 
介護度合が低い場合は、自宅での介護も可能と思われますが、要介護度合が進むにつれて一般的には在宅の介護が難しくなることも考えられます。また、月額介護費用は、実は要介護度合が上がるにつれて、平均値月額の8.3万円を上回る費用がかかることも同調査で報告されています。
 
例えば、


・要介護3(中等度の介護が必要な状態)では月額平均9.2万円
・要介護4(重度の介護が必要な状態)では月額平均9.7万円
・要介護5(最重度の介護が必要な状態)では月額平均10.6万円

となっています。
 
在宅介護を予定していても、介護を担う家族の手が回らないまたは家族がいない、要介護度合が重い、あるいは介護期間が長くなるなど施設介護を検討せざるを得ないことも視野にいれながら費用を見積もるとすれば、800万円超の費用が必要かもしれません。
 

まとめ

人間の寿命は人それぞれですし、必ずしも要介護状態になるかといわれるとそうではないこともあるでしょう。しかし、かといって介護費用を何も準備しないでよいわけではありません。
 
自分や家族に将来介護が必要になるかもしれない日に備えて、最低でも1人あたり400万円、可能であれば1000万円程度を介護費用として準備しておくとよいかもしれません。
 
もし、健康状態が良好で介護費用を使わずに済めば、それに越したことはありません。介護に使うはずだったお金は、ご自身や家族の楽しみのために使ってもよいでしょう。
 
執筆者:岩永真理
一級ファイナンシャル・プランニング技能士

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