65歳以上の認知症患者は「5人に1人」になる? 介護費用はいくら準備すればいい?

配信日: 2023.03.11

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65歳以上の認知症患者は「5人に1人」になる? 介護費用はいくら準備すればいい?
内閣府の「平成29年版高齢社会白書」によると、2012年は65歳以上の高齢者の7人に1人だった認知症患者数が、2025年には5人に1人になると予測されています。現在は健康で認知症の症状はなくても、将来に備えて介護費用を準備しておきたいと考える人もいるのではないでしょうか。
 
認知症の介護費用は在宅介護か施設介護かによって異なります。特に施設介護を選択する場合には、月額5~30万円の費用がかかる場合があるなど、早いうちから貯めておくことが求められるでしょう。本記事では認知症について、認知症の介護費用はどのくらいなのかを詳しく解説します。
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認知症とは?

認知症とは、成人に達して以降など、一度正常に発達した脳の認知機能がさまざまな原因によって認知機能が持続的に低下したり、日常生活に支障をきたしたりする状態です。認知症の初期段階のうちは「物忘れが激しい」と自覚する程度ですが、進行するにつれて以下のような症状が出てきます。
 

【認知症の症状の一例】

●記憶障害:家族の名前や病院の受診日時などを忘れる、内服薬などの管理ができなくなる、お金の勘定ができなくなる
●見当識障害:時間や季節、場所、人が分からなくなる
●徘徊:家の中や外を歩き回る行動
●妄想:物を盗られたなどの被害妄想を起こす
●暴力や暴言:暴力や暴言を吐くなどの行為

 

65歳以上の高齢者のうち認知症患者数は5人に1人と予測

総務省統計局は、日本の総人口1億2471万人(2022年9月15日推計)のうち、65歳以上の高齢者人口は3627万人、総人口に占める割合は29.1%と世界でも高い割合であることを報告しています。
 
さらに内閣府の「平成29年版高齢社会白書」では、2012年は約462万人、65歳以上の高齢者の7人に1人、有病率15.0%だった認知症患者数が2025年には5人に1人、有病率が20.0%になると予測されており、高齢社会や認知症問題への取り組みがますます重要になるでしょう。
 

認知症の介護費用はどのくらい必要?

認知症の介護費用は、認知症患者の要介護度、介護を在宅または施設で行うのか、介護期間がどのくらいになるのかによって費用が異なります。
 
具体的な介護費用には個人差があるところですが、公益財団法人生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」では、介護にかかる1ヶ月あたりの平均月額費用は8万3000円と伝えています。
 
その他にも、住宅のリフォームや介護用ベッドの購入といった一時費用の平均額は74万円と報告しており、要介護度が上がる、介護を施設で行う、介護期間が長期化すると、その分だけ費用がかかると認識しておきましょう。
 

在宅介護と施設介護にかかる費用

在宅介護は、介護保険サービスにかかる費用(訪問介護やデイサービスの利用など)、その他の費用(通院の際の医療費や介護用品の購入費用)の2つに分類されます。
 
公益財団法人家計経済研究所の「在宅介護のお金と負担 2016年調査報告(在宅介護の費用) 」によると、そのうち介護保険サービスにかかる費用は月額1万6000円程度、介護保険サービス以外の費用は月額3万4000円程度で、平均月額費用約5万円とのことでした。
 
ただし、在宅介護の平均月額費用は5万円程度ですが、図表1のように5段階に分けられた要介護度によっても異なります。
 
【図表1】
 

要介護度 介護保険サービスにかかる費用 介護保険サービス以外にかかる費用
要介護1 7000円 2万6000円
要介護2 1万4000円 3万円
要介護3 2万5000円 3万5000円
要介護4 1万7000円 4万2000円
要介護5 2万1000円 5万3000円

 
公益財団法人家計経済研究所「在宅介護にかかる費用」より筆者作成
 

施設介護にかかる費用

施設介護は、自治体や社会福祉法人が運営する公共施設と民間の施設のどちらに入居するかで費用が異なります。施設の一例と平均月額費用をまとめると以下のとおりです。
 

【公共施設の平均月額費用】

●特別養護老人ホーム(特養):5~20万円
●介護老人保健施設(老健):5~25万円
●介護療養型医療施設・介護医療院:5~20万円

 

【民間施設の平均月額費用】

●グループホーム:10~30万円
●介護付き有料老人ホーム:15~30万円

 

認知症になる前から介護費用について検討しておこう

認知症になった際の介護費用は、在宅の施設のどちらを利用するのかによって異なります。
 
在宅なら月額6万4816円(満額の場合:令和4年4月分から)の老齢基礎年金でまなかえるかもしれませんが、施設介護を選んだ場合は月に5~30万円程度、また入居一時金が数百万円~数千万円かかる場合があります。認知症患者にならずに老後を過ごせればよいですが、万が一のことを考えて早い段階から介護費用を貯めるなどしておきましょう。
 

出典

内閣府 平成29年版高齢社会白書 3 高齢者の健康・福祉 第1章 高齢化の状況(第2節 3)

厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス 認知症

総務省統計局 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-1.高齢者の人口

公益社団法人生命保険文化センター 2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査
公益財団法人家計経済研究所 在宅介護にかかる費用

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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