更新日: 2023.03.20 定年・退職
退職金の相場は「約1770万円」! 実際の手取り額はいくらになる?
この記事では、定年退職金相場や実際の手取り金額、退職所得の計算方法などについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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定年退職による退職金相場は約1770万円
勤続年数別の平均退職金額は図表1のとおりです。
図表1
20年~24年 | 620万円 |
25年~29年 | 800万円 |
30年~34年 | 1066万円 |
35年以上 | 1770万円 |
厚生労働省 退職手当の支給金額を基に作成
勤続年数が35年以上の人が定年退職をした場合、平均退職金は1770万円です。仮に、大学を卒業して新卒で入社し、60歳で定年退職した場合は、勤続年数が38年になるため、1770万円程度の退職金をもらえるでしょう。
退職金の手取り額はいくら?
退職金の受け取りは、総支給額から所得税と住民税を差し引いた金額となります。退職金の税金を計算するためには、以下の方法で課税所得を計算します。
(退職金−退職所得控除)×1/2=退職所得
退職所得控除は以下のとおりです。
勤続年数20年以下:勤続年数×40万円(80万円に満たない場合には、80万円)
勤続年数20年超:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
【例1】
例えば、40年間勤務した会社を退職した場合、退職所得控除は以下の計算式で算出されます。
800万円+70万円×(40−20)=2200万円
仮に、退職金を1770万円もらった場合、退職所得は以下のとおりです。
(1770万円-2200万円)×1/2=-215万円
上記のとおり、退職所得額はマイナスであるため、上記ケースの場合は所得税や住民税が発生しません。つまり、手取り額は1770万円となります。
【例2】
勤続年数20年で退職金を1770万円もらった場合、手取り額は以下のとおりです。
20年間×40万円=800万円(退職所得控除)
(1770万円-800万円)×1/2=485万円(退職所得)
つまり、485万円に対して所得税と住民税が課税されます。退職所得に対する所得税率は、図表2のとおりです。
図表2
課税退職所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000円から194万9000円 | 5% | 0円 |
195万円から329万9000円 | 10% | 9万7500円 |
330万円から694万9000円 | 20% | 42万7500円 |
695万円から899万9000円 | 23% | 63万6000円 |
900万円から1799万9000円 | 33% | 153万6000円 |
1800万円から3999万9000円 | 40% | 279万6000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6000円 |
国税庁 退職金と税を基に作成
課税退職所得が485万円の場合は、税率が20%、控除額が42万7500円です。よって、所得税額は「485万円×20%-42万7500円=54万2500円」です。住民税は10%であるため、48万5000円となります。合計102万7500円を税金として納めます。
つまり、実際に受け取れる金額は1667万2500円となります。
ただし、退職所得は原則として、源泉徴収の対象です。「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人は、一律20.42%源泉徴収されます。つまり、退職金受け取り時の金額は上記と異なる場合があります。
自分自身で確定申告を行い、過不足の清算を行いましょう。
退職金を多く受け取るためには勤続年数が大切
退職金は、その人の老後の生活資金、これまでの功労金といった意味合いを含んでいます。そのため、勤続年数が長ければ長いほど優遇される仕組みとなります。
同じ退職金額を受け取る場合であっても、勤続年数の長さによって手取り金額は大きく異なります。少しでも多くの退職金を受け取るためには、長く勤めるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 退職手当の支給金額
国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
国税庁 退職金と税
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部