更新日: 2023.03.24 その他老後

【詐欺】高齢の母に「屋根の修理が必要なので一緒に確認してください」→そのすきに自宅にもう一人の「盗人」が!?

【詐欺】高齢の母に「屋根の修理が必要なので一緒に確認してください」→そのすきに自宅にもう一人の「盗人」が!?
数ある詐欺の手口の中でも「リフォーム詐欺」は、一人暮らしの高齢者が狙われるケースが多いため、離れて暮らす家族も警戒しなければなりません。業者を装った詐欺師や、詐欺をもくろむ悪徳業者から「あなたの家の屋根は修理が必要です」と言われて、本来不要な修理をされた末、対価を要求されるのです。
 
ただ、中には「一緒に屋根に上って確認してください」と声を掛け、そのすきにもう一人の詐欺師が自宅の金品を盗むという手口もあるようです。
FINANCIAL FIELD編集部

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「屋根に上って詐欺」は本当に詐欺なのか

一人暮らしの家主が屋根に上れば、自宅の中は無人、「もぬけの殻」となります。こうして複数犯が協力し、家主をだまして金品を奪う手口を、仮に「屋根に上って詐欺」と呼ぶものとします。これはリフォーム詐欺の一種といえるのでしょうか。
 
そもそも「詐欺罪」(刑法246条)とは、「だます言動」→「相手が勘違いする状態」→「相手が金品を交付する行為」→「交付された金品を受け取る行為」が、因果関係でつながっているといえる場合に成立します。この「屋根に上って詐欺」には、金品の交付がありませんので、詐欺罪は成立しません。
 
一方、刑法235条の「他人の財物を窃取した者」に該当するので、金品を盗んだ実行犯には「窃盗罪」が成立します。また「一緒に屋根に上って確認してください」と家主に声を掛けた者は、窃盗の難度が下がるよう実行犯を手助けしました。
 
2人が前もって犯行に関する協力方法や流れなどを話し合っていたなら、2人は窃盗の「共同正犯」(刑法60条)として処罰されるでしょう。共に最高で懲役10年が科されます。あまり想定しにくいですが、もし現場でたまたま2人が出会って、リフォーム業者が悪い機転を利かせて泥棒を手助けした場合、リフォーム業者は窃盗のほう助犯(刑法62条1項)として処罰されます。
 
詐欺であろうと窃盗であろうと、一人暮らしの高齢者を食い物にする犯罪は憎むべきであると同時に、被害を未然に防げるよう対策を講じておかなければなりません。
 

リフォーム詐欺の主な手口

「屋根に上って詐欺」のほか、悪質リフォーム業者による犯罪や迷惑行為は後を絶ちません。例えば、契約を断っているのに、なかなか帰ろうとしない業者の事例は典型的です。また「今すぐ修理しないと、この家は大変なことになりますよ」などと不安をあおったり、「今日決めてくれたら割引価格です」などと告げたりして、強引に契約を結ばせる手口が目立ちます。
 
さらに悪質な手口もあります。最初は「無料点検」などと告げて家主を油断させておき、高額の見積もりを出す手口です。「屋根の上」や「軒下」などの箇所を狙い、住人の目が届きにくく直接見て確かめようとしないことに乗じ、ありもしない故障箇所を報告したり、わざと壊したりして、高額の修理費用を請求するというケースです。
 

リフォーム詐欺被害を未然に防ぐ対策

こうした被害を未然に防ぐためには、一人暮らしの高齢者に対して家族や周辺住民が声を掛けて、普段から注意を喚起しておくのが何よりも重要です。
 
いきなり訪問してきたリフォーム業者には、たとえ無料でも点検させてはいけません。契約などはもってのほかです。訪問販売の場合、もし契約を結んでしまっても、特定商取引法が適用されてクーリングオフで無条件解除できる場合がありますし、もし契約時に認知症の症状が出ていることを証明できれば、契約の無効を主張できます。
 
修理が必要でどうしても業者を呼ばなければならない場合、面倒でも必ず相見積もりという複数の業者から見積もりを取り、費用を比較するように心掛けると、被害はかなり防げます。契約を何度も断っているにもかかわらず、リフォーム業者がどうしても帰ろうとせずに居座り続ける場合、不退去罪(刑法130条)が成立する可能性もありますので、迷うことなく110番通報してください。
 

一人暮らしの高齢者は、法律で保護されている

高齢者を狙ってだまそうとする悪徳業者は、リフォーム業界に限らず昔から全国的に暗躍していました。直接被害を受けた人だけでなく、業界全体のイメージも悪くなるため、まっとうな商売をしているリフォーム業者までもが迷惑を被っています。
 
これまでの度重なる法改正により、一人暮らしの高齢者は、法的にはかなり保護されるようになりましたが、身近な人が注意喚起して、被害を未然に防げるよう心がけましょう。
 

出典

神奈川県警察 悪質な屋根修理業者に要注意

埼玉県警察 屋根工事の契約トラブルにご注意ください

e-Gov 刑法

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部