更新日: 2023.04.08 定年・退職
50代で後悔しないために。早期退職のメリット・デメリットを理解しておこう
しかし仕事を辞められる、退職金も優遇されるからといって、ライフプランの見通しも立てずに早期退職を決断することは危険です。
そこで本記事では、早期退職制度の理解と、メリット・デメリットから早期退職決断前にチェックしておくことを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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早期退職とは?
早期退職とは、会社で定められた定年よりも前に、自らの意思で退職を決断できる制度のことです。早期退職制度により退職金が割り増しされる、といった優遇措置をとられることが多くあります。
直近では、新型コロナウイルスの影響により、早期・希望退職を大量に募集する企業がニュースになるなど、早期退職は経済状況による影響を大きく受けていることが分かります。
希望退職制度
希望退職制度とは、会社側が主に人員整理を目的として、従業員の主体的な退職を募ることを指していることが多いです。
希望退職制度により、従業員の退職を会社側から強制することはできません。希望退職により退職する場合は、原則として会社都合での退職が成立するため、自己都合と比較して失業保険の受け取り時期や受給期間では有利になるでしょう。
早期退職優遇制度
早期退職優遇制度とは、キャリア支援を目的として、退職金の割り増しや再就職支援などの優遇条件を付与する制度のことです。
通常の定年退職の場合は、退職後の就職支援がないのが一般的のため、次のキャリアにスムーズに進めることはメリットといえます。
選択定年制度の違い
選択定年制度とは、定年の年齢を自らが選べる制度のことです。
60歳で退職するか65歳まで継続雇用をするかを選ぶことにより、ライフプランやキャリアの見直しを促せるため、導入する企業が多いようです。
知っておくべき早期退職制度のメリット・デメリット
新しいことに挑戦するなど自分の可能性を高めるために、早期退職も重要な1つの選択です。
収入面ではリスクを伴う可能性があるため、ライフプランの見通しを立てるなど、計画的に進めるようにしましょう。ここでは早期退職のメリットとデメリットをそれぞれ解説します。
早期退職のメリット
・退職金が割り増しされるケースがある
・新しいキャリア形成に向けて、転職や起業などのチャンスがある
・自分の好きなことや趣味に打ち込む時間が増える
早期退職をすると、定年退職と比較して退職金が優遇されることが一般的で、再就職の支援がある場合もあります。
終身雇用という考えも薄れてきている風潮もあるため、早めに退職金を受け取り、起業をするといった新しい挑戦を始めることができるでしょう。希望退職制度で退職する場合は、会社都合で退職が成立するため、失業保険の受け取り開始時期と受給期間の長さがメリットになります。
早期退職のデメリット
・年金の受給額が減る
・転職を考えている場合、次の就職先探しに苦労することがある
・定期的な収入がなくなる
早期退職のデメリットは、主に収入面にあります。まずは年金の受給額が減ることです。
年金は老齢厚生年金と老齢基礎年金に分かれています。老齢厚生年金は、給料の額と加入月数によって決定するため、5年早く退職すると60ヶ月の加入月数が減ってしまい、支給される年金額も減額になります。
例えば、Aさんが55歳で早期退職をした場合、定年の60歳まで働いた場合とどのくらい年金額が減るのか、厚生労働省の公的年金シミュレーターで計算してみると、年額12万円の差が出ていることが分かります。
・1980年1月1日生まれ
・23歳~60歳の38年間勤務
・年収は一律480万円を仮定
・国民年金は20歳~60歳まで満額納付している
・年金は65歳から受給開始
60歳の定年まで働いた場合…168万円(年額)
55歳で早期退職して56歳以降職に就かない場合…153万円(年額)
シミュレーション結果のように、老齢厚生年金は会社員や公務員が加入できるため、早期退職後に再就職しない場合は年金額が減額されることになります。
転職前提で早期退職する場合、次の就職先が決まる前に退職するとスムーズに決まらないリスクも考えておく必要があるでしょう。
早期退職をする前にチェックしておくこと
・生活費が十分にあるかを確認する
・家族も賛成している
・再就職が容易ではないことも理解しておく
早期退職は明確な目的もなく決断することはおすすめしません。退職金が割り増しされて支給されても、定期的な収入がないと貯金を切り崩して生活することになってしまうでしょう。相談もせず早期退職してしまうと、トラブルに発展する可能性が高いため、家族の理解を得ておくことが重要です。
管理職に就いていたとしても再就職は楽観できません。無職期間が長くなればなるほど再就職も困難になってしまいます。再就職を前提とする場合は、転職活動を慎重に行う必要があります。転職先でうまくいかなかった場合はどうするかなど、選択肢をいくつか持っておくと安心です。
老後を豊かに過ごすためにも、十分にライフプランを検討した上で、早期退職を決断することをおすすめします。
出典
株式会社東京商工リサーチ 2022年上場企業の早期・希望退職は38社 コロナ直撃業種の募集が一巡、2019年の水準まで減少 2022年上場企業「早期・希望退職」募集状況
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和5年度版
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部