更新日: 2023.04.09 定年・退職

【いろいろあります】定年退職時にやらなくてはならない手続き

【いろいろあります】定年退職時にやらなくてはならない手続き
会社員にとって、人生の区切りの1つである定年退職。定年退職を間近に控えている方は、そろそろ退職に向けての準備をしておきましょう。
 
退職時に必要な手続きや、その後にやらなくてはならないことについて説明します。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

定年退職の際に必要な事務処理は、大きく分けて4つ

定年退職時に主に行うことは次の4種類です。

(1)年金関係
(2)雇用保険
(3)社会保険
(4)税金

詳しくみてみましょう。
 

(1)年金関係

会社員の方は、退職するまで年金関係のさまざまな手続きは会社が行ってくれましたが、退職後はそれをご自身で行うことになります。
 
まず、年金支給開始年齢到達前に毎年届く「ねんきん定期便」で、加入記録等を確認しておくとよいでしょう。
 
また、年金支給開始年齢月の3ヶ月前には年金請求書が届きますので、必要事項を記載して返送してください。年金請求書には年金加入記録が記載されています。記録を再度確認して、「もれ」や「誤り」がある場合は、事前にお近くの年金事務所まで問い合わせするようにします。
 
年金を受けられるようになったときから5年を過ぎると、5年を過ぎた分の年金については時効により受け取れなくなる場合がありますので、早めに請求するようにしましょう。
 

(2)雇用保険

雇用保険は、基本的に就労を希望している人のための制度です。退職後も働きたいと思っているのであれば、ハローワークで求職の申し込みをして、基本手当受給の手続きをします。
 
その場合、退職前にあらかじめ雇用保険被保険者証の有無と、会社がハローワークに提出する離職証明書の離職理由等の記載内容を確認するようにしましょう。
 
退職時には、会社から離職票と雇用保険被保険者証を受領します。そして退職後に、住所地のハローワークで求職の申し込みをします。もしも再就職が決まらない場合は、4週間に1回、指定認定日にハローワークで失業認定を受ける必要があります。
 
65歳未満で退職し、求職の申し込みをすると、65歳未満でもらっている老齢厚生年金が全額ストップしますので注意してください。
 

(3)社会保険(健康保険・介護保険)

退職時に会社の健康保険証を返却します。その後、健康保険・介護保険について、以下の3つのどの保険制度に加入するかを、考えなければいけません。
 
1. 被扶養者になる
健康保険の被保険者である親族に扶養されるのであれば、その親族の被扶養者になることができ、その場合保険料はかかりません。ただし、被扶養者になるには、年収が180万円未満(60歳以上)でなければいけません。
 
2. 任意継続被保険者となる
現役時代に加入している健康保険をそのまま引き継ぐことになりますが、保険料は事業主負担分がありませんので、それまでの倍の保険料となります。扶養家族がいる場合には、扶養家族も引き継げます。ただし、その場合は退職後20日以内に手続きをする必要があります。
 
3. 国民健康保険に加入する
上記1、2を選択しない場合は、国民健康保険の被保険者になります。こちらは退職後14日以内に手続きをする必要があります。このとき、扶養家族も同様に国民健康保険の被保険者となります。
 
どれを選ぶかは扶養家族の有無、退職後の収入等によって異なりますので、事前にシミュレーションすることをお勧めします。
 

(4) 税金(所得税・住民税)

退職した年の所得税は一般的に年末調整されません。したがって、確定申告を行う必要があります。申告期間は退職した年の翌年の2月16日から3月15日の間です。
 
また、住民税は前年の所得に対して翌年6月から翌々年5月まで納付します。よって、退職後収入が減ることが分かっている方は、あらかじめ納税分を残しておく必要があります。
 

退職金の手続きは?

上記の4つ以外に、退職金の手続きが発生する場合があります。退職金については、「退職所得の受給に関する申告書」を提出することによって確定申告は不要になりますが、提出し忘れた場合は確定申告で還付の手続きをします。
 

退職前から計画的に

定年退職前後は、上記の手続き以外にも、お世話になった方々へのあいさつや、人によっては社宅等からの引っ越しをしなければなりません。非常に慌ただしい上に、精神的にも落ち着かない状況下と思われます。
 
できることは早めに行い、手続きもれがないように、チェックリストを作るなどして備えておきましょう。
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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