更新日: 2023.04.08 定年・退職

定年退職は待てないから自己都合で「FIRE」します。退職金は当然もらえますよね?

執筆者 : 柘植輝

定年退職は待てないから自己都合で「FIRE」します。退職金は当然もらえますよね?
昨今の投資ブームのあおりを受けて、定年を待たずに退職して自由に人生を過ごす「FIRE」に憧れる方や実行する方が増えているようです。会社を退職するにあたって、退職金をもらうことができれば、FIREもより早く実行することができます。
 
そこで、FIREを目的として自己都合退職した場合、退職金はもらえるのかを解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

そもそもFIREとは?


 
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の各単語の頭文字が由来の造語で、経済的自立・早期リタイアを意味する言葉です。
 
近年の日本では、資産運用によって不労所得を得ながら、30代や40代などで定年を待たず早期に退職して、自由な人生を実現することを指して使われることが多くなっています。例えば、1億円の資産を投資信託で運用し、毎年4%の運用益を見込み、400万円ずつ切り崩しながら不労所得で生活していくという具合です。
 
もともとは海外で流行していたものなのですが、社会情勢や価値観の変化によって、日本でも急速に浸透した言葉です。特にコロナ禍の株高によって、多くのインフルエンサーやメディアに取り上げられて話題となりました。
 

退職金はどこの会社でももらえるとは限らない

退職金の支給は、雇用主の義務ではありません。あくまでも雇用主が雇用契約や就業規則などで支給すると定めた場合に、その条件に沿って支給されるものになります。
 
東京都労働相談情報センターの「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によれば、退職金はおよそ71.5%の企業で支給されているようです。しかし、現実の中小企業や零細企業、個人事業主に雇用されている場合は、退職金制度がないことも珍しくはありません。
 
また、退職金が支給される場合でも、在籍年数が3年以上であることを要するなど、なんらかの条件が付帯していることも往々にしてあります。実際、51.5%の企業において、自己都合退職の場合は3年以上の最低勤続年数を定めています。
 
そのため、退職金が支給されるかどうかは、その有無と条件について、勤務先にしっかりと確認しておくことが重要です。
 

退職金規定がある場合FIRE目的でも支給される?

勤務先に退職金規定があり、在籍年数やその他の要件を満たしているのであれば、FIRE目的であっても、その規定に従って退職金は支給されます。
 
FIRE目的での退職は、感情的に許せないから退職金は出さないといった扱いはできません。基本的に、FIRE目的であっても、それだけを理由に退職金が減ったり、支給されなかったりすることはないと考えてよいでしょう。
 
しかし、FIRE目的での退職は自己都合退職です。自己都合退職の場合は、多くの企業において、定年退職と比べると支給される退職金が少なくなっています。実際に、中央労働委員会の「令和3年退職金、年金及び定年制事情調査」では、定年退職を理由とした退職金の支給額は平均1872万9000円なのに対し、自己都合退職による退職金の支給額は447万3000円と、4分の1以下になっています。
 
定年退職と自己都合退職とでは、一般的に定年退職の方が勤続年数は長くなるといった違いもあるかもしれませんが、自己都合退職では定年退職よりも退職金の額が少ない傾向にあるのは間違いありません。退職金の支給を前提にFIREする場合は、退職金が満額出ないことや、想定より低くなることを覚悟しておくべきでしょう。
 

FIREでも退職金は支給される

会社に退職金を支給する旨の規定がある場合、要件さえ満たしていれば、FIRE目的であっても支給されます。そして、FIRE目的で退職金を受け取るのであれば、退職理由の伝え方には十分に注意しましょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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