更新日: 2023.04.15 セカンドライフ
「65歳」の貯蓄額って?「夫婦2人暮らし」の場合は平均どのくらい? 少なすぎる場合の対策も解説
今回は、話を分かりやすくするために、下記を想定して説明します。
●夫は会社員、妻は専業主婦
●本業以外の仕事や収入はない
●平均的な収入(平均標準報酬)は約40万円で40年間就業した
●年金保険料は満額支払っていて未納や免除、猶予等はない
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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60歳代の平均貯蓄額は約800万円?
金融広報中央委員会が公表している「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)各種分類別データ(令和4年)」によると、60歳代の預貯金保有額は834万円となっています。
預貯金を含む金融資産保有額の平均は1819万円で、中央値は700万円です。金融資産保有額の平均値と中央値には大きな差があり、預貯金の中央値も834万円よりも低いことが考えられます。
65歳時点の収支はどのくらい?
そもそも65歳時点、それ以降も含めて「老後の収支」はどのくらいになるのでしょうか。当然ながら、生活していくためには年齢に関係なくお金がかかります。
総務省統計局が公表している「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支」によると、2021年の65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月額22万4436円となっています。
一方で、収入はどのくらいあるのでしょうか。
会社員の場合は厚生年金を受け取ることができ、夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は2023年4月分以降は月額22万4482円です。
年金以外の収入がない場合「22万4482円−22万4436円=46円」の黒字です。
これだけ見ると「ほぼ差し引きゼロだが、年金だけで生活していける」と思う人も多いかもしれません。ただし、家計調査年報(家計収支編)の消費支出額はあくまで「最低限の生活費」を表しており、臨時や想定外の支出額は含まれていません。
具体的には自分自身や家族の病気やけがによる通院や入院、介護、家電製品や車などの買い替え、国内外の旅行、冠婚葬祭といった項目は別問題です。臨時や想定外の支出も含めて月30万円必要と仮定すると、毎月7万5000円近くの赤字です。貯金800万円あったとしてもわずか約9年で資金が底をついてしまいます。
これらを総合的にみると年金だけで生活する、老後対策をするのは難しいと考えられます。
貯蓄額が少なすぎる場合の対策
結論からいえば、常に家計状況を見直し「収入を増やして無駄な支出を減らす」ことを心がける必要があります。
収入を増やす手段として「できる限り長く働き続ける」ことも選択肢に入れてみましょう。たとえ再雇用等で収入が大きく減ってしまって月10万円程度になったとしても、過小評価するのは早いです。
例えば、「5万円では何も変わらない」と思われるかもしれませんが、年間で60万円、5年働くと300万円、10年働くと600万円です。働かない場合はゼロ円なので積み重ねると大きな差になります。
収入を増やすのが難しい場合は、支出の見直しから行いましょう。特に定期的に必ず発生する固定費の見直しは必須です。今の状況に合わない保険に入っていないか、住居費の見直しはできないかなど検討してみましょう。
まとめ
今回は65歳時点で夫婦2人暮らしの場合、貯金は平均どのくらいあるのか、少ない場合はどうすればいいのか、解説しました。年金だけで悠々自適な生活ができるのは、もはや過去の話です。
収入を年金だけにたよらず、会社員としてできる限り長く働くなどして収入を得て、無駄な支出は減らして「家計のスリム化」を目指しましょう。
出典
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)各種分類別データ(令和4年)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支
日本年金機構 令和5年4月分からの年金額等について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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