更新日: 2023.04.19 定年・退職

退職金はまるまる受け取れるわけではない?「所得税も住民税もかからない」のはいくらまで?

執筆者 : 柘植輝

退職金はまるまる受け取れるわけではない?「所得税も住民税もかからない」のはいくらまで?
退職金は丸々収入になると思っていませんか? 実は退職金も一定額を超えると税金がかかることがあります。しかし、いくらから退職金に所得税や住民税が発生してくるのかは個人によって異なります。そこで、退職金がいくらまでなら税金がかからないか解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職金は税制控除が優遇されている

退職金は賃金の一つであり所得税や住民税の課税対象です。しかし、退職金は賃金の後払いや、今まで会社に尽くしたことへのねぎらいや老後の生活保障といった面を併せ持っており、通常の給与における課税関係とは異なる扱いをされています。
 
具体的には、退職金控除の適用がされ、そこを上回った部分にさらに2分の1をかけたものに対して所得税と住民税がかかります。
 
この中でも退職所得控除の存在は大きく、それゆえに退職金に税金がかからなかったという方もいらっしゃるようです。退職所得控除の額は勤続年数に40万円をかけた額になります。そして、勤続年数が20年を超えた場合は、20年を超えた年数に70万円をかけ、さらに800万円を加えた額になります。
 
図表
 

 
出典:知るぽると 8. 退職金や年金にかかる税金
 

勤続年数30年であれば1500万円もらっても税金がかからない!

退職金が何円までなら所得税と住民税がかからないのかは、その方が退職金を受け取る会社を何年勤続したかによって異なります。
 
退職所得控除の計算に当たって勤続年数1年未満の月日は1年と扱います。例えば、勤続9年1ヶ月の場合、退職金控除の計算における勤続年数は10年となるため、退職金400万円までは所得税や住民税がかかりません。勤続年数25年であれば1150万円まで、30年ではなんと1500万円までは税金がかからないのです。
 

退職金にかかる税金はどれくらい?

退職金に税金がかかったとしてもその金額はそう大きくならないようになっています。前述したように退職所得控除の額が大きい上、最終的に課税される金額は2分の1にされるため、非常に小さくなります。
 
仮に30年勤務して2500万円退職金を受け取ったと考えてみましょう。税金がかかるのは1000万円の部分となります。
 
そして、それを2分の1にした500万円を基準に税金が発生するため、発生する所得税(復興特別所得税含む)は58万4522円となります。住民税は50万円(10%と仮定)となります。仮に2500万円受け取っても30年勤務していればそこから負担する税金は4%程度です。
 
上記のように、退職金にかかる税金は受け取る退職金に比して非常に小さい金額となります。
 

退職金は課税対象だが実際かかる税金は額面に比して大きくない!

退職金は法律上課税対象であり税金が発生する可能性があります。
 
しかし、退職所得控除の金額が大きく、勤続年数が長ければ長いほど控除も大きくなるため実際には退職金に税金が発生しないことも珍しくありません。仮に所得税や住民税が発生したとしてもその金額は退職金に対して非常に小さくなります。
 
これを踏まえると退職金はいくら税金で引かれるかという点よりもどう使うかを考えた方がより退職金を有効に活用できるといえそうです。
 

出典

知るぽると 8. 退職金や年金にかかる税金

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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