更新日: 2023.04.24 定年・退職

【55~60歳までが条件?】役職定年のメリットやデメリットを解説

【55~60歳までが条件?】役職定年のメリットやデメリットを解説
本記事では、役職定年の概要やメリット・デメリットを紹介します。企業は役職定年制を導入するかどうか、社員は役職定年制がある企業に勤めるかどうかの参考にしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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役職定年とは

役職定年とは、役職についている人が一定の年齢になったときに役職から外れることをいいます。主な導入のきっかけは、1980年代に定年が55歳から60歳に移行したこと。60歳まで収入の高い役職者を雇うことになると人件費がかさんでしまうため、55歳になった段階で役職を外して年収を下げ、人件費を減らす方針を取ったということです。
 
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が2017年に実施した調査によると、役職定年制度を導入している企業は28.1%で、社員数が多い会社ほど導入される割合が高くなっています。
 

役職定年のメリット

ここからは、役職定年にはどのようなメリットがあるか解説します。
 

人件費が削減できる

上記で説明したとおり、役職定年を導入することで人件費を削減することができます。
 
厚生労働省が実施した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、役職別の賃金が部長級は58万6200円、課長級は48万6900円、係長級は36万9000円なのに対し、役職に就いていない人は28万1000円。役職のある人には高い賃金を支払っていることがわかります。
 
役職を外して役職手当をなくすことで、企業の経営に支障をきたすことなく、ベテラン社員の雇用を守ることができます。
 

若手社員や次世代幹部を成長させやすい

せっかく幹部にふさわしい優秀な若手を採用しても、役職に就くまでに長い時間がかかってしまうと、その人の成長機会を無駄にしてしまいます。能力に見合った役割や収入を得られないことで本人のモチベーションが下がり、会社を去ってしまうかもしれません。
 
役職定年によって役職者のポストが空くことで、優秀な若手が早いうちから役職に就きやすくなります。意欲や能力に合った役割を与えられることで成長を早めることができ、活気があり、世の中の変化に柔軟に対応できる組織をつくることができるでしょう。
 

役職定年のデメリット

次に、役職定年制を導入するデメリットを紹介しましょう。
 

モチベーションが低下

これまで責任を持って会社や部下のために尽くしてきたのに、年齢が上がっただけで役職を外されてしまうと、仕事へのモチベーションが下がってしまう人も多いでしょう。
 
前述した独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査では、役職を下りた後に仕事の意欲が「下がった」「ある程度下がった」と答えた人の割合が50.6%だったのに対し「上がった」「ある程度上がった」と答えた人はたったの0.6%でした。
 
役職定年の意義を理解してもらい、新たに役職定年者としての活躍を期待していることをしっかり伝えるべきでしょう。本人の意思を確認し、キャリアプランや目標に向けていきいきと働けるようフォローすることも忘れてはなりません。
 

これまでの経験が生かせない

役職定年後、これまでとは違う部署に異動させられて全く知らない業務を担当することになると、培った経験を生かすことができず、働きにくいでしょう。簡単でやりがいを感じにくい業務を任されると「自分は干されたのか」「この会社にもう必要とされていないのだろうか」と感じることもあるかもしれません。
 
役職定年後もこれまでの知識や経験を生かせる業務を任せたり、後任者の育成に携わってもらったりすることで、やりがいを持って働き続けてもらうことができるのではないでしょうか。
 

まとめ

役職定年は、人件費を保ったままベテラン社員の雇用を続けることができたり、優秀な若手社員の活躍の場を広げたりできる制度です。一方で、年齢が高いだけで肩書を外され収入が下がると、仕事へのモチベーションを下げてしまう恐れもあります。元役職者が役職定年後もやりがいを持って働けるよう、さまざまなサポートを行うべきでしょう。
 

出典

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 資料シリーズ1 調整型キャリア形成の現状と課題—「高齢化時代における企業の45歳以降正社員のキャリア形成と支援に関するアンケート調査」結果— 8 役職定年制度の導入とその仕組み

人事院 民間企業における役職定年制・役職任期制の実態

厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査 結果の概況 (7) 役職別にみた賃金

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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